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http://www.be.asahi.com/20051105/W12/20051031TBEH0007A.html
小泉純一郎首相が靖国神社を参拝した10月17日、私はワシントンDCを訪れていた。過去4回の時と同じように、参拝直後、中国、韓国などからは強い反発の声が上がった。だがそれはアジア諸国だけの声ではない。米国でも、小泉首相の度重なる靖国参拝には否定的な見方が多い。
翌日のワシントン・ポストは、〈小泉の靖国参拝がまたアジア諸国を怒らせた〉という見出しを掲げ、〈危険なことは、首相の参拝によって、日本が東アジアの中でどんどん孤立していくことだ〉という学者の言葉で記事を結んでいる。
だが、実は、報道を検証するまでもなく、米国の態度は、ワシントンの国立スミソニアン博物館を訪問すれば一目瞭然(りょうぜん)である。
米国歴史博物館の戦争コーナーの一角で、1組の米国人夫婦が立ち止まっていた。腕組みをして、にらみつけるように見つめる先には、第2次世界大戦における敗戦国(日本、ドイツ、イタリア)側の「独裁者」の顔の大写し。ヒトラー、ムソリーニ、そして、東條英機――。
戦後の講和条約等で「戦犯」と認定された3人を断罪する展示パネルにまったく差はない。私たち日本人にすれば、ヒトラーと東條元首相の扱いが同じであることが驚きだ。だが、先月末来日した米政府高官によれば、米国では、ヒトラーもムソリーニも、トージョー(東條)も、等しく「独裁者」、同じ「戦犯」だ。
その東條元首相が合祀(ごうし)されている以上、東京裁判の是非は別として、小泉首相の靖国参拝に賛同の意を示す国はまずないだろう。トージョーがヒトラーと同じ扱いである以上、小泉首相の参拝は、乱暴かもしれないが、メルケル独首相がヒトラーの墓参りに行くことと一緒なのではないか。少なくとも17日、スミソニアンにいた米国人夫婦は、そう感じているだろう。
国内で戦犯の合祀(ごうし)の準備が始まったのは1956年。59年にはB、C戦犯を合祀。78年には、東條元首相を含むA級戦犯の合祀も実現した。それ以降、日本外交が靖国問題という弱点を抱えた。それまでは、51年の吉田茂内閣全閣僚・衆参両院議長の公式参拝に始まって、翌年以降、昭和天皇、皇后そろっての計3回の行幸啓など、日本は戦後、堂々と国家の英霊への参拝を行ってきた。
政治、外交、戦争、すべては結果で判断される。国家として、サンフランシスコ講和条約で屈した以上、14人のA級戦犯の合祀は国際的な理屈に合わない。広田弘毅元首相ら外交官出身の文官などが交ざっていたとしても、だ。
東條元首相の遺骨は太平洋に撒(ま)かれ、靖国神社にはない。書類一枚でA級戦犯を合祀したのだから、分祀も難しいことではないはずだ。小泉首相は、靖国神社参拝の意義を、世界に説明できないでいる。同盟国(米国)の国立博物館の展示パネルすら変更できない以上、日本が変わるしかないのだろう。
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