★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK15 > 698.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
──────────────────────────────────────
一体、どんな組織や団体の行為が共謀罪の対象になるのかもあいまいだ。法務省は想定されるケースとして暴力団や振り込め詐欺グループ、テロ組織を指摘しているが、提出された法案では「団体の活動」「犯罪行為を実行するための組織」としかなく、適用しようとすればいくらでも範囲を広げられる危険性が伴う。(記事本文より)
──────────────────────────────────────
河北新報 2005.10.15
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2005/10/20051016s01.htm
「共謀罪」審議入り/決して容認できない内容だ
犯罪の実行行為が何もなくとも合意だけで処罰できるようになる「共謀罪」の審議が、衆院法務委員会で始まった。「国際組織犯罪の未然防止」を名目にした法整備だが、一般市民の生活や人権を脅かしかねない極めて問題の多い法案であり、絶対に成立させるべきではない。
共謀罪はテロや麻薬をめぐる国際組織犯罪の防止を目指した条約に従い、国内法を整備するために導入が検討されてきた。米、英の両国などが各国に立法化を働き掛けたいきさつがあるという。
組織犯罪処罰法改正案に盛り込まれ、犯罪を実行する前の共謀段階で処罰できる。対象になるのは懲役4年以上の犯罪。殺人や傷害、詐欺といった刑法犯だけでなく、さまざまな法律に規定された犯罪行為が含まれるため合計では600を超える。
消費税法や職業安定法、酒税法といった国際犯罪とは到底関係のない法律まで含まれ、前提となった条約の目的をはるかに逸脱している。
共謀だけで罰しようとすること自体が、そもそも重大な問題をはらんでいる。
犯罪は本来、結果があってこそ処罰されるのが大原則。現在の刑法では「共謀共同正犯」という考えによって、犯罪行為を合意(共謀)した者は仮に実行にかかわらなくとも刑事責任を問われることがある。だが、それも殺人などの結果があっての話だ。
共謀罪が導入されれば、例えば何の実行行為も伴わず結果的に犯罪が起きなくとも、誰かと話し合っただけで処罰可能になってしまう。
一体、どんな組織や団体の行為が共謀罪の対象になるのかもあいまいだ。法務省は想定されるケースとして暴力団や振り込め詐欺グループ、テロ組織を指摘しているが、提出された法案では「団体の活動」「犯罪行為を実行するための組織」としかなく、適用しようとすればいくらでも範囲を広げられる危険性が伴う。
「犯行現場」がない犯罪を摘発しようとするわけだから、警察の捜査手法も当然、変わるだろう。電話やメールなどの通信記録の閲覧や共犯者の情報提供に頼ることになると予想される。法案には、実行行為に入る前に自首した者は刑を免除したり軽くする規定も設けられ、いわば密告を奨励している。
共謀罪は運用次第で、特定組織の弾圧や個人の思想を処罰するという治安立法の復活になる恐れがあるし、世の中が監視社会に向かう危うさを抱えている。過去2度も廃案になったのは、あまりに危険な内容に対して強い反発があるからだ。
与党内では今回、適用する組織を明確化したり、準備行為も要件にするなど法案を修正する動きもあるという。国際テロ防止の法整備は必要だとしても、共謀罪ではない別の手だてを考えるべきだ。
言うまでもなく与党は数で押し切ってはならないし、野党も十分に慎重な審議を行わなければならない。いったん立法化されれば取り返しがつかない。
2005年10月15日土曜日
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK15掲示板