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11月30日―メディアを創る
耐震偽造問題―真の責任者は誰だ
大騒ぎになるのは明らかだった。地震が来たら崩壊するおそれがあるという住民の生命にかかわる大問題であるからだ。耐震データ捏造という悪質で明らかな犯罪行為であるからだ。
しかしメディアの連日の大騒ぎは、この問題の本質に迫ることなく弱いものいじめに徹しているかのようだ。国会の参考人招致で与野党の国会議員が関係者をつるし上げているのを見るとなんともやりきれない思いがする。テレビのキャスターや解説者が大声をあげて彼らを批判しているのを見ると悲しくなる。
彼らは確かに悪い。小嶋何某も非難されてしかるべき格好のキャラクターだ。しかし、だからといって彼らに全ての責任を押し付けて終わってはならない。彼らだってサラリーマンなのだ。そのサラリーマンが極悪非道のごとく連日非難されるのを見るにつけても、サラリーマンの経験を持つ私としてはつらい。
国会で明らかにされるべきはまず事実関係である。その為に関係者に厳しく問いただすのは良い。しかし問題はその後である。何故こんな事になってしまったのか、何故審査が適正に出来なかったのか、不正の疑いが指摘されていたにもかかわらず何故放置されてきたのか、その背後に政治家と行政のもたれ合いがなかったのか。業者バッシングの嵐が終わり、彼らに正当な処分が下されたならば、次にこの問題の本質究明と真の責任追及がなされないとウソだ。
このような事件の背景にあるのは、最低限のルールまでも軽視する誘惑に駆られた利益最優先の風潮ではないのか。日本という国全体がそういう国になってしまったという事ではないのか。
この点について、30日の毎日新聞「経済観測」という匿名のコラムは次のように書いている。
「・・・経済活動における審査部門の形骸化は1980年代のアメリカにおける金融自由化から始まっている・・・金利をはじめ金融業務に関する規制が緩和された時、金融機関は一斉に利益拡大に走った・・・バブル時代、わが国の金融機関はこれに倣った。(審査部の)意見はないがしろにされ各行とも融資に突進した。バブルがはじけた時、100兆円規模の不良債権の山ができた・・・今回のデータ偽造事件においても・・・厳格に審査し、偽造を告発すれば経営が成り立たなくなるのだから、沈黙したことも当然の帰結である・・・今、問われているのは効率性だけで割り切ることの弊害である。もう一度、国、地方自治体の機関に(審査を)戻す事も検討すべき課題だろう・・・ポチもポチチルドレンも目が覚めたのではないか。過ちを改むるに憚るなかれ。」
中味の検証もなく、なんでもかんでも「改革」を叫んで、全てを民に委ねればよいとする小泉首相のやり方に頂門の一針を与えた事件だと言っているのだ。
しかし、もっと問われなければならないのが政治と行政の責任である。関係者の証言によれば国土交通省(旧建設省)は関係者の指摘を受けてもなお、適切な対応をとらなかった、とれなかったという。これは、助けをも求めた市民を救出しなかった、出来なかった警察や、危険な薬の投与を、危険と知りつつ放置し続けた厚生省など、行政当局の一連の不作為の罪と共通するものではないのか。
いうまでもなく国交省は建築基準に関しては絶対的な権限を有する。権限と責任は表裏一体であるはずだ。今度の事件に関する国交省の関与と責任は徹底的に解明されなければならない。さもなければ誤りは間違いなく繰り返される。
そして最後は政治家の関与と責任である。森派の伊藤公介元国土庁長官や公明党議員が、国交省へ仲介の労をとったことや業者から政治献金を受け取っていたことは既に報道されている。
そこに30日の日刊ゲンダイが小嶋社長の政界人脈に小泉首相が浮上しているという記事を掲載した。社長室にはツーショットの写真まで飾ってあるという。これに対して小泉首相は「紹介することはよくあることですけどね。どういうことかわかりません」とぼけたという。
それでも今回の事件と政治家の関与についてはこれ以上ひろがらないであろう。大手メディアがまったくとりあげようとしないからである。ここにこの問題の大騒ぎのいかさまがある。日本のメディアの堕落があるのだ。
「早い内部告発でイラク戦は避けられた」
30日の朝日新聞に掲載されていたダニエル・エルスバーグ氏のインタビュー記事を興味深く読んだ。彼はそのインタビューの中で次のように語っている。
「・・・イラク戦争でも、開戦前から軍や情報機関の中では疑問や不満が出ていた。もっと早い時点で勇気ある内部告発者が出ていれば、戦争は避けられたはずだ・・・」
ここでダニエル・エルスバーグ事件について触れておかなければならない。ランド研究所で国防総省のコンサルタントをしていたダニエル・エルスバーグ氏は、ベトナム戦争について大統領が米国民を欺いていることを示す国防省の秘密報告書(ペンタゴンペーパー)を複製し新聞社に渡し内部告発した。1971年にニューヨーク・タイムズ紙などがこれを報道した。ニクソン政権は「国家安全保障の脅威になる」として、掲載の差し止めを求めたが、連邦最高裁は棄却。米国憲法の修正第一条(表現の自由)をめぐる歴史的判決となった事件である。
エルスバーグ氏は、告発に踏み切ったのが遅すぎたことを次のように反省する。
「・・・報告書のコピーを最初に持ち込んだ相手は、上院外務委員長のフルブライト議員だった。とても影響力のある政治家だったし、ベトナム戦争にも批判的だった。だが、当時はニクソン大統領の人気が高かったこともあり、結局、公聴会で取り上げてくれなかった。
反戦の立場だったマクガバン上院議員にもコピーを渡した。しかし、大統領選挙への出馬を準備していたこともあり、公表に二の足を踏んだ。
それでニューヨーク・タイムズ紙に渡すことにした。掲載してくれる唯一の新聞だと思ったし、ベトナム時代に知り合ったニール・シーハン記者がいたからだ
・・・告発に踏み切ったのが遅すぎたことを反省している。私が議員とのやりとりで時間を無駄にしているうちに、カンボジアやラオスにまで戦線が広がってしまった。戦争をやめさせるための告発だったから、爆弾が落とされてからでは遅い」
エルスバーグ氏が冒頭の発言を行ったのはこの後である。彼の言葉を繰り返そう。
「・・・イラク戦争でも、開戦前から軍や情報機関の中では疑問や不満が出ていた。もっと早い時点で勇気ある内部告発者が出ていれば、戦争は避けられたはずだ・・・」
重い意味を持つ言葉である。
それにしても、日本政府は、何を根拠に米国のイラク攻撃を正しいと判断し、これを支持したのであろうか。どのような議論が当時政府内部で行われていたのか。米国の間違った情報操作に騙されたのか。あるいは米国が間違った戦争をしても、それでも米国を支持すると最初から決めていたのか。
もし日本に内部告発者があの時現れていたとしたら、あのような虚偽の理由で行われたイラク攻撃を支持すべきではないという国民の声が彷彿として湧き上がったであろう。その結果さすがの小泉首相もあそこまで胸を張ってイラク攻撃を支持することは出来なかったであろう。
今からでも遅くない。当時の政府内の議論を告発する者が現れてほしいと思う。間違いを正し、その間違った政策をとった指導者に責任を取ってもらうために。
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