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『戦車にひかれても』―「東京新聞」神奈川
http://www.asyura2.com/0510/senkyo16/msg/1137.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 11 月 18 日 14:20:35: 2nLReFHhGZ7P6
 

『戦車にひかれても』 

   地元軽視に悲壮な訴え

 「互いに率直に話そうという共通認識は得られた」−。在日米軍の再編問題で十七日、就任後初めて座間、相模原市と県庁を訪れた額賀福志郎防衛庁長官は記者会見し、こう語った。しかし「負担増」を求められる自治体側には、「中間報告」で一方的な“通告”を突き付けられた不信感がぬぐい切れない。「戦車にひかれようが、やる」。地元から上がった中間報告の見直しに向けた決意は、国の地元軽視の姿勢への悲壮な訴えだ。 (米軍再編問題取材班)

 長官は三自治体の首長との面談を終えて夕方、横浜市中区の横浜防衛施設局で記者会見した。

 「共通認識が、いくつかある」と切り出して、日米同盟が日本の安全保障に寄与している意義について、各首長と共有できたことを、まず説明。「負担軽減を中心として、合意点を求めるために率直に話そうではないか、という共通認識を得られたのではないか」とこの日の“成果”を語った。

 地元説明を一切せずに反発を強めた反省から「地方の皆さんに逐一報告しながら、地域の意向を反映できるように何とか最善の努力をしたい」とも。相模総合補給廠(しょう)の遊休地返還など個別の問題にも「米軍側と話をしたい」との姿勢を見せた。

 しかし、「詰めていない詳細について」「米軍側と最後の詰めの作業をみながら」などの言葉から、大枠での見直しは想定外であることも示唆。「関係省庁、あらゆる機関を挙げて総合的に取り組みたいという政府の姿勢だ」と地元説得への強い意志を強調した。

■小川・相模原市長『命を懸けても反対』 

 相模原市役所では、病気療養のため入院中だった小川勇夫市長が外出許可を得て、額賀長官らに対応した。公式な形としては、初めて中間報告の説明を受けた小川市長は、面会後の記者会見で「全面的に受け入れられないと申し上げた。命を懸けてでも(反対に向け)やっていく」と声を震わせ、決意をにじませた。

 小川市長によると、面会では「米軍再編うんぬんでなく、我々は何十年も前から返還を訴えてきた。そういうことを分かっていながら、(こんな案を)やったんだな」と額賀長官に対し、怒りをぶつけたという。

 同席した市の担当者によると、額賀長官らは「地元の要望は十分承知しております。小田急多摩線の延伸、(相模総合補給廠の)西側野積場の返還、(キャンプ座間を横切る)市道拡張ですよね」と語り、「地元の要望が通るよう努力したい」と米側に働き掛ける姿勢を見せた。

 しかし、この一方で同長官は「日本の平和や安全は、在日米軍の抑止力があって確保されていると、大方の国民から理解されていると信じている」とも述べ、「最終報告に向けてご協力を」と理解も求めたという。

 会見で小川市長は「基地を欲しがっている自治体は、地方にいくらでもある。(周辺自治体と合わせて)百万人にもなる街の真ん中に置くことはないだろう」と憤慨した様子で話した。

 さらに一九七〇年代、同補給廠からベトナムに搬出される戦車を多くの市民が阻止し、反戦の意思を示した「戦車闘争」を引き合いに出し、「あの時は市長だって道路の真ん中に出て行った。戦車にひかれようが、私だってやりますよ」と口元を引き締めた。

 この日の面会では、中間報告の撤回などを求める市議会決議、市民集会決議を長官らに手渡したという。

■星野・座間市長『簡単にはいかない』

 座間市では、キャンプ座間への米陸軍の新司令部と陸上自衛隊の中央即応集団司令部の設置案について、額賀長官が星野勝司市長と会談し理解を求めた。しかし星野市長は再編をめぐり、地元への事前の説明不足を厳しく追及。額賀長官は「率直に、説明を含めて不十分だった」と国の説明不足を認めた。

 額賀長官は同日午後二時十五分すぎ、座間市役所を訪れ、星野市長と約五十分間、非公開で会談。終了後に会見した星野市長によると、国側から具体的な負担軽減策や地元支援策などの提示はなかったという。

 会談では、星野市長が来年三月の最終報告に向け、中間報告の内容変更があるのかを質問。額賀長官は司令部移転がキャンプ座間の機能強化にあたることを認めた上で、「主要な部分については決まっていない。地元負担についても詰めていきたい」と答えたといい、今後、防衛施設庁を中心に、市側と協議を重ねることを確認した。

 一九七一年六月、キャンプ座間に陸上自衛隊を移駐する際、座間町(当時)と横浜防衛施設局は、自衛隊の使用区域や人員などを制限し、基地縮小に努めるとする締結文(覚書)と確認書を交わしているが、これについても額賀長官は「尊重させていただく。今後、誠意を持って、現実的に話をしたい」と市と検討する方針を示した。

 星野市長は「互いに言いたいことを、はっきり言っていくスタイルはありがたいが、そんなに簡単にいかない」と会談の感想を話した。同市は十八日、市民大集会を開き、移転反対の決議文を採択し、防衛庁などに届ける。

■松沢知事「長官の指導力期待している」

 松沢成文知事は、両市の後に額賀長官の訪問を受けた。会談後、報道陣の取材に応じた知事は、「県は広域自治体として、地元自治体を全面的にバックアップするのが立場と、はっきり申し上げた」と語り、「長官から『知事のリーダーシップに期待している』と言われたので、私は『長官のリーダーシップを期待している』と返した」と、あくまで地元の立場で主張していくことを強調。

 「今の中間報告は負担増ばかり。横須賀を含めて基地負担を分散するべきなのに、さらに集中している。とても承服できない」と中間報告を批判した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20051118/lcl_____kgw_____000.shtml

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