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上限関税通れば稲作崩壊/九大教授らが分析
日本農業新聞[2005年10月25日付]
世界貿易機関(WTO)農業交渉で、米国と有力途上国グループ(G20)が主張する重要品目も含めた上限関税の全面導入案は、日本農業の中心の稲作までも崩壊させる重大な脅威になることが分かった。九州大学大学院の鈴木宣弘教授を中心にした研究グループは24日、最も厳しい米国提案の上限関税75%が万一設定された場合の日本の米への打撃を分析。それによると、米の品質格差を考慮しない場合、関税込みでも60キロ5000円程度の安い外国産米が日本になだれ込み、生産量は現在の3分の1に激減する。
この概算値について鈴木教授らは、輸入米価格や米の品質、生産動向などの前提条件で結果が大きく変動するため「あくまで参考値」とするが、米国による提案は、日本の稲作崩壊を示唆している。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/news/index1.html
WTO農業交渉/野心だけ先行させるな
日本農業新聞[2005年10月22日付]
「あなた方は野心のレベルが低い」「いや、私たちの提案は十分に野心的だ」
今、火花を散らしている世界貿易機関(WTO)の農業交渉で、キーワードとなっているのが「野心」だ。どちらかといえば情念的な言葉に聞こえるが、国際交渉の場では常にこの言葉が飛び交い、いかに自分たちが野心的かを競い合う。野心的とは、自由貿易に突き進む姿勢と同義語で使われている。
スイスのジュネーブでは、農産物輸出国側が、矢継ぎ早に農業交渉の新提案をぶつけてきた。上限関税の導入、重要品目の絞り込みなど、農産物の輸入国にとってはいずれも厳しい内容ばかりだ。提案説明の際の決まり文句は「十分に野心的」というものだ。
野心は、もともとの英語ではアンビションと表現されている。現状に安住せずに、理想を追いかけるという意味だ。「ボーイズ・ビー・アンビシャス(少年よ、大志を抱け)」。1876年に来日し、札幌農学校長になった米国のクラーク博士の名言は、このアンビションが要だ。
日本などが加わる食料純輸入国グループのG10は昨年7月、野心だけが先行する風潮に、「合意を得る唯一の方法は、野心と柔軟性との適切なバランスを図ること」との閣僚声明を発表した。しかし、その後の展開を見る限り、交渉場面で野心優先の風潮は全く止まっていない。
現在のWTO交渉は、ドーハ閣僚宣言に基づいて始まった。農業の分野では「交渉の結果を予断せずに、市場参入の実質的改善、すべての形式の輸出補助金の段階的撤廃を視野に入れた削減、貿易歪曲(わいきょく)的な国内助成の実質的な削減」という野心的な目標を掲げている。交渉の中で、野心のレベルが問われるのは、そもそもの発足の経緯からして十分予想されてはいたが、今の農業交渉の進行はあまりに異常である。
野心こそが正義で、それに異を唱えるものは、保護主義者として交渉の場からも排除されてしまう。貿易は輸出する側と輸入する側があって成立する。ところが現実の交渉は、すべて輸出国側の野心を中心に組み立てられている。
閣僚宣言は、途上国への「特別かつ異なる待遇」「非貿易的関心事項への配慮」を明確に確認している。非貿易的関心事項には、農業が果たしている多面的な役割が含まれる。だからこそ、各国にとって微妙な事情を抱える重要品目については、特別な対応をすることで合意を積み上げてきたはずだ。にもかかわらず、品目数を大幅に絞り、上限関税を適用するという「野心的」な提案が幅を利かせるのは明らかにおかしい。
自由貿易に向けた野心のレベルだけが交渉の物差しではないことを、各国の政府はもう一度思い起こすべきだ。WTO交渉では、利害の異なる関係者が納得できるバランスの取れた議論が求められる。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0510/22.html
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