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http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20051119MS3M1900D19112005.html
耐震性など建物の設計強度を決める構造計算書を一級建築士が偽造していた、前代未聞の問題が発覚した。偽の構造計算に基づいて設計された建物は東京、千葉、神奈川に計21棟を数え、震度5強の地震で倒壊の恐れがあるという。この中には、現に人が住んでいるマンションや営業中だったホテルも含まれる。
思いもかけぬ災難に見舞われた住民や企業に誰がどう補償をするのか。ほかに同様の不正はないか。関係者だけでなく社会一般に不安が広がっている。国土交通省や自治体はまずこうした不安を受け止める対策を講じなければならない。
建築物の構造は建築基準法などで細かく規定される。それに合う設計・施工をしているか、建物ができあがるまで3段階に分けて、検査・確認し、工期中も設計者などが工事監理をする決まりだ。
偽造された構造計算書は最初の建築確認申請の段階で提出が義務づけられている。検査・確認をしたのは民間の「指定確認検査機関」だ。今回は21棟のうち20棟が同じ検査機関が確認をした。建築士は「検査機関のチェックが甘かった」と話しており、国交省も「検査機関の審査に不備があった」とみている。
また、この建築士は建物の設計全体を請け負った別の設計業者から構造計算書の作成を下請けしたものが多く、建設業界には「元請けの設計業者がなぜ偽造を見抜けなかったのか」との声が聞かれる。建築士自身が「(偽造は)専門家が見れば分かること」と言っているのだから確かに疑問だ。「専門家が見れば分かる」ならば施工した建設業者も、おかしいと気づかなかったのか。鉄筋の本数や太さなどが大幅に不足して、耐震性能が合格基準の3割しかない例もあったとされるのに。
建築士が「コスト削減のプレッシャーがあった」と動機の一端を語ったのが気になる。マンションの建築主から建設会社、設計会社までコスト削減を追求するあまり、建物の品質にしわ寄せが来るのを容認する傾向はないか。今回の事態には、しっかり調査して明らかにしなければならない背景がある。国交省は、建物建築の検査・工事監理制度のほころびを早急に点検してほしい。
★建築士だけに責任を被せていいのか。構造計算の不備は、検査機関にも、設計者にも、施工事業者にも、さらには末端の建設会社にもわかることだろう。今回の事件はコスト至上主義、利益至上主義、株主優先主義をめざす(そうしないと村上ファンドや楽天三木谷のような大株主に無能と誹られるだろう)民営化が本当にいいことなのかを問いかけるものだが、日本全体が官僚的な総務責任化に進んでいることに対する警鐘でもあるし、日本の技術に対する信頼性を損ねることにもなる。民営化によるコスト至上主義がもたらす悲劇(今回は幸いにも人身被害が生じる前に発覚したが)は、JR西日本の脱線事故にも通じるものだ。こうした馬鹿げた犯罪を二度と引き起こさないためには、まず責任の所在を明らかにすることであり、最終的には行政の責任を問うことだろう。
それにしても、今回明らかになったのはマンション(ホテルも含む)ばかりだが、一般の事務所ビルは大丈夫だろうか。関東大震災規模の地震はあと100年くらいは大丈夫なようだが、活断層地震や東海地震の余波で震度6、7クラスのゆれがいつ東京を襲ってもおかしくない。そのとき、手抜き工事によるビル倒壊に巻き込まれたのでは目も当てられない。
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