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>>日々通信 いまを生きる 第186号 2005年12月21日<<
http://tizu.cocolog-nifty.com/heiwa/2005/12/186_20051221__7c3a.html
耐震強度偽装問題
耐震強度偽装問題は姉歯元一級建築士に関連するものだけでなく他
にも疑惑の建築があるという。いまの不安は底の知れない不安だ。
1998年以後の低価格と豪華さを誇ったマンションブームに乗って、
なけなしの金を頭金にし、多額のローンを組んで、ようやくマイホー
ムを獲得した人々が、いま極度の不安にさらされている。
さらに建築基準が改正される1981年以前の建築の強度はいまの基準
に達しないものが大多数だということも、古い家に住む私たちを耐え
がたい不安に追い込んでいる。。
それ以外の住居にしても、建築業者や建築審査が信頼できないとす
れば、けっして安心できるものではない。
その全貌が明らかになれば国全体が恐慌状態に陥らなければならな
いと思われる。
危険だとわかっても、どこにどう避難すればいいのか。家を建て替
える費用をどうすればいいのか。誰にどう補償を求めればいいのか。
私自身としてはどうしようもない思いだ。
地震で壊れたらその時のことだ。それまで、できるだけ考えないよ
うにして、したいことをしていようなどと、やけっぱちなことを考え
たりする。
今度の事件については国や地方自治体の補償・援助がすばやく提案
されているが、この犯罪事件に眼を奪われて、いまおこっている不安
の全体を見うしなってはならないだろう。
まして、建設業界との関係が強い政治家たちが、このような対応で
累が我が身におよぶことを避けようとするのではないかという思いに
つきまとわれ、いまの騒ぎは問題をごまかすためのものではないかと
思われて空しさをまぬがれない。
問題の根本は建築確認とか建築審査を通過して、安全とされたもの
がこのような欺瞞に満ちていて、信頼できないということだ。
建築の内容が素人である買い手、一般居住者にわからないのだから、
当然専門家の審査結果を信頼するしかないのだ。
この審査が信頼できないということになれば、私たちはなにをすれ
ばいいかわからない。
この審査の杜撰さ、それに対する国や地方自治体の責任が十分糾明
されているとはいえない。この問題を徹底的に追及することなく、自
己責任などという言葉が出てくると、怒りを通り越し、絶望のあまり、
言葉がなくなる。
官から民へで民間の審査機関が建築確認事務をすることになったが、
これがいい加減なものだった。姉歯によればほとんど見ていないので
はないかと言う。
営利主義の民間企業が検査をするのは問題だ。依頼人がお客なのだ
から、検査期間をはやく、検査基準をゆるくするのがサービスで、サ
ービス競争の行き着く果ては素通り検査ということになってしまう。
さらに、もんだいは自治体の検査機関も素通りだったことだ。
なんのための検査基準であり、検査機関なのだ。
平然として語られる実態を聞かされては茫然とするばかりだ。
建築基準ばかりではない。食品も交通も、水道も電気も私たちの生
活は安全の保障をすべて公共機関に依存しているのだ。この事件が呼
び起こした不安の深刻さは、公共機関の安全検査に対する信頼がうし
なわれたことにある。「小さな政府」と得意気に言う人たちがいるが、
こんなにでたらめな政府なら、小さくても、大きくても、ない方がま
しだとさえ思われてくる。
私たちの生活はますます社会化し、公共性が強まっているのに、ひ
たすら私利私益を追求し、公共性を軽視する傾向が急激に強まってい
る。私たちの不安、生活の危機感の根源はここにある。いま、私たち
は眼の前の事態に対処するとともに、この問題の根源にある現代社会
の公共性欠如の克服について思いを深めるべきなのだろう。
公共性軽視による社会崩壊の危機は国家主義の動きを強めている。
愛国心を強調して、国家と道徳の名において、個人の権利を抑圧しよ
うとするものである。
日本の過去の経験はこのような国家主義が国民を戦争に動員し、反
対者を非国民、国賊の名において弾圧し、国民を不幸に陥れたことを
教えている。
夏目漱石は「私の個人主義」で「国家的道徳というものは個人的道
徳に比べると、ずっと段の低いもののように見える」「元来国と国と
は辞令はいくらやかましくっても、徳義心はそんなにありゃしません。
詐欺をやる、ごまかしをやる、ペテンにかける、めちゃくちゃなもの
であります」と述べている。
いまは営利追求を至上命令とする私企業絶対化と国家主義がむすび
ついて、国民生活を抜け道のない不安に追い込んでいるのだ。私たち
に必要なことは、当面、具体的にこの不安を解消するための抜本的な
対策を求めると同時に、このような不安を招いた営利追求を至上命令
とする民間企業を絶対化して、公共性を軽視してきた長年の自民党支
配の責任を追求し、国民の安全と福祉をまもる公共の福祉を基盤とす
る政治の実現を求めて努力することだと思う。
憂鬱なことがつづき、寒さにも負けて、体調がすぐれなかったが、
昨夜は、思い切って早寝をして、いくらか元気を取り戻した。
皆さんも体に気をつけて、寒さの冬を元気にお過ごしください。
伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu
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