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2005年12月5日(月)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-05/2005120504_02_2.html から引用。
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民主党の前原執行部が小泉政権の先をゆく公務員攻撃に乗り出し、連合労組との対立が激化しています。労組側のたび重なる要請にも、党側は聞く耳もたずという対応。十月の大会で民主党支援の方針を決めたばかりの連合が、その民主党から組織を脅かされるという、かつてなく深刻な事態です。
■賃金を下げろ
民主党の前原誠司代表は、党内の労組嫌いとして知られる松下政経塾出身メンバーの一人。代表就任後のマスコミインタビューでも「労組依存からの脱却」をくりかえし、連合内には警戒の空気が流れていました。
連合幹部ががくぜんとする事態は、前原氏が代表に選出された十日後に早くもあらわれました。九月二十八日。特別国会で代表質問にたった前原代表は、公務員賃金問題をとりあげ、次のように主張しました。
「人事院勧告のもととなる民間給与は、相変わらず、企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上が基準になっている。零細企業も含めた民間給与の実態をふまえたものとすべきではないか」
続く三十日の衆院予算委員会でも、小泉首相にむかって「改革を競い合いたい」とのべ、同じ主張をくりかえしました。
この主張のポイントは、人事院勧告で国家公務員の賃金を決めるさい、民間大企業の賃金を参考にしているから高すぎるということ。零細企業を含めた低い賃金を参考にして、もっと公務員の賃金を引き下げろというものです。もしこの通りになったら中小企業で働く労働者の低賃金改善は遠のくばかりか、最低賃金法にもとづく地域最賃の決定にも影響し、歯止めなき低賃金社会になりかねません。
直接の影響を受けるのは、やはり公務員労組です。「前原はわかっていない。このまま突っ走られては困る」――危機感をつのらせる自治労などで組織している公務労協(百七十四万人)の幹部は十月四日、民主党本部を訪問し、前原代表と会談しました。「給与水準の見直しが必要だ」と引き下げの考えを押し通す前原代表、「公務員賃金は高いと思わない」と労組側。互いに譲らず、話し合いは平行線でした。
労組側に衝撃がもたらされたのはこのあとです。連合の新会長になった高木剛会長が八日、前原代表とトップ会談し、緊密に連携しあうことを確認しあった直後、民主党が特別国会に国家公務員法の改正案を提出する準備をしているという情報がもたらされました。内容の中心は、人事院勧告の基礎となる民間賃金の対象拡大。つまり前原代表のこの間の主張を法案として提出し、小泉首相の先手を取ろうという作戦です。
当然、労組側は「トップ会談で緊密な連携を確認したばかりなのに何だ」と怒りました。連合の古賀伸明事務局長と公務労協の幹部が急きょ相談し、十月十三、十四の両日に党側に談判しています。連合関係者によると、このとき労組側はかなりきつい口調で「民主党は大きな代償を覚悟しなければならない」「認めるわけにはいかない。法案は引っ込めてもらいたい」と詰め寄ったといいます。しかし党側は「総合的な判断の結果、労働側の要請は受けられない」と回答し、話し合いは決裂。労組側の強い反対を振り払って十四日の話し合い直後に法案提出を強行しました。
■よりによって
民主党は年明けに全体の公務員制度改革の法案を国会に提出する予定です。基本姿勢は、公務員減らし、国民サービス切り捨ての「小泉改革」との競い合いであり、連合との関係悪化は避けられないとみられています。
民主党と連合は、これまで何度となく「内輪もめ」をくりかえしてきましたが、二〇〇三年に党側が連合を「パートナー」と位置付ける方針を文書で確認し、これを受けて連合も組合員に民主党支持の押しつけを強めてきました。その民主党が、よりによって小泉政権を上回る労働者敵視姿勢をみせるのですから組合員にまったく説明できない事態です。
(昆弘見)
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