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発信箱:暴走する「自由」=山田孝男
ブッシュ米大統領が京都から発信したアジア政策演説には自由(free,freedom,liberty)という言葉が75回も出てくる。北朝鮮とミャンマー、中国に対するけん制である。だが、戦後60年にわたって圧政を免れ、世界最高度の自由を享受している日本人がかみしめるべきは「最高度の自由からは最高度の隷属が生まれる」というソクラテスの言葉(プラトン「国家」藤沢令夫訳)ではないだろうか。
ブッシュ演説は巨大市場・中国をにらんで「経済繁栄に基づく自由の拡大」を説く。市場化と民主化を促すことで、今は潜在的敵性国家である中国との軍事的緊張をやわらげ、中国市場を組み込んだ経済成長の分け前にあずかるという戦略だろう。小泉純一郎首相はこれを無条件に支持して日本の安全と繁栄を守ると胸を張った。
安全と繁栄のためだと言われればケチはつけにくいが、その繁栄は、労働・節制・倹約という米国のピューリタン的伝統とは無縁の、20世紀後半にモンスター化した欲望充足型の資本主義に基づいている。首相には「日本の官僚主義的停滞を打破すべく民営化路線に踏み出したものの、資本主義の暴走は心配だ」ぐらいのセリフを吐いてほしかったが、そういう場面はなかった。
際限なく自由な消費を追求する資本主義が貧富の差を拡大し、人々の慎みを奪って利己心をあおり、猜疑心(さいぎしん)を刺激し、争いを呼び、警察による監視が強まってゆく。問われるべきは日米同盟への忠誠度ではなく、米国化する社会と伝統的な日本の公共意識の調和だと思うが、首相は複雑な話に関心がない。(編集局)
毎日新聞 2005年11月21日 0時10分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/news/20051121ddm002070009000c.html
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