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2005年10月31日(月)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-10-31/2005103115_01_2.html
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横須賀基地で原子力艦船の原子炉事故が起きれば七万七千人が犠牲になる――。同基地への原子力空母の配備発表で、十七年前、アメリカの大学教授が明らかにした事故被害の予測が改めて注目を集めています。
問題の被害予測をしたのは、米カリフォルニア大学のジャクソン・デイビス教授。一九八八年、市民団体からの依頼を受けておこなったもので、その結果を「日本の港に停泊した軍艦における核事故」(デイビス・リポート)としてまとめました。
事故は原子力艦船の原子炉が火災で四時間にわたって燃えた場合を想定しています。
■法令適用されず
事故によって炉心にたまっていた放射性物質が放射能雲となって東京上空へ移動。地表や食料、水道などを汚染、都市生活もマヒ状態に。短期的(被ばく)死者はがんなどで二万四千九百七十一人におよび、一週間でさらに二万五千五百六十五人が増加、その後の一年で二万六千九百九十四人増え、死者は計七万七千人を超えると予測しています。
原子力空母の配備について、蒲谷亮一横須賀市長は「何らの打診もなく突然通知があった。核に対する市民の不安は今なお根強い。反対だ」と表明。松沢成文神奈川県知事は「原子力軍艦は日本の法令が適用されず安全審査ができない。人口密集地でのリスクが大きい。到底納得できない」とのコメントを出しました。
原子力空母・原潜などがひんぱんに寄港している横須賀市では、五年前独自に「寄港中の米国原子力軍艦の原子炉にかかる万一の事故」を想定した防災マニュアルを策定し、市民ぐるみの訓練をしています。しかし米軍は「原子力艦船の事故はありえない」として、電話で「基地内の艦船に事故は起きていない」と回答するだけ。事故が起きても、通報義務もなく、住民の安全は置き去りにされたままです。
■世界各地で頻発
しかし、原子力艦船の事故は「ありえない」どころか日本をはじめ世界各地で頻発しています。
「原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会」によると、一九七五年には潜水艦母艦プロチュウスがグアム島で原潜からの放射能の強い冷却水を大量に放出。一九七七年には原潜と原子力空母の母港である米ピュージェット造船所で二週間に四件の放射能事故が発生、三人の労働者が被ばくするなどの事故が多発しています。
日本でも一九八〇年、沖縄ホワイトビーチで原子力巡洋艦ロングビーチの異常放射能事件が発生。一九九六年には原潜カメハメハと原潜トピーカが横須賀基地に寄港中に通常の三倍の放射能が計測され、九八年には横須賀港内で異常放射能が三回計測されている――といいます。
デイビス・リポートは「公的な調査にゆだねるまでは、軍艦推進用原子炉事故の可能性は計算不可能である」と指摘。「原子力艦の寄港を受け入れることは、日本の国民にとって計算不可能なリスクを受け入れることに等しい」と警告しています。
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▼原子力空母
重油を燃料とするのが通常型空母に対し、原子炉を搭載、それを動力とするのが原子力空母。海上に浮かぶ“原子力発電所”といわれます。
通常型に比べひと回り大きくニミッツ級で全長三百三十三メートル。長期間の航行が可能。加圧型の原子力軽水炉を二基備えています。原子炉の位置も出力規模も軍事機密で公表されていません。
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