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野中広務の“遺言”〜日米首脳会談に寄せて
http://www.asyura2.com/0510/senkyo16/msg/1132.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 11 月 18 日 09:58:22: 2nLReFHhGZ7P6
 

【めでぃあ・オフノート】

■野中広務の“遺言”〜日米首脳会談に寄せて

11月16日、「グローバリゼーションフォーラムin三重」と
いう企画が伊勢で行われた。

株式会社国際社会経済研究所とゴルバチョフ財団が主催。「国
際社会の安定と持続的発展」がテーマ(三重県営サンアリーナ
、定員1500人、日英露同時通訳付)。

出席者はゴルバチョフ元ロシア大統領、アマコスト元駐日アメ
リカ大使、邱国洪(きゅう・こくこう)中国駐大阪総領事(大
使級)、野呂昭彦三重県知事、田原総一朗ら。


■■講和条約の体現者は天皇家

その席上、野中広務が話した内容の要約を、このフォーラムの
関係者である本誌読者がわざわざ送ってくれた。ただし、細か
な言葉遣いは正確ではない。いわく、


・日本はサンフランシスコ講和条約によって独立国となった。

・条約の11条には、極東軍事裁判の判決を受け入れることに
よって独立国となる旨が記されている。


− − − − − − − − − − − − − −
http://www.normanet.ne.jp/~hourei/j005R/s270428j005.htm

「日本との平和条約」

第十一条
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の
連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁され
ている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとす
る。

これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させ
る権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決
定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。

極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は
、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧
告に基く場合の外、行使することができない。

(中略)

千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、ひとしく
正文である英語、フランス語及びスペイン語により、並びに日
本語により作成した。
− − − − − − − − − − − − − −


・従って、サンフランシスコ講和条約によって独立国となり、
その恩恵を存分に享受してきた国の首相が、極東軍事裁判で断
罪されたA級戦犯を祀る靖国神社へ参拝するのは、国際社会か
らの信頼を裏切る行為である。

・靖国神社に参拝していた昭和天皇は、隠れて行われたA級戦
犯の合祀がわかった時点から参拝しなくなり、二度と参拝しな
かった。現在まで、天皇は一度も靖国神社を参拝していない。
日本において、サンフランシスコ講和条約の精神を最もよく理
解・体現しているのは天皇家である。

・これは、中国や韓国に反対されているから参拝をやめよ、と
いう次元の問題ではない。必ず、第2次世界大戦当時の連合国
であるイギリス、フランスなどからの信頼も失う結果となる。

・小泉首相によって引き起こされた靖国参拝問題は、アジアに
とどまらぬ、国際社会での振る舞い方の問題なのだ。


■■■参拝の目的は橋本龍太郎の票田奪取

・愛知万博の開幕の式典で、たまたま隣に座った羽田孜が、な
ぜ小泉は靖国参拝にこだわるのか、(積極的に靖国に参拝して
きた)私と一緒に靖国参拝に行ったことは一度もないのだが、
とたずねてきた。

・その答は簡単だ。橋本龍太郎を支持してきた日本遺族会の票
を、丸ごと奪うためだ。だから自民党総裁選で、8月15日に
靖国に参拝する、などという極端な約束をしたのだ。本人の思
想信条は参拝の理由などではない。

・今、靖国神社をめぐる歴史の総括をしなければならない。靖
国には西郷隆盛も乃木希典も祀られていない。そのときどきの
、官軍と賊軍、勝者と敗者の歴史を、ちゃんと整理しなければ
ならない。

・奇しくも今日、私の地元である京都で、小泉首相とブッシュ
大統領が会見している。同じく今日、紀宮さまが伊勢神宮に参
拝されるとうかがっている。

・その伊勢で行われた、日本の将来をうらなうこの集まりで、
私が話をさせていただくということに、時といい、場所といい
、深い意味を感じる。


■■■■「新しいアジア圏」を

・私は、80年生きてきた。歩兵で出征し、半年間しか戦場を
観ていないが、戦争には反対だ。いまの若い世代は、シベリア
出兵も知らない。あの地に、たくさんの日本人の亡骸が今も埋
もれていることを知らない若い世代の国会議員たちが、イラク
特措法をつくってしまった。

・私は今、「新しいアジア圏」を構築しなければならない時期
を迎えていると思う。その時に私たちは、大変不幸な総理を選
んでしまった。

・マスコミ、特にテレビはひどい(その場にいた田原総一朗を
意識したか?)。選挙期間中、小泉首相を批判する人間を、ど
この局が出演させたか。

・(しかし)いまの連立政権に議席数の三分の二を与えること
をお決めになったのは、ここに集まっている国民の皆さん方で
ある。

・心の底から、平和な日本を希求する。再び、戦火の道に進む
ことのないようにしたい──これを、私の遺言としたい。


■■■■■狂乱の逆証明

▼要約を送ってくれた読者は、「ゴルバチョフよりもアマコス
トよりも、最も拍手が大きかったのは、野中さんの話でした」
と書いていた。

特に「私の遺言」云々と言った時に、拍手がいちばん多かった
そうだ。

「聴いた印象は、『真っ当すぎる正論』。しかし、正論が浮い
てしまう。この浮いてしまう現実自体が、現今の時流のおかし
さ、狂いの、逆証明であると感じました」

投稿に心から感謝である。このフォーラムの内容は、今月末の
毎日新聞で掲載されるそうだ。

▼日中の外相会談は実現せず、APEC(アジア太平洋経済協
力会議)首脳会議開催に合わせて予定されていた日中首脳会談
も見送られる。

▼21日に行われる日ロ首脳会談で作成されるはずだった、北
方領土問題をめぐる共同声明などの政治文書作成は断念された
(16日、釜山での麻生・ラブロフ外相会談にて)。「日ロ首
脳の公式訪問の際に政治文書の署名が見送られるのは極めて異
例」(共同)。

この60年間、ニッポンは歴史上かつてないほど、「ただ一国
からの甚大な影響」を受け続けている。中国、ロシアとの外交
の回路を確信犯的に、あるは無能ゆえに傷つけている今、さら
にその一国の影響は深く広く激しく浸透していく。浸透してい
く音が聞こえてくるかのようだ。

「私ひとりがどう行動しても、この勢いは止めようがない」(
筑紫哲也『旅の途中』p363)と、野中は突然去った。

国政への影響力を失ったことは、やはり不幸だったのか。それ
とも、去ってなお公言できる場があることが幸いなのか。

それは、よくわからない。ただ、彼が存在している限り、その
存在自体が、ニッポンの「狂乱の逆証明」である。晩年の後藤
田正晴がそうだったように。

勝った人は勝ちっ放しで、負けた人は負けっ放し、というわけ
では、必ずしもない。

「勝って負ける」人がいる。「負けて勝つ」人もいる。

ぼくがとるべき「基本的態度」は、彼らが示してきて、ぼくが
いま同感している問題の在処(ありか)を、「新らしい局面の
なかで不断に具体化することでなければなりません」。


http://www.emaga.com/bn/bn.cgi?7777

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