★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK15 > 817.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
魚住 昭の「魚眼複眼」
若い編集者が「最近の銀座はスゴイんです」と言うので「何が?」と聞いたら、路上駐車している車のグレ―ドがスゴイのだと言う。
「超高級車がずらりなんです。6〜7年前にもベンツとか並んでたけど、会社員が無理をすれば手の届きそうな値段の外車が多かった。それが今や僕らの給料では一生かかっても買えない外車ばかり。運転してるのはたいがい女性で、セレブの奥様族がブランドもののバッグなどを買い漁りに来てるんですよ」
ウ―ン、短い間にそんなに大金持ちが増えたかと感心していたら、郷里の熊本で商売をしている高校の同窓生から電話があった。
「さっぱり商品が売れないんだ。街はさびれるばかりで希望がない。ウチには高校生の息子がいて、まだまだ金がかかるのに、このままだと首をくくらなきゃいけなくなる」
銀座とは対照的に地方経済は壊滅的だ。都会でも格差は広がり、100億円稼ぐ会社員がいるかと思えば、9万円の給料しかもらえぬ人もいる。小泉首相が改革、改革と叫んでいるうちに「一億総中流社会」は夢幻となった。
今売れている『下流社会』(三浦展著・光文社新書)によると、若い人ほど自分が「下流」だという意識を持つ人が増えているらしい。それは当然としても、驚いたのは、階層意識が下の若者ほど成果主義や能力主義を肯定し、年功序列や終身雇用制を否定する傾向が強いという調査結果である。たぶんそうした若者が郵政民営化や構造改革(=成果主義・能力主義の導入)を熱烈に支持したので総選挙があんな結果になったのだろう。
成果主義や能力主義が生み出すのは果てしない格差の拡大だ。にもかかわらず彼らがそれを支持する理由は何か?思うに、彼らは「可能性の誘惑」に駆られたのではないか。つまり自分が今の「下流」から抜け出すチャンスをつかめるかもしれないと考えたのではないか。
これはパチンコ屋に客が吸い寄せられていくのと同じ心理だ。客の大半が金をむしり取られるのはわかっている。だが自分一人に限ってなら、運さえよければドル箱を山積みすることができる。負けがかさめばかさむほど、その誘惑は強烈になる。
私の仮説が正しければ小泉改革路線はこれからも支持され、貧富の差はますます広がっていくだろう。
かく言う私がいまだにパチンコ屋通いをやめられないのだから。
日刊ゲンダイ 2005 10 18
セレブ、勝ち組 負け組なんていう言葉は安易に使ってほしくないものだ。
マスコミは無神経すぎる。
一日も早く死語にするべきだ。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK15掲示板