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(毎日新聞 鳥取版)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051122-00000224-mailo-l31
多大な犠牲を強いた太平洋戦争の反省に立ち、日本国憲法が1946年11月3日に誕生して、今月で“59歳”を迎えた。半世紀以上にわたって、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義の基本3原則を守り続けてきた憲法。9条改正など改憲に向け、政財界を中心に具体的な動きが見られる一方、「国のかたち」を規定する憲法について、国民の間でなじみが薄いのも事実だ。憲法とは何か、私たちの生活にどうかかわっているのか――。さまざまな立場で活躍する県内の人たちに話を聞いた。
◆地域交流センター田園・吉野立所長(58)
◇忘れがち、人への優しさ−−あなたの家族が戦場へ行ってもいいのですか
今の社会を見ていると、人に対する優しさが忘れられていると感じる。戦争放棄を定めた9条改正も、そういった風潮から出た主張ではないか。
私の母は12年前にアルツハイマー症になった。周囲の人たちの協力を得て、一昨年、在宅介護で看(み)取った。住み慣れた地域で最期を迎えたいという高齢者は多いが、いまはそんな当然の思いすら、ないがしろにされている。地域で生き生きと暮らし役割を果たしたいのに、その意欲が報われない高齢者の多くは家にこもりがちになり、「施設入居待機者」と扱われている。
だが、社会保障や福祉を巡る環境は後退するばかりだ。自己負担を増やす介護保険の改正や障害者自立支援法などは、弱者を痛めつけるものとしか思えない。人と人が助け合って生きていく、日本人の持っている良さが失われているのを感じる。
人と人が憎しみ合い、殺し合う戦争を認めることは、持つ者と持たざる者の差が広がっていく流れの中にあるものではないか。経済大国になって、豊かになった結果が戦争をする国になるということなのか。自衛隊が軍になれば、軍事費は今まで以上に増大するだろう。国の財政がひっ迫している中で、そのために何を削るのか。このままでは、本来守るべき人たちを捨てていく国になってしまう。
国際貢献というなら、自衛隊が世界各地で起きている大地震の救助活動などに取り組むほうが、日本人としても大きな誇りになる。中国の脅威を主張する人もいるが、人的交流を重ね、友好関係を築くのが先ではないか。経済発展を遂げている中国に、公害問題に対する日本の取り組みや技術で手助けするなどできることがあるはずだ。
日本は古来から、中国大陸のさまざまな文化を受け入れ、明治維新以降は欧米の立憲主義や個人の尊重などの思想を輸入してきた。今度は、日本人一人ひとりが自立し、協働し合える社会の仕組みを作り出し、世界に誇れるものとして輸出していくべきだ。小さな島国が国際社会で生き残るのに必要なのは武力ではなく、「小さくともキラリと光る国」として存在することだ。
国家という観点ではなく、「あなたの家族が、あなた自身が戦場に行って人を殺したり、殺されたりしてもいいのですか」と政治家を含めたすべての人たちに問いたい。9条改正の問題は、そこから始めるべきだ。【聞き手・小林多美子】
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◇第二章 戦争の放棄
第九条【戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認】(1) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇(いかく)叉は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2) 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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■人物略歴
00年から「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」県支部の代表世話人。米子市東倉吉町に04年、認知症の高齢者通所施設「デイサービス田園」、地域の高齢者の憩いの場「地域交流センター田園」を開設する「田園プロジェクト」に参加し、同センター所長を務める。
11月22日朝刊
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