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「共謀罪」について NHK
http://www.asyura2.com/0510/senkyo15/msg/687.html
投稿者 外野 日時 2005 年 10 月 16 日 00:32:35: XZP4hFjFHTtWY
 


「共謀罪」について NHK
http://www.nhk.or.jp/bsdebate/0509/guest.html
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◆田島 泰彦(たじま やすひこ)
  上智大文学部新聞学科 教授

1952年生まれ
上智大学法学部卒業 神奈川大学短期大学部 助教授・教授を経て
1999年から上智大学文学部新聞学科教授
専門は、憲法・メディア法。日本公法学会、比較法学会、全国憲法研究会に所属。
著書に「人権か表現の自由か」「この国に言論の自由はあるのか」など。


主要道路数百箇所には通過する車両をことごとく撮影する「Nシステム」と呼ばれる仕組みがあり、繁華街・商店街、駅、コンビニ、学校などには無数の「防犯カメラ」が設置され、市民を撮りつづけている。全国の自治体では、「生活安全条例」が相次いで制定され、また「共謀罪」の導入も検討され、市民監視が強められつつある。個人情報保護法に代表されるように、市民の表現やメディアの取材・報道に官が介入し、取り締る規制立法も目白押しだし、防衛秘密を保護し、メディアも「指定公共機関」として政府の有事対応に組み込む措置も既に取られた。
こうした監視社会化の展開の前で、プライバシーをはじめとする私たちの市民的自由はまさに風前の灯である。
ひたすら増殖を続ける監視カメラには、法的な根拠もコントロールもなく、私たちの肖像権やプライバシーには何の配慮も払われていない。まさに無法地帯である。
生活の便利さや「防犯」、「安全」などの価値を全面的に否定することはもとよりできない。しかし、だからと言って、そうした名のもとに、プライバシーや表現の自由などの人権と人間の尊厳を投げ捨てて、お上に譲り渡してしまっていいのだろうか。そういう「監視社会」は、人間的な社会なのだろうか。そうでないとすれば、どうすればこれを克服できるのか。
日本は表面的なテロ対策と名づけた人権侵害行為をやめ、テロ対策がどうすれば必要
なくなるのか考えるべきだ。中東諸国に何が出来るのか、日米同盟の中で何をすれば良いのか、幅広い知見で複合的な対策をとるべきである。
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◆斎藤 貴男(さいとう たかお)
 ジャーナリスト

1958年生まれ
1981年 早稲田大学商学部卒業
日本工業新聞社、プレジデント編集部、週刊文春記者などを経て
1991年フリージャーナリストに
1994年 英国バーミンガム大学大学院修了(国際学MA)
著書に「梶原一騎伝」、「カルト資本主義」、「プライバシー・クライシス」など。


テロ対策の名目で監視社会化が急がれている。マスメディアも動員され安全か自由かの二者択一が迫られて、ならば多少はプライバシーを犠牲にされるのもやむなし、といったムードが日一日と醸成されていく。

だが、ちょっと待ってもらおう。そもそも選択肢の設定がおかしくないか。
テロは監視が不十分であるために発生するのではない。何らかの原因があるから起こるのだ。被害者にとっては理不尽以外の何物でもないけれど、何の罪もない人々を巻き添えにする行為を、テロリストたち自身の中で正当化されてしまえばお終いなのである。

とすれば最高にして唯一無二のテロ対策が容易に導かれ得る。テロの原因を取り除けばよい。自爆までして報復したいと思われない国を築いていくことだ。それには時間がかかるので、当座の緊急避難としてのみ取締りを強化させてもらいたいとの要請なら筋は通る。だが現実は逆だ。この日本は従来にも増して、世界中の貧しい人々の恨みを買う方向に突っ走りつつある。対米追従、というよりほとんどアメリカの一部となって――。

原因をむしろ積極的に作り出していく姿勢をグローバリゼーション、新自由主義的構造改革と呼んで称揚していくのであれば、テロは絶対になくならない。監視社会化は安全など絶対にもたらさず、ただ私たちの自由を奪い、人間を“見張る側”と“見張られる側”とに分断する機能ばかりを帯びることになる。“見張られる側”に追いやられた人間は将来への希望を紡ぐ権利さえ見失って自暴自棄に陥りやすい。ここでもテロや犯罪を誘発する要因はますます拡充強化されていく。

監視カメラだらけのロンドンが、それでも襲われた。顔認識システムと連動した映像が犯人逮捕を早めはしても、次のテロの抑止には繋がらない。いわゆる毅然とした態度は、テロリストには開き直りとしか受け止められないので、より強烈なテロへの呼び水になるだけだ。

グローバル経済大国の価値観が絶対の正義だなどという傲慢は、もういいかげんにやめた方がいい。強欲すぎる金儲けは、至る所に敵を作っていくと知るべきだ。
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◆ 櫻井 敬子(さくらい けいこ)
  学習院大学法学部 教授

1964年生まれ
1989年東京大学法学部卒業 司法試験合格
1995年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)
筑波大学社会科学系専任講師、助教授を経て
2003年から 学習院大学法学部 教授
専門は行政法。日本公法学会、日本財政法学会、警察政策学会に所属。
国土交通省社会資本整備審議会委員、全国知事会専門委員なども務める。


テロに対する対策は、大災害や大事故に対する危機管理とならんで、政府の多様な行政活動の中でも、最も重要な任務のひとつです。私たち市民の生活は、華やかな経済活動もすべて含めて、国家が国家として存立し、社会が安定していてこそ成り立つものです。従来、憲法学や行政法学においては、国家を「油断すると人権を侵害してしまう性癖」をもった「本質的に悪の存在」と理解し、悪いことができないように権力を縛り、コントロールするというのが、基本的な考え方でありました。テロ対策にせよ、治安対策にせよ、国が何か施策を打とうとするとき、国家は何か企んでいるのではないか、人権が侵害されるのではないかという危惧を私たちが抱くことは、ある意味では正しいし、そういう側面があることも事実です。

しかし、こうした議論には実は大前提があります。強い権力をもっている国家が厳然と存在していて、きちんとした憲法があり、社会が平和に保たれ、人権も保障され、それを国民が現に享受しているという暗黙の前提です。わが国では、これまであまりにも平穏な時期が続いたため、国家という装置の有用性、私たちを守ってくれる政府活動の有効性について、私たちは長いこと忘れていたようです。法律学においてもそうだったように思います。しかし、国家も秩序もないところで、「人権」「プライバシー」といってみても、ほとんど意味がありません。国家は、私たちが幸せな生活を送るにあたり、警戒しなければならない存在であると同時にとても大切なものです。仮に、大規模なテロが起きる可能性が現実味を帯びているとすると、それはこの大切な国家が存亡の危機に立たされることを意味することになります。テロ対策が有効に行われなければ、安心して飛行機や地下鉄に乗ることもできません。警察官の職務質問に答えなければならなかったり、荷物の中身を検査されるといったことは、大変わずらわしいし、はなはだ不愉快なことでもありますが、少々我慢して協力したほうが結局は自分たちのためになるのではと考えます。とくに、テロリストかどうか、社会に危害を加えるおそれのある「危ない人」か「怪しい人」かどうかは、とにかく最初に接触してみないとわかりません。そこで、私は、最初の情報収集については、これを認めざるを得ないと思います。これをプライバシー侵害だから許されないといってしまうと、テロ対策は一切できないことになってしまうからです。また、怪しくなければ協力できるはずで、協力に伴う負担は、気分が悪いかもしれませんが、深刻というほどのものでもないと考えられます。

いまや国民は主権者であって、国家、政府は私たちのためにあります。私たちが安心して暮らせるように、政府を上手に使って、うまく働かせるという発想にたって、テロリストがわが国に入り込まないようにするにはどうしたらいいか、入ってしまったテロリストをどうやったら発見できるか、そして、その処遇をどうするのか真剣に考える必要があります。政府がこうした活動を有効にできるような法的仕組みとはどのようなものか、そして、行き過ぎないようにするにはどうしたらいいか、私たち自身が問われていると思います。
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◆宮坂 直史(みやさか なおふみ)
  防衛大学校国際関係学科 助教授

1963年生まれ
1986年慶応大学法学部卒業
大学卒業後、日本郵船株式会社に3年間勤務
早稲田大学大学院博士課程中退後、専修大学法学部助手、専任講師を経て
1999年より防衛大学校 総合安全保障研究科兼国際関係学科助教授
専攻は国際政治学、安全保障政策
その間、内閣官房、外務省などの政府機関や民間機関で研究委員を委嘱される。


テロ対策はどの国でも総合的に推し進められています。適正な「監視」は重要ですが、テロ対策全体からみれば一部分にすぎません。もちろん、民主主義的価値を損なうような措置は自らの首を絞めるようなものですから避けねばなりませんが、同時に、現在のテロの脅威を直視し、それに対処できるような体制をつくらなければなりません。

私はイスラム過激派だけではなくテロ全体の動向に注意を払っています。大量破壊兵器テロの可能性もかつてなく高まっているといえましょう。所属するテロ組織に縛られることなく、有志連合の如く寄り集まり自由に活動しているテロリストも多いのです。テロに狙われるのは原因があるからだと言う人もいますが、思いもつかない理由で、また信じられないような手段で攻撃されることもあります。テロの脅威を過小評価してはなりません。

日本のいまのテロ対策に関しては、@「未然防止」と「被害管理」への取り組みは充実してきましたが、実行犯やその背後にある勢力を事件後に追及することや、事件を検証し教訓を引き出すことの重要性についてはまだ意識が足りません、A国際的に合意された措置を実行している点は高く評価できます、Bだが、国民への情報提供という点では問題があると思います、Cそして、テロ対策全体のスキームが構築されていません。

いまテロ対策に対しては、「監視社会」的なものができることで市民の人権が奪われるのではないかという不安も広がってきました。しかし街頭のカメラを例にしますと、それが抑止効果をもつとは必ずしもいえませんが、犯罪捜査に有用なことは最近のロンドンのテロ後をみても明らかです。実行犯の特定に役立てば人々の不安をやわらげることにもなります。脅威が高まっていると判断される時期にはテロ予防措置を強化し、そうでないときには弱めるといった、常にメリハリのあるテロ対策が望ましいでしょう。

共謀罪については、組織的または集団的になされるテロ行為の防止のために共謀罪の援用は一定の効果をもつのではないでしょうか。ただし、その前提として、規制対象となるテロ行為の規定もしくはテロ組織の法定指定などがなされていることが乱用防止という観点から重要だと思います。
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◆海渡 雄一(かいど ゆういち)
 弁護士

1955年生まれ
1979年東京大学法学部卒業
1981年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。
日弁連国際刑事立法対策委員会副委員長。


犯罪とは法益の侵害である
私たちの知らない間に、犯罪の定義が変わろうとしているようだ。犯罪の古典的定義とは「法益の侵害」とされてきた。傷害や財産的な被害などなんらかの被害が発生して初めて犯罪とされ、国家は社会に介入できるとされてきた。人は、様々な悪いことを心に描き、口にもする。しかし、実行されるのはその内のごくわずかだ。犯罪実行の着手前に放棄された犯罪の意図については、これまで犯罪とはみなされてこなかったのである。ここでは、刑法は市民相互の自由を共存させるためのルールと考えられてきた。

犯罪とは複数の意思の合致である
テロや組織犯罪の防止のためには、この原則を変えて、犯罪の遂行が合意されただけでまだ準備にも取りかかっていない犯罪を検挙可能とするのが、今回討論される共謀罪である。ここでは、犯罪とは悪いことを考えたという複数人の意思の合致そのものが犯罪とされており、人の内心の意思と紙一重のところが犯罪とされている。そして、刑法は「私たち」を社会の敵から守るための犯罪予防の手段となっている。

組織犯罪と闘うための最小限度の規定となっているか
どうして、このような広範な犯罪成立時期の前倒しが正当化されるのだろうか。国境を超える組織犯罪を取り締まるための2000年の国連条約を批准するためというのが法提案の理由として説明されている。しかし、二回に渡って廃案となり、三度政府が提案しようとしている法案は、この条約を批准するための最低限のものというより、この条約をキッカケとして捜査機関の権限を著しく広げているといえるだろう。
およそ、テロとも組織犯罪とも関連性の乏しい合計600以上の犯罪がその対象となっている。また、条約が認めている組織犯罪集団の関与を条件とすること、合意だ
けでなく準備行為を必要とすることという限定もなされていない。さらに、政府は条約の解釈として不可能とするが、行為の越境性を要件とすることも、この条約の立案の経過から見れば十分可能である。このように、法案は、対象を必要最小限度に限定したものとなっていない。

私たちの市民生活も適用の対象とされるか
政府はないという。しかし、法律家として、条文をみる限り、そのように言うことはできない。確かに、何らかの団体が関与していることは必要である。しかし、その団体は組織犯罪集団に限らない。このまま法案を成立させれば、会社、労働組合や市民団体がその意思決定に基づいて行う組織的行動(会社経理担当による不正経理の相談、徹夜の団交、工事現場の座り込みなど)も、ひろく対象とされる可能性がある。

共謀罪は表現の自由を制約するか
共謀罪は被害のない犯罪である。法案には実行前に捜査機関に自首すれば刑を免除できるとする規定がある。悪いことを話し合って、一人が届け出れば他の者だけが処罰される。簡単に人を陥れることが可能となるのである。このような社会では、自由な会話は成り立たない。

行き過ぎた犯罪恐怖の生み出す自由の窒息
犯罪は減らさなければならないし、未然に防止できた方がよい。しかし、すべての犯罪を未然に防止することなどできない。そのようなことを実現しようとすれば、人と人との会話、電話、メールのすべてを権力の監視の下に置く監視社会を招かざるを得ない。悲惨なテロや悪質な組織犯罪をなくしていくためには、即効薬はないし、国際紛争の平和的な解決のための外交努力と世界経済の不均衡の是正以外に根本的対策はない。共謀罪は過剰な犯罪・テロ恐怖が生み出した、人間の自由の墓場の入り口である。
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◆村上 泰(むらかみ やすし)
 弁護士

1958年生まれ
1982年東京大学法学部卒業 警察庁入庁
1995年警察庁退職 弁護士登録 第一東京弁護士会所属。
日弁連民事介入暴力対策委員会副委員長。


共謀罪に賛成する理由

1 国内における組織犯罪の状況
国内の主要な犯罪組織である暴力団の状況をみると、その勢力は近年一貫して増加傾向にある。警察の取締状況をみると、暴力団員等の検挙人数は、暴力団勢力の人数と対比して、その相当数を毎年検挙しており、徹底した取締りがなされている。しかし、暴力団等は、最近は、海外の犯罪組織と連携して強盗・窃盗等の犯罪を敢行したり、若年者を組織して振り込め詐欺等を敢行するなどして、莫大な利益を上げており、これまでの取締りでは対処が困難となっている。

2 共謀罪の有効性
組織犯罪が行われる場合、その構成メンバーの間において、当該犯罪を実行するための共謀が必ずその前に行われる。共謀罪は、その共謀事実を犯罪とすることにより、具体的な犯罪行為が実行されて市民に被害が生じる前に、検挙することを可能とするものである。具体的な犯罪計画があることが把握されたにもかかわらず、犯罪が実行されるまで取締当局が何ら対応できないのでは、市民に実害が生じる可能性があるので、適切でない。組織犯罪の実行に移る前にこれを防止するための手当があることが望まれる。

3 新たな捜査手法について
共謀罪は、具体的な共謀行為を犯罪とするものであるから、その実効的な捜査のためには、共謀事実自体の立証を要するものであり、通信傍受等の新たな捜査手法を必要とする。犯罪組織には、捜査当局の捜査手法に対する学習能力があるため、それを潜脱しようとする。それに対処する捜査手法がなければ、検挙することは著しく困難であり、市民被害を防止することができない。
なお、通信傍受等の手法が組織犯罪捜査において効果的であることは、諸外国の事例が参考になる。

4 弊害の防止等
共謀罪に批判的な論者は、市民の内心の自由、表現の自由を侵害するなどと主張するが、言うまでもなく犯罪の共謀という具体的な行為を構成要件とするのであれば、「内心」を処罰するわけではなく、組織犯罪の共謀を、憲法上の自由として保障する必要があるとは考えられない。
また、共謀罪の取締りの濫用についても、第1に、警察等捜査機関内部の監督の徹底、第2に、検察・裁判所という司法機関による検証、第3に、国会,マスコミ等の外部機関による監視等の現行制度の枠組内において、防止することが可能である。

5 テロ対策としての有効性
日本国内における本格的なテロとしては、オウム真理教による地下鉄サリン事件が上げられる。この事件は、@共謀罪があり、A捜査当局がテロ組織であると認識し、B組織内の共謀の状況を捜査当局が把握できる捜査手法があれば、未然に防止することが可能であったと考えられる。
今後のテロ行為についても、同様であると考えられる。
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