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日本人はなぜ無宗教なのか
http://ch.kitaguni.tv/u/10977/%a5%b3%a5%e9%a5%e0/%cb%dc/0000266015.html
や日本人の宗教観と靖国神社
http://ch.kitaguni.tv/u/10977/%a5%b3%a5%e9%a5%e0/%a4%bd%a4%ce%c2%be/0000277475.html
などのエントリーでも「国家神道」について若干触れましたが、じゃあその「国家神道」ってそもそもどんなものだったのでしょうか。その名もズバリなこの本で学んでみましょう。
本書「国家神道」は、戦前の日本を支配した国家神道制度が、どのように成立し、どのようにして機能したかを検証した現代の古典です。第一章では、神道の体系化と成り立ち、権力との結びつきなどが示されます。現在我々が「神道」と認識しているものの多くが、仏教の影響を受け、自らの存続の為に体系化する事を必要として生み出されたものであることが解ります。それとともに、完全な原始宗教とも完全な創称宗教ともことなる神道の特徴と、国家神道という民族宗教の母体としての存在が理解できます。
そして後半では明治以降の国家神道の成り立ちとあり方が記述されます。この中で最も重要なのは、国家神道という存在が、従来の神社神道を国家的な宗教として扱われることで誕生したのではなく、神道を受け継ぎながらも新しい形の宗教として生み出されたものである、ということです。事実明治以降に国策として創られた神社には、それまでの神社には存在しなかった性質のものが多く見られます。本書では、以下の4つに分類されています。
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(一)近代天皇制国家のための戦没者を祀る神社(靖国神社、招魂社、護国神社)
(二)南北朝時代の南朝方「忠臣」を祀る神社(湊川神社、阿部野神社等)
(三)天皇、皇族を祀る神社(壇原神宮、平安神宮、明治神宮等)
(四)植民地、占領地に創建された神社(朝鮮神宮、建国神廟昭、南神社等)
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靖国問題については、靖国神社は日本の「伝統」や「文化」の問題であり、日本固有のものであるから、他国の価値観とは違っていて当然だし、他国から干渉される問題でもない、という主張がしばしば聞かれます。このようにして「伝統」とか「文化」といった言葉をあまりにも政治的な文脈で語るのも問題ですが、(伝統だったら政治的な問題が発生しない、というわけにはいかないし)さらに問題なのは、こうした主張が、靖国神社が日本の伝統に則した存在とはとてもいえないものであり、むしろ近代以降の国家神道を象徴するであるということを、まったく無視していることです。靖国神社の顕彰のありかたが、それ以前の日本の追悼のあり方とどのように違っているのかは、また項を改めたいと思いますが、靖国神社の存在そのものが、きわめて政治的に歪められて成立した国家神道の所産であることは、この区分けからも十分に理解できると思います。
また、これとは逆に金光教や天理教などの神道系の新宗教は大弾圧にさらされます。このようにして神道は、地域に親しまれるムラの鎮守としてではなく、個人の救いを目的とする宗教としてでもなく、天皇制国家を権威付け、臣民を一つにまとめるための道具となりました。そしてその変遷の過程で奪われてしまった、自らが滅ぼし、殺した者を慰める精神や、宗教としての神道の発展の可能性は、現在へ至る日本人の宗教意識の貧困さの原因となったとも言えるでしょう。
国家神道という宗教を事細かに記述してあるため、靖国問題や日本人の宗教観といった様々な角度から読み解くことが可能な名著です。国家神道について理解を深めたいなら、まずは読んでおきたい一冊です。
投稿者:ゲーナ at 00:09
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