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(回答先: 皇室典範:有識者会議報告書の全文 その3(毎日新聞) 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 25 日 21:12:57)
毎日新聞からhttp://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/koushitsu/news/20051125k0000m010161000c.htmlより引用
皇室典範:有識者会議報告書の全文 その4
2・皇位継承順位
《歴史と現行制度》
皇位継承順位については、明治典範制定までは明文の規定はなく、時代時代の社会情勢、価値観等に応じて様々な形がとられてきたが、歴史全体の流れとしては、直系継承へと向かい、直系継承が伝統の軸となっていった。皇位継承をめぐっては、歴史上、種々紛争も生じているが、皇統に属していることを不可欠の条件とした上で、母親の血筋、先例等によって、その即位の理由が説明されてきた。
明治典範において、初めて、明文の皇位継承順位が定められ、基本的にはこれを踏襲した現行典範の制度に至っている。
現行制度は、皇位継承資格を男系男子皇族に限定した上で、継承順位としては、まず天皇の子など直系子孫を優先し、天皇の子孫の中では年齢順に、長男とその子孫、次男とその子孫…の順に優先し、次いで近親を優先するものである。なお、明治典範との違いは、現行典範が、明治典範で認められていた非嫡系継承を否定したことに伴うもののみである。
この順位の考え方は、天皇の子など直系子孫に皇位が継承されることが歴史的にも多数を占めており、国民に受け入れられやすいこと、その中では年齢順を基準とすることが分かりやすく、世襲の在り方として自然であることなどを理由とするものである。
(1)皇位継承順位の設定方法
皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する場合、現行制度との連続性等も勘案すると、皇位継承順位の設定には以下のような方法が考えられる。
(1)長子優先の考え方
男女を区別せずに、現行の継承順位の考え方を適用して、天皇の直系子孫をまず優先し、天皇の子である兄弟姉妹の間では、男女を問わず長子を優先する考え方
(2)兄弟姉妹間で男子優先の考え方
(1)と同様に、まず天皇の直系子孫を優先した上で、伝統的に男性の天皇が圧倒的に多く、国民は天皇が男性であることになじんでいるという認識の下に、天皇の子である兄弟姉妹の間では男子を女子に優先する考え方
(3)男子優先の考え方
現在、男系男子のみが皇位継承資格を有することから、直系子孫を優先することよりも男子を優先することを重視し、まず、皇族の中で男子を優先した上で、その後に女子を位置付けることとし、男子、女子それぞれの中では、直系、長系、近親を優先する考え方
(4)男系男子優先の考え方
(3)において、「男子」に替えて、「男系男子」を優先する考え方
(2)直系優先の原則と男子優先の原則
上記4つの考え方の中では、(1)、(2)が、天皇の直系子孫をまず優先するものであるのに対し、(3)、(4)は直系、傍系を問わず、まず男子又は男系男子を優先するものである。
この点に関しては、
・皇位継承の在り方としては、過去から現在まで伝えられてきた皇位を将来につないでいくことが重要であり、この過去から将来への連続を象徴する形として、親から子に、世代から世代へと伝わる直系継承が最もふさわしい。国民の側から見ても、親から子への継承が最も自然なものと認識される。
・皇位継承者は、天皇の役割を継承する存在であり、天皇の身近で生まれ、成長された皇族であることが望ましい。
・皇位継承資格を嫡出子に限定する制度や少子化という状況の下では、直系子孫の中に男子が不在という状況は決して稀(まれ)なことではなく、(3)、(4)の制度をとると、傍系の継承により、天皇の系統が比較的頻繁に移転する結果となることが想定される。その場合、お代替わりにより従前の継承順位が変動するなど複雑な制度となり、また、皇位の安定性という意味でも好ましくない。(3)の制度の場合は、母親よりもその子(男子)の方が継承順位が上位になることとなり、世襲の在り方として不自然である。
・伝統的にも直系継承が多数を占めている。
ことなどから、まず、直系を優先する制度、すなわち、(1)「長子優先」又は(2)「兄弟姉妹間男子優先」が望ましい。
(3)「長子優先」と「兄弟姉妹間男子優先」
皇位継承順位については、国民が、将来の天皇として、幼少時から、期待をこめてそのご成長を見守ることのできるような、分かりやすく安定した制度であることが求められる。そのことは、ご養育の方針が早い段階で定まるということにもつながる。
このような観点から、「長子優先」と「兄弟姉妹間男子優先」とを比較すると、「兄弟姉妹間男子優先」の場合、男女の出生順によっては皇位継承順位に変動が生じ得ることとなり、国民の期待やご養育の方針が定まりにくいという結果をもたらす。これは、長子たる女子(姉)の後に男子(弟)が誕生した場合、弟が姉よりも先順位となることに由来するものであり、このことは、現行制度のように皇嗣(皇位継承第1順位者)たる皇子を皇太子とすると、皇太子が交代する事態が生じ得ることを意味するものである。
しかも、兄弟姉妹間に生じ得る年齢差を考えると、このような不安定な期間が相当程度継続することがあり得ると考えなければならない。
これに対し、「長子優先」の場合、出生順に皇位継承順位が決まることから、制度として分かりやすく、また、国民の期待やご養育の方針も早期に定まるという点で優れている。
国民が、天皇が男性であることになじんでいる面はあるとしても、以上のような意味での安定性は、最大限に尊重されることが望ましい。
したがって、天皇の直系子孫を優先し、天皇の子である兄弟姉妹の間では、男女を区別せずに、年齢順に皇位継承順位を設定する長子優先の制度が適当である。
3・皇族の範囲
《歴史と現行制度》
7世紀末〜8世紀初に成立した律令においては、天皇の4世の子孫までが皇族とされていたが、実際の運用においては、奈良時代後半以降、次第に、天皇の子であっても皇族でなくなったり、また、世数にかかわらず皇族となったりするなど、弾力的な取扱いがなされるようになった。
明治典範においては、天皇・皇族の子孫は世数を問わず皇族となる永世皇族制が採用された。その後、明治40年の明治典範増補により、皇族の規模を調整する必要性を背景に皇籍離脱制度が設けられるなどの制度の整備が行われ、現行典範に至っている。
現行典範の皇族の範囲の考え方の概要は以下のとおりである。
○天皇・皇族の嫡出子及び嫡男系嫡出の子孫並びに天皇・皇族男子の配偶者を皇族とする。
○天皇・皇族の嫡男系嫡出の子孫は、世数を問わず皇族とする(永世皇族制)
○2世までの皇族男子を親王、皇族女子を内親王とし、3世以下の皇族男子を王、皇族女子を女王とする。
○内親王・女王は、天皇・皇族以外の者との婚姻により、皇籍を離脱する。
○皇太子・皇太孫以外の親王はやむを得ない特別の事由により、また、内親王・王・女王は、その意思に基づき、又はやむを得ない特別の事由により、皇籍を離脱する。これらの離脱に際しては、皇室会議の議によることを要する。
○天皇・皇族は養子をすることができない。
○皇族以外の者は、女子が天皇・皇族男子と婚姻する場合を除き、皇族とならない。
皇族の規模を適正に保つための仕組みについては、現行制度では、その範囲を法制度上限定することは困難という判断により、永世皇族制をとりつつ、皇籍離脱制度の運用により、皇族の規模を調整するという考え方をとっている。その際、上記の「やむを得ない特別の事由」による皇籍離脱には、規模調整のための離脱が含まれると解されている。
また、皇統が乱れることや国民と皇族との区別が曖昧になり混乱が生じることなどを避けるという明治典範の考え方を引き継いで、皇族になる場合を、天皇・皇族からの出生及び天皇・皇族男子との婚姻に限り、養子の禁止等を定めている。
毎日新聞 2005年11月25日 0時12分
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