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いっちょ現代語訳でも…/教育勅語(暁を撃て!)
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投稿者 七瀬たびたび 日時 2005 年 11 月 02 日 07:39:58: bo2NmpzpRHGO6
 

http://ch.kitaguni.tv/u/10977/%a5%b3%a5%e9%a5%e0/%a4%bd%a4%ce%c2%be/0000283229.html

「教育勅語を現代の教育に取り入れよう!」という主張は日本の保守派からよく聞かれます。では、その教育勅語ってどんな内容なんでしょう?とりあえず私は大学の講義で現代語訳することになりました。

訳にあたり一応の目標として、出来る限り客観的で直訳に近く、原文の表現のニュアンスが伝わりやすいものにしよう!ということを掲げました。現在の教育にふさわしいかどうかを判断するためには内容の正確な理解が必要ですからね。さて、まずは原文です。

教育ニ関スル勅語
朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠(こうえん)ニ徳ヲ樹(た)ツルコト深厚(しんこう)ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥(よよそ)ノ美ヲ濟(な)セルハ此レ我ガ國軆(こくたい)ノ精華(せいか)ニシテ教育ノ淵源亦實(えんげんまたじつ)ニ此ニ存ス爾(なんじ)臣民父母ニ孝ニ兄弟 (けいてい)ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉(きょうけん)己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發(けいはつ)シ徳器ヲ成就シ進(すすん)テ(で)公益ヲ廣(ひろ)メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重ジ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉ジ以テ天壌(てんじょう)無窮(むきゅう)ノ皇運ヲ扶翼(ふよく)スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラズ又以テ爾(なんじ)祖先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實(じつ)ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶(とも)ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖(もど)ラス朕爾臣民ト倶ニ挙挙(けんけん)服膺(ふくよう)シテ咸(みな)其(その)徳(とく)ヲ一(いつ)ニセンコトヲ庶幾(こいらねが)フ
明治二十三年十月三十日
   御名御璽

…ルビふるだけで疲れます。で、次が私の訳文です。

教育勅語
私が思うに、私の尊い先祖である天照大神と、神武天皇を初めとする代々の天皇が国を治めたのは歴史も深く、まことに徳の厚いものであった。
私の臣民が、忠義と道徳によって心をひとつにし、代々にわたって素晴らしい世の中をつくってきたことは、わが国の素晴らしい特徴であり、教育の大元もここにあるものである。
お前たち臣民よ、父母を敬い、兄弟親しく、夫婦は仲むつまじく、友人と信じ合い、うやうやしく謹み己を律し、博愛の精神を周囲にもたらし、学業を習い、これを修得し、英知を養い、道徳を身につけて進んで公益のために務めを果たし、憲法を重視して法律に従い、もし国家に危機が迫れば義勇の精神を(※1)君主たる天皇にささげ、(※2)天地とおなじく不滅である皇室の繁栄を助けよ。
このことは、私の忠実で善良な臣民であるお前達のためだけではなく、お前達の祖先の遺したすばらしい精神を顕彰するためでもある。
この道は私の尊い先祖である天照大神と神武天皇を初めとする代々の天皇の遺した教えであり、その子孫である臣民が遵守すべきものであり、それは今も昔も変わらず、また、世界にもたらしても間違いのないものである。
私もお前たち臣民とともにこの教えを胸に刻んで遵守し、この道徳を共に実現したいと心から願うものである。
 明治天皇

※1この部分は当初、「公に捧げ」と訳していましたが、esdさんに「公ニ奉シ」は奉公の書き下し文であると教えていただきましたので、このように訂正しました。
※2天壌無窮(てんじょうむきゅう)…天地が不滅であることと同じく不滅であること。日本書紀における「天壌無窮の神勅」という文言に由来する。天照大神が皇孫ニニギノミコトに下した命令で、このような意味で天皇の統治する世を永遠に治めよと命じた、とされている。

…一応直訳としてはこんなもんじゃ無いでしょうか。間違いありましたらお教えください。

一見して感じるのは、この文章が、絶対的立場にある天皇から、それに従属する臣民に向けて「こうしなさい」と命令するものであり、(勅語なんだから当たり前ですが)そして目標とされているのは、個人個人ではなく「公」を守り、繁栄させることだという点です。そしてその「公」とは、人権や尊厳を持つ個人(わたしたち)の集合体ではなく、下部に位置する「臣民」とは別次元に存在するものであり、この場合はイコール天皇であるといえるでしょう。

教育勅語を肯定的に語る人がよく持ち出すのは「爾臣民父母ニ…」から「国法二従ヒ」のあたりに描かれる一般道徳についてのべられた部分ですが、ここにも個人の権利や命の大切さ、精神的自由など、「個人の尊厳」に大元を置くような事柄は一切のべられません。それらは、教育勅語にはまったく必要のないものだからです。

そして、この文章が「一旦緩急アレハ」という部分に直結していることも重要です。この文言が「天皇のため、お国のために戦って死ね」という戦前教育の源であり、そしてこの部分こそが教育勅語全体の中心でもありました。(学校などでは校長が教育勅語をことあるごとに読み上げるのですが、朗読がこの部分にさしかかると改めて姿勢を正し最敬礼するのが慣例でした)

いくらなんでも現代の教育にこんなもん持ち込まれちゃたまらんよなあ、というのが訳してみた私の正直な感想なんですが、そこで気になるのが、「教育勅語を肯定的に語る人たちは、内容をどのように理解しているのだとう?」ということです。次回は、そこについて見てみましょう。

http://ch.kitaguni.tv/u/10977/%a5%b3%a5%e9%a5%e0/%a4%bd%a4%ce%c2%be/0000283453.html

「教育勅語を肯定する人たちは、どんな解釈をしているのだろう?」そんな思いで訳文を探してみると、思っても見ないモノが出てきました。

最初は何かの本でも当たろうかと思っていましたが、ネット検索してみると「国民道徳協会訳文」なる文章を掲載しているサイトが結構出てきました。どんな協会なのかはよくわかりませんが、名称と内容から、教育勅語を肯定している立場であることは間違いなさそうですし、掲載しているサイトもみな礼賛しているようなので、これはいいやと思ったのですが、読み始めてのけぞりました。訳があまりにもひどい!

もちろん私は日本語の専門家でもなんでもありませんが、それでもこの訳が非常に不正確なのは充分わかります。しかもその間違いの内容も、「単語の意味合いが違う」といった程度のものではなく、「文章そのものの意味が完全に替わっている」という壮絶なものです。普通に訳文として添削したら赤点とって落第モノですが、この訳文を読んでいるうちに、「使い方によってはこれも題材になるなあ」と思い、おかしい箇所を挙げてゼミでの発表に活用することにしました。とりあえず「国民道徳協会訳文」は以下のとおりです。不自然と思われる箇所にアンダーラインを引き、どの辺がおかしいのかをカッコ内に書いてみました。

教育勅語
私は、私達の祖先が、(「我カ皇祖高宗」と意味が全く異なる。大体「私達」って誰?)遠大な理想のもとに、道義国家(原文に存在しない表現)の実現をめざして、日本の国(原文に「日本」という言葉は存在しない)をおはじめになったものと信じます。そして、国民(以下、「臣民」がすべて「国民」に)は忠孝両全の道を全うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。
国民の皆さんは、(爾臣民=国民の皆さん?)子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動を慎み、全ての人々に愛の手を差し伸べ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格を磨き、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また、(「國憲ヲ重ジ」の訳が無い)法律や,秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心を(「義勇」と「真心」ではまったく意味合いが違う)捧げて、(「公ニ」という部分が略され、「奉公」という意味は完全に消されている)国の平和と安全(原文にこのような文言は存在しない)に奉仕しなければなりません。
(この部分に入るはずの、「以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」がまったく訳されていない)
そして、これらのことは、善良な国民としての(「朕カ忠良ノ臣民タル」の訳としてきわめて不自然)当然の努めであるばかりでなく、また、私達の祖先が、今日まで身をもって示し残された伝統的美風を、さらにいっそう明らかにすることでもあります。
 このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私達子孫の(「子孫臣民ノ」がなぜか「私達子孫の」に)守らなければならないところであると共に、この教えは、昔も今も変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国で行っても、間違いのない道でありますから、私もまた国民の皆さんと共に、祖父の教えを胸に抱いて、立派な日本人となるように、(この辺りの表現は、一体どこから出てきたのだろう)心から念願するものであります。
(原文はどう見ても敬語ではない。そもそも勅語が敬語であるはずがない)

…ここまでくると、訳が正確とか不正確とかいう問題ではなく、もはや別物です。特に最後の「立派な日本人」などという部分は完全な創作というほかありませんし、一連の訓示のシメであり、もっとも重要なはずの「以テ天壌無窮ノ…」というくだりはバッサリと無視されています。誤訳というより、意識的に書き換えてるとしか思えません。なぜ、「教育勅語はすばらしい!」と言っている人たちが、こんな訳文をつくり、同じ主張の人たちが利用するのでしょうか?

早い話が、彼らは口では教育勅語を礼賛しながら、実はその内容が現在の一般国民に受け入れられるようなものではないと理解しているということなのでしょう。天皇が臣民に下す命令という特色をなくすため、口調は敬語になり、「爾臣民」は「国民の皆さん」にされてしまい、「私達」などという存在しない概念が登場します。そして「皇祖高宗」という単語は、元々天照大神と歴代の天皇を指す言葉であるのに、なんと「私達」の「先祖」になっています。天皇に従属することを表す「忠良ノ臣民」は「善良な国民」になってしまいしたし、皇室のため戦え、という部分は完全に削除されてしまいました。一方で、一般道徳について述べた部分は、さして誤訳もありません。

要するに、教育勅語を直訳して国民に受け入れられる部分があるとすればこのあたりしかないということを、教育勅語を礼賛する彼ら自身が知っている、ということです。これは、この訳文にかぎりません。「教育勅語を現代の教育に!」と主張する人たちは、たいていこの一般道徳の部分を持ち出しはしますが、決して「天壌無窮…」の部分を持ち出すことはないのです。それこそが、教育勅語の中心であるはずなのに…。

素晴らしいと主張する内容を勝手に書き換えるとは自己矛盾も甚だしいではありませんか。言いようによっては、教育勅語を真に肯定している人など誰もいない、ということにもなります。(もちろん、教育勅語を礼賛する人のすべてがこの訳文で納得するわけではないでしょうが)

なんにせよ、「君主である天皇のため奉仕し、戦え」という教育勅語の主眼が、現在の国民に受け入れ不可能であり、教育にとって不適切甚だしいことは、もはや誰の目にも明らかであるといえます。もし今後、「教育勅語を見直して教育に取り入れよう!」なんてことをぬかす人が現れたらこう言ってみるといいかも知れません。
「じゃあ、あなたまず現代語訳してみてくださいよ」

投稿者:ゲーナ at 00:03

ライトバック

確かにひどいですよね
初めまして。この訳は全くひどいですね。

私もこの手の誤訳で一番嫌いなのは、
「爾臣民父母に孝に兄弟に友に…義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」の文です。
これ、構文を解析すると「爾臣民(父母に孝に・兄弟に友に・…義勇公に奉じ)以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」となり、要するにこのエントリで指摘された「教育勅語を直訳して国民に受け入れられる部分」というのが全部まとめて「皇運を扶翼す」る為にそうしろと言っているという事になっているんですね。父母に孝という身近なところから国の戦争まで順番に広がって行っていますから多分その方が正しい。あと、「公に奉じ」は「奉公」の書き下しなのでおそらく公共ではなく国家の指導者に仕えよという意味に本来ならばなると思います。


私としては、教育勅語を「現代語訳」みたいに読むことで現代に生かそうというのは、まあ馬鹿げているけれども個人の自由の範疇であると思っています。ただし、昔の人がどう読んでいたかをねじ曲げるのは明らかにおかしいと考えます。
投稿者: ESD at 2005 年 10 月 29 日 04:58:48

ありがとうございます。
たしかに、夫婦仲良く友人と信じ合うことも、「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼」するためなんですね。「爾臣民」から「扶翼スヘシ」まで一連の文章になっているわけで、ここを正確に訳さないと、比較的理解しやすい一般道徳の部分もまた意味をなさないという点も重要ですね。目的はあくまでも皇室なのですから。

>あと、「公に奉じ」は「奉公」の
>書き下しなのでおそらく公共ではなく
>国家の指導者に仕えよという意味に
>本来ならばなると思います
あ、なるほど!ご指摘ありがとうございました。早速訂正してみます。
投稿者: ゲーナ at 2005 年 10 月 29 日 16:35:36


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