★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK16 > 1196.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
品川正治さんという財界人から勇気をもらった
11月19日の土曜日、ある集会に参加して品川正治(しながわ まさじ)さんの講演を聞く機会があった。
品川さんは副代表幹事、専務理事を経て、今は経済同友会の終身幹事という肩書きを持った人である。本業は日本興亜損保(旧日本火災海上保険)の社長、会長を歴任された財界人である。
その品川さんに私が関心を抱いたのは、奥田硯経団連会長に象徴される日本の財界トップがこぞって改憲、日米同盟強化礼賛を唱えて右傾化しつつある中で、公然と、反戦、平和憲法の重要性を唱える現役の財界人であるからだ。そして私はその品川さんの話を目の前で聞いて、あらためて深い感動を覚えたのである。
私の欠点は人を誉めることが出来ないことだ。人の話も聞かない。その私が品川さんの口から発せられる言葉の一つ一つをメモに書き綴ったのだ。書きながら体の中からこみ上げる感動を覚えたのだ。81歳の品川さんの声は、その野太い響きと共に小心な私の心の中に圧倒的な迫力でせまってくる。なぜか。私はそこに品川さんの覚悟を感じたからだ。
みずから中国に出兵し、被弾し、今でも足に弾丸が入ったままであるという品川さんの次のような言葉は、その一つ一つが強いメッセージを持って聞くものに伝わってくる。
「戦争を始めるのも人間なら、戦争を止めるのも人間だ」
「紛争はなくならない。しかしその紛争を戦争にさせないことこそが重要なのだ。これは理想論ではない。それこそが現実の外交努力なのだ。今の日本の外交は戦争に加担する外交をやっている」
「憲法9条を持っている国は(コスタリカを除いて)世界にない。世界の殆どの国は軍隊を持ち戦争を肯定している。その意味で憲法9条は特異だ。しかし何故日本がそのような世界に比類なき憲法を持つことが出来たのか。それは300万人の国民の犠牲、3000万人の近隣諸国の国民の犠牲、20万人の原爆の犠牲、そういう体験を経て、日本国民が、再び戦争をしてはならない、武力では平和は来ないと思ったからだ。日本国民が憲法9条を捨ててしまえば、世界に平和憲法は存在しなくなる」
「日本の支配政党は、あの憲法が成立して以来、ただの一度も憲法9条を守ろうと努力した事はなかった。それどころか成立した直後から(鳩山一郎のように)改憲しようとしてきた。あの憲法を守ろうとしてきたのは常に国民であった」
「憲法9条の旗は今やボロボロにされている。それでも旗竿を握って放さないというのが私を含めた多くの国民である。その旗竿を放せと命ずるのが政府である」
「米国は今、目の前で戦争をしている国である。戦争をしている国を舐めてかかってはいけない。戦争をしている国は戦争に勝つ事を全てに優先させる。その国と向かい合っていくには覚悟がいる」
「財界人の中には、米国の力に頼って得をしようと考える者がいる。私はそんな人たちを許すことは出来ない。しかし多くの財界人はそこまでの考えはない。おそらく真剣に米国という国を考えていないのではないか。米国を甘く見てはいけない」
品川さんの言葉は、その一つ一つが彼の信念から発せられている。だから迫力があるのだ。そんな彼の言葉のなかで、私が最も共鳴したのが次の言葉である。これこそが私が日本人の一人でも多くの人にわかってもらいたい言葉であるのだ。
「憲法9条を変えるなと言えば、なにか消極的な、否定的な響きに聞こえるけれど、それは決してそうではない。それどころか今ここで我々国民が憲法を守り通すことが出来ると、日本の外交が一変せざるを得なくなる。日米軍事同盟をこれ以上推し進めることができなくなる。米国との関係が変わらざるを得なくなる。アジア諸国との関係も変わる。それどころか平和憲法の維持は国際政治の枠組みさえも変えるかもしれない。憲法を守ることは実は日本のあり方、世界のあり方を変える、そういうことなのだ」
その通りだ。そしてその逆の事を考えて見ればよい。ここで平和憲法をあきらめたらどうなるか。日本国内の米軍基地は固定化、強化され、日本は後戻りが出来ない国になってしまう。軍事を優先させ、力で弱者を支配する米国に隷従する、自主性のない国に成り下がってしまう。こんなことを黙って見過ごしてよいはずはないのだ。
品川さんが最後に言った次の一言は、ややもすればくじけそうになる私を限りなく勇気づけてくれた。
「私は決して孤立していないのですよ」
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK16掲示板