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人権の次は 『共謀罪』
2005年 10月 16日
『読売新聞(05/10/16)』
『共謀罪』法案−早期成立へ必要な修正を急げ
テログループや暴力団など組織的な犯罪集団を主な対象に、犯罪を謀議した計画段階で処罰できる「共謀罪」を創設する法案の国会審議が始まった。
民主、共産両党も、テロ対策の重要性から共謀罪の創設自体に反対してはいない。適用する組織の定義や適用範囲を、より明確化することを求めている。もっともな主張である。
共謀罪の対象は現行刑法で死刑、無期または4年以上の懲役・禁固に当たる犯罪だ。共謀罪について改正案は「団体の活動として、犯罪を実行するための組織による遂行を共謀した者は懲役などに処する」と規定している。
これでは、「団体」の定義や、共謀の「謀議」の構成要件が明確ではない。野党側が明確にするよう修正を求めている重要部分だ。
日本弁護士連合会は、共謀罪は「思想を処罰することにつながる」と批判している。これは、誤解を広げ冷静な議論を妨げるものだ。犯罪の謀議と「思想」は全く別のことだ。
改正法案の主な目的は国際的な「テロとの戦い」に連携できる法整備だ。与野党は、この原点に立って、修正協議を進め、早期成立を図ってもらいたい。
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『朝日新聞(05/10/12)』
共謀罪法案 対象を絞って出し直せ
薬物の密輸や集団密航、大規模な窃盗団など国境を越えた組織犯罪に対し、各国が条約をもとに足並みをそろえて取り締まろうとする努力は大事にしたい。共謀罪を新たに設ければ、国内の暴力団などの犯罪防止にも効果があるだろう。
しかし、取り締まりに威力を発揮する法律は、副作用も大きいことを考えなければならない。政府案は対象とする犯罪の範囲があまりにも広い。組織犯罪にとどまらず、普通の人たちも対象にされる恐れはないのか。そんな不安を取り除くため、法案を練り直す必要がある。
市民団体や労働組合が「自分たちも対象にされるのではないか」と心配するのは当然だろう。
それというのも、共謀罪の規定があいまいだからだ。「団体の活動として、犯罪を実行するための組織による遂行を共謀した者は懲役などに処する」。これが法案の骨子だ。団体には、限定がついていない。
共謀罪は導入するとしても、限定的でなければならない。「非常にわかりにくい」と政府が認めるような現在の法案は撤回すべきだ。対象を絞った法案を出し直したうえで、国民的な論議にさらした方がいい。
昨日は「鳥取人権条例」を取り上げたが、次は政府が動き出している「共謀罪」が問題になりそうだ。
2000年の国連総会で、テロや暴力団、マフィアなどの組織犯罪の撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択された。日本は条約に署名し、国会で承認している。
この条約はテロなどの未然防止に効果的な共謀罪を設けることを義務づけた。条約はフランスなど110の国・地域が批准し発効している。
政府はすでに、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案を2度国会に提出したが、いずれも、衆院解散のため廃案となった経緯がある。そして今国会で、再び取り上げられることになった。
「共謀罪」の骨子は、実際に行動に移さなくても、犯罪の事前相談に加わったり、犯罪の実行を合意しただけで罪となることにある。
要するに、まだ実行していなくても、みんなで相談したり合意したりしただけで、犯罪とされてしまうのだ。
しかも対象が幅広いことも問題である。「不同意堕胎罪」、「偽りその他不正の行為による市町村民税の免脱罪」、「市町村の合併の特例に関する罪」など、どうみても国際的な組織犯罪集団と関わりそうもないものも、たくさん含まれている。
「読売」は、国内法の整備ができず、条約批准が遅れ続けるようでは「テロや麻薬密輸など組織犯罪に対する国際共闘の足並みを乱すことになる」と書いている。
しかしながら、これも「人権擁護法案」と同じように、「団体」の定義や、共謀の「謀議」の構成要件が明確ではないことが問題なのだ。
公害被害者団体や支援者などが企業に対する抗議行動を計画すれば、「組織的な威力業務妨害共謀罪」とされるおそれがある。さらには労働組合・市民団体などの広範な集団を取締りの対象にできるものとなっている。
「読売」が日本弁護士連合会の「思想を処罰することにつながる」とする批判に対し、「犯罪の謀議と思想は全く別のことだ」と書いている。
確かにその通りではあるが、今のままでは市民団体や労働組合が「自分たちも対象にされるのではないか」と心配するのは当然だろう。
この不備な法案が通ってしまえば、こんな社会がやってくる・・・。
◆原発に抗議するため東電を取り囲もうと相談
→組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
◆食の安全を確保するため食品会社前に座り込もうと相談
→組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
◆パレスチナ民衆を支援する寄付を集めようと相談
→公衆等脅迫目的の犯罪行為ための資金の提供等の処罰に関する法律違反
◆自衛隊イラク撤退を求める抗議運動の相談
→自衛隊法違反
◆在日米軍の動きを知るために調査しようと相談
→日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約代6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法違反
◆日本海で宝探しをしてみようと相談
→日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法違反
◆税金が重いので軽くする方法はないかと相談
→地方税法違反
→相続税法違反
◆市町村合併に反対する運動を計画
→市町村の合併の特例に関する法律違反
共謀罪が適用される法律名・罪名 より
いずれも極端な事例ではあるが、一歩間違えばこのようなことが起きてしまう。
前国会の審議で法務省の刑事局長は、市民団体や会社、労働組合に属する人が仮に犯罪を共謀しても、「団体の活動として」などの要件を欠き、共謀罪は成立しないという解釈を示した。一方で、「一般の方々にとっては非常にわかりにくい構成要件であろう」とも認めた。
不備があることを認識している以上は、修正が欠かせない。
この法案の最大の目的は、国際的な「テロとの戦い」に連携できる法整備であり、薬物の密輸や集団密航、大規模な窃盗団など国境を越えた組織犯罪に対処することにある。
しかし目的達成のために、国民の人権が弾圧されることがあってはならない。昨日取り上げた「人権擁護法案」といい、この「共謀罪」といい、強大な国家権力の前に国民が虐げられるような事態を引き起こしてはならない。
「共謀罪」が平成の「治安維持法」にならないように、法案成立を急ぐことよりも、まず内容を精査することに注意を払ってもらいたい。
by ko-bar-ber | 2005-10-16 11:31 | 社会 | Trackback | Comments(0)
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