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ある秋の日曜日
11月13日の日曜日、私は大阪大学豊中キャンパスで開かれた「市民と学生でつくる平和のための講演会」を聞きに行った。各地の講演会で一緒になって知己を得た高遠菜穂子さんとアレン・ネルソンに久しぶりに会いたいと思ったからだ。
高遠さんがビデオを見せながら話すイラクの実情はあまりにも悲惨だ。メディアが殆ど伝えることのない米軍のイラク人虐殺は今も毎日のように続いている。それを知った者は誰もが怒りに体をふるわせるだろう。誰もが米国の戦争犯罪を認めることであろう。問題は、メディアがそれを伝えない事だ。そして誰もそれを見たくない、知りたくない、自分には関係ないと逃げてしまう事だ。
ベトナム戦争帰還兵のアレンさんは、今の日本に鋭い問いかけを行った。貧しい黒人家庭に生まれたアレンさんは、その貧困から抜け出す為に海兵隊に志願してベトナムへ行った。そこでベトナム人を殺し、そして自らの間違いに気づいた。残りの人生を平和活動にささげることによって償いをしたい、そういわんばかりにアレンさんの講演活動は精力的だ。そのアレンさんが我々日本人に鋭く迫る。米国ほど世界中で戦争を行っている国はない。軍人は敵を殺すことしか考えてはいけないように洗脳される。その多くは下層階級出身者である。指導者は安全なところから命令するだけだ。ブッシュ大統領が娘を戦地に送ったことがあるか。小泉首相の息子はビールのコマーシャルには出るがサマワには決して行かない。戦争国家米国の基地を日本はいつまで許すのか。それどころか今米国は日本の基地を強化して固定化しようとしている。米国は日本を守っているのではない。とことん利用しているのだ。平和国家日本は目を覚ますべきだ。
とんぼ返りして東京に向かう新幹線の電光ニュースが、小池環境相と杉村タイゾー議員がテニスの試合を楽しんだことを流していた。テニスをすることが悪いとは言わない。しかし何故このことがニュースになるのか。小池百合子大臣は沖縄の海兵隊飛行場建設によって傷つくさんご礁のことで心を痛めたことがあるのか。杉村議員はこれまでに一度たりとも政治家として自衛隊のイラク派遣について発言した事があるのか。同じ年頃の若者が平和活動をしていることを考えた事があるのか。
なにげなく目を通した新聞の次の随筆が、沈んだ私の心をなごませてくれた。三宅雅子という作家の「林の中を“至福の迷子”」という題の随筆である。
「・・・昨年11月、ドイツへ行ったとき、雇ったバスの運転手が道を間違え、林の中へ入ってしまった。
行けども行けども、紅葉の真っ只中、あっちも紅、こっちも紅。バスも人間も紅色に染まった。同乗の新聞社のカメラマンが、『奥多摩の紅葉は日本一だが、それよりも綺麗だ』とため息をもらした。
林の道は狭いので、バスはゆっくり進む。わたしたちは紅に染まりながら、いつまでも、迷子のバスでありたかった。まさに至福の迷子だと思った。」
今日本は各地で紅葉が美しさを競っている。この美しさをめでることができるのも平和だからこそである。
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