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(回答先: JA事業分割論再び 規制改革会議 【売国奴会議、どうにかならんかな】 投稿者 heart 日時 2005 年 11 月 29 日 17:12:41)
これによると、ホリエモンも、「農協が崩壊するとなると、すごいビジネスチャンスになる」と言ったとか。
(以下、http://www.jacom.or.jp/jake/jake101w05112403.htmlより一部抜粋)
人々を豊かにする道具として「協同組合」を考える
農業協同組合研究会 第2回シンポジウム
「農協批判の本質を探る 農協改革・発展の課題」(11月12日、東京都内で開催)
基調報告
農協批判の裏にある「強きを助け、弱きを挫く」思想
梶井功氏(東京農工大学名誉教授)
◆批判強める経団連の提言
現代の農協批判の本質的なファクターはグローバリズムを支配している市場主義にあるといっていい。
市場主義の基本的な特徴はかつて故三輪昌男教授が的確に指摘したように「強きを助け、弱きを挫く」だろう。こうした政策の皮切りとなったのは、1986 年の前川レポートではないか。この年にウルグアイ・ラウンドが始まっているが、前川レポートを皮切りにして経団連から87年の「米問題に関する意見」、 88年の「食品工業の原料確保に関する見解」と政策提言が相次ぐ。しかし、この段階では米の流通自由化の促進と原料米の価格が高いことを指摘して輸入自由化を提言するにとどまった。
農政はこの段階ではまだ食料安全保障を主張して自由化に抵抗していた。たとえば、89年にはガット事務局を通じて各国に対して食料安保に関する日本政府の見解を示している。輸出国が食料供給を保障するといってきたのに対し、それは当てにできないとはっきり書き、いざという時には国内で供給できる体制を保持しておくことは国の責任だということを外交文書で明確に主張していた。
しかし、90年代から少し様子が変わる。
それをよく示しているのが92年に経団連が出した「21世紀に向けての農業改革のあり方」。構造政策の推進に力点を置き、大規模経営を育成すればコストは5割削減できると主張。低米価に耐えられる強靱な経営ができると提言した。また、初めて農協改革についても提起するが、経営マインドを持った営農指導事業、経済事業に取り組むことを求めるにとどまっていた。
が、97年の「農業基本法の見直しに関する提言」になると様相が変わる。
ここで農協に対して、とくに全国組織の農協連合会に独禁法の適用除外が妥当かどうか検討する必要があると提起した。独禁法の適用除外問題が経団連から出たのはこのときが初めてで、同時に農地制度についても提言し、株式会社の参入問題を初めて公式文書で取り上げた。
◆財界要求と農政自体の変化
92年ではまだ穏当だったが97年でなぜこれほどまでにトーンが大きく変わったかといえば、長期不況が大きく影響している。GDPの対前年比をみると 90年では8.0%だが、92年には1.9%、97年には0.6%へと落ちた。この不況のなかでいよいよ「弱きを挫く」にまで踏み込まないと、事業分野を拡充できないと判断するようになったといっていい。
同時にこうした経団連の提言を引き出すような農政の変化もあったことを注目しておく必要がある。
92年に新しい農業、農村、食料政策の方向、いわゆる「新政策」が出される。そのなかで新基本法にも入っている「効率的かつ安定的経営体」という概念が初めて打ち出された。今の政策を先取りするような方向である。
株式会社の問題についても現在の段階では参入を認めるわけにはいかないが、その利点を十分に検討することが大事だと具体的に提起された。
農政担当者の考え方に変化が出てきたということが、財界の農政要求を質的に変えさせた面があるといっていい。農政担当者の考えが農基法とは違ってきたということが前提になって財界の要求も変わってきた。農政の内部それ自体に出てきた効率的かつ安定的な経営体を助ける、つまり強きを助けるためそこに施策を集中させるという方向、そして国内価格の引き下げによる内外価格差の縮小、まさに弱きを挫く方向を財界としても推進するということになったのである。
◆農業、農村がターゲットに
さらに2000年代に入ると財界の要求はエスカレートする。
この背景については横浜国大の田代洋一教授が日本経済の不況からの回復の仕方が変わったことを的確に指摘している。田代教授によると、80年代では不況から好況に回復していくときには、企業収益が高まっていくのと同時に賃金も高まったという特徴があった。しかし、90年代になると企業収益は回復しても賃金は上昇しなくなり、さらに2000年代では企業収益は回復しても、賃金は逆に下がっていくという事態になっているという。
農政に対する財界の要求がエスカレートしてくる理由もここにあると思う。経済界はグローバル化のなかでシビアな競争を展開しなければならなくなっており、新しい事業分野を求めている。農業、農村にもビジネスチャンスがあるではないかと財界は考えたのではないか。
その象徴的な例として田代教授はホリエモンこと堀江貴文氏の発言を挙げている。「高くてもいいからおいしい野菜を食べたいという人は多いが残念ながらそれを流通させる仕組みがない。それは農協が農作物の流通をはじめ農家の経済の根幹を握っているから。農協は日本最大級の金融機関でもある。農協が崩壊するとなると、すごいビジネスチャンスになる」(週刊ダイアモンド・04年12月25日、05年1月1日合併号)。
この点を端的に示したのが総合規制改革会議の第二次答申である。
そこでは農協系統事業の見直しとして、区分経理の徹底、信用・共済事業のあり方、信用・共済事業を含めた分社化、他業態への事業譲渡等の組織の再編が可能となる措置を検討すべき、と提言した。
この答申がきっかけになって農協に対する批判、事業分離、独禁法適用問題などが出てくることになった。一連の財界の農協批判はこれ以降、弱者を挫き強者を育てて新しい事業分野を求めていこうという姿勢を明瞭に示していく。
◆利益追求にらむ農地制度改革
これらの財界の要望のなかでも農地制度についてはもう勝負あったのではないかと思っている。
97年の経団連提言では農地制度改革について具体的に提言している。「株式会社の農地取得を認めるにあたっては、段階的に進めていくことが考えられる」と指摘し、第一段階として農業生産法人の株式会社の出資要件の大幅な緩和、第二段階として借地方式による株式会社の営農を認める、そして最終的に一定条件のもとで農地取得を認める、と提言している。
これに即して2000年に農地法改正が行われ、農業生産法人の一形態として株式会社を容認する。そして03年の経営基盤強化法の改正で出資要件が緩和された。
さらに同じ年に特区のリース方式がスタートし、05年の経営基盤強化法の改正ではリース方式の全面展開が認められた。
非常に問題だが、いわば勝負あったというかたちになっている。従来は営農に精進するという人たちに農地の利用権を認めていたが、利益追求の株式会社は営農で利益を上げるよりも非農業的土地利用で利益を追求することになると思う。
強きを助ける方向の典型は、品目横断的所得安定政策の対象を限定したことである。集落営農が認められたことから対象が拡大したと安心している向きもあるようだが、対象を限定するというのが趣旨だし、財政的にも現行の予算枠のままか、むしろ総額としては減るとみたほうがいい。
これでは構造改善は進むどころか政策の対象ではない農家の方は営農意欲をなくして耕作放棄も進み、自給率はかえって低下してしまうのではないかと思う。
いちばん問題なのは、自給率が低下して日本の農業が荒廃しかねないということについて、農政はどうもそれでよしとしているのではないかという点だ。
◆農協攻撃と日本農業の衰退への懸念
米の生産調整の取扱いもそこからきている。生産調整については、米政策改革大綱以来、価格維持のための生産カルテルだから農業団体が主役になって取り組めとなっている。
しかし、それで本当にうまくいくのか。本来、生産調整とは、水田にすべて米を作付けしたのでは余ってしまうので米の作付けは減らす、しかし、水田がつぶれてしまってはいざというときの食料安保面で困るから水田はつぶさないで、転作をしてくれというのが本来の政策目的だったはず。生産者のカルテル行為だとしてしまったことは、生産調整についての政策に責任を放棄したことになる。
それが強きを助け、弱きを挫くという方向と裏腹になっている。つまり、効率的かつ安定的な経営体ができれば低米価でも耐えられ生産調整などしなくても済むようになるという考え方だが、それは生き残るのはごく少数者でいいという考え方である。日本農業全体としては縮小再生産、これを農政としては覚悟しているのではないか。そして、財界としてはビジネスチャンスになるということから、信用・共済事業をはがして農協という競争相手を弱体化させるために問題提起をしているのではないか。農政の動きと財界の動きは軌を一にしているような気がしてならない。
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