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だまされ続けているこの国の庶民  政府が小さくなってどうする
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投稿者 黄昏時のパルチザン兵士 日時 2005 年 10 月 14 日 23:23:25: WCbjO5fYf.pMQ
 

政府が小さくなってどうする

「官から民へ」というけれど、官が民に化けただけ。従来の民は圧迫され、化けた民は肥大化している

だから貧富の差はドンドン拡大し、マトモな職もない若者が、貧乏人の犠牲による財界大儲けを支持するという狂った結果をもたらしているが、それでいいのか


「官から民へ」を合言葉に、残り1年になった小泉政権は改革≠加速化させようとしている。
政府系金融機関の統廃合、公務員削減、給与カット。社会保険庁や診療報酬支払い基金にもメスが入っていくのだろう。細田官房長官は「民主党が『もう勘弁してくれと』いうまでやる」などと息巻いている。
こうした改革アドバル―ンを新聞が競うように報じるものだから、庶民の多くは「いよいよ、小泉改革の総仕上げが始まる」と期待している。
そこで、素朴な疑問だ。
「小さな政府がなぜ、いいのか?」
小泉が言う「民間にできることは民間に」という主張が正しければ、おそらく、ほとんどの公務員は要らなくなる。警察、軍隊は警備会社がやればいい。実際、米国では民間警備会社がイラクで軍隊の代わりをしている。予算編成は外資の金融機関にでもやらせ、役所の窓口は派遣にしたらいい。
民間企業ならドラスティックなコストカットに邁進するだろうし、非効率な部分は切り捨てていく。そうやって、やみくもに小さな政府を推し進めていくのが善なのか。政府やメディアは議論もないまま決め付けているが、これはちょっと恐ろしい話だ。


切りやすい役人を切って改革者ズラ
立大教授の山口義行氏(経済学)はこう言う。「政府の大きさは、GDPに対する政府関連支出を比べれば出ます。フランスは50%、ドイツは48%、英国は44%。日本は37%です。日本は決して大きな政府ではないのに、公務員切りこそが改革の原点のように喧伝されている。しかも、本当に不要な公務員を切るならともかく、切りやすいところだけを切って、改革をアピ―ルしようとしている。郵政関連の27万人には税金は使われていないし、政府系金融機関にもほとんど補助金は入ってこない。無意味な公務員バッシングにどれだけの意味があるのでしょうか」
省益を守るために規制の網を張り巡らせ、税金に対するコスト感覚ゼロで、オイシイ思いをしてきた公務員をかばうつもりは毛頭ないが、そんな公務員とつるんでいた政治家がいきなり「改革者面」して、「公務員=悪」と騒いでいる。
しかも、財政を借金まみれにした張本人の財務省は小泉ベッタリで、むしろ省益を拡大している。デタラメの極みだ。


誰がやっても儲かる会社に役人が横滑り
小泉の民営化のおかしさは、民営化で競争原理が働くどころか、肥大化した半官半民のような会社ができて、民業を圧迫していることにも表れている。
2017年に完全民営化≠キる郵政公社は、それまで政府保証をバックに殿様商売をする。17年以降も政府が3分の1超の株を握る持ち株会社に、窓口会社と郵便会社がブラ下がる。郵貯銀行と郵便保険会社の株式は完全売却するが、その後、買い戻しが認められている。一等地にある郵便局や職員宿舎、かんぽの宿などはそのまま引き継ぐ。税金で揃えたものが、民間企業のものになるのである。こんな不公平はアリか。
今年8月、郵便小包「ゆうパック」を扱うコンビニ店舗数が、ヤマト運輸の「宅急便」を扱う店舗数を超えたのは象徴的だ。哀れ、ヤマトはロ―ソンやミニストップから締め出されてしまった。
「民間企業がこれから郵便局と同じようなインフラを築こうにも追いつけっこありません。しかも税制優遇や補助金の大盤振る舞いもある。ヤマトや佐川が戦いを挑もうにも初めから勝負あった≠ネのです」(郵政問題に詳しいジャ―ナリスト・中村知空氏)
民営化の気ぐるみを着た「官」が大手を振って商売を始めるということだ。経済評論家の内橋克人氏は今月号の「世界」で「民を偽装する官の増勢」に警鐘を鳴らしていたが、その通りだ。
今月1日に民営化された道路公団も同じパタ―ンだ。現職幹部が横滑りし、税金で造った道路でのボロ儲けが保障されている。株式会社になるので、永遠に無料化はない。少しはサ−ビスが良くなるのかと思ったら、ETC割引などスズメの涙だ。競争原理が働かないから、自分の言い値で商売できる。赤字道路を造り続けた役人が、責任も取らず、民営化会社でまた肥える。
それでも「官から民へ」はいいことなのか。


負け組の庶民が、小泉改革を支持する不思議
小泉政権がデタラメ改革にいそしんでいる間に、勤労者の家計所得は2000年の631万円から605万円に激減した。この間に終身雇用が崩れ、増税や保険料アップなどの負担増が追い打ちをかけたのは周知の通りだ。
それなのに、小泉政権が選挙で圧勝し、今なお6割の支持率を得ているのは信じがたい話だ。
自由競争を推し進め、そのシンボルとして特定の官を狙い撃ちにして、既得権益を解体させたように見せかけている小泉手法は、一見すると富の再配分を期待させる。みんなが安手のマジックにだまされているわけだ。道路公団を民営化したところで、道路利権を受け継ぐのは民営化会社だ。いい加減に目を覚ました方がいい。前出の山口義行氏はこう言う。
「何でもいいから既得権益をぶっ壊せという風潮は、すでに庶民にマイナスになって跳ね返っています。障害者や弱者の既得権益はどんどん削られている。庶民はどうして気ずかないのか。銀行の不良債権処理で犠牲になったのは、ゼロ金利で所得を持っていかれ、理不尽な貸し渋りで苦境に追いやられた中小企業のサラリ―マンなのに、彼らが小泉政権を支持している。若い世代はいじめが社会問題化した時代に育った。だから、常に勝ち組に乗ろうとし、孤立化するのを避けようとする。こうした行動パタ―ンが、雪崩現象になって小泉改革を支持したのだと思います」
小泉改革でいい思いをするのは、勝ち組企業の一握りなのに、自分も勝ち組に入ろうとして、小泉政権を支持する。改革に反論すると、その瞬間、負け組になると怯えている。あざとい小泉政権は造反者を徹底的にいじめ抜き、庶民に見えない脅しをかけている。
小泉政権のせいで国民のほとんどが負け組になることに、庶民が気ずくのはいつだろうか。

日刊ゲンダイ 05 10 14


政治屋どもの横暴を批判すれば、「負け組」になると怯えて沈黙するというのであれば、かつて侵略戦争に反対すれば非国民と呼ばれるため、たとえ反対でも沈黙せざるをえなかった大日本帝国時代と変わらないではないか。
漫画の「はだしのゲン」には、ゲンたちが侵略戦争に反対したために、近所の連中に非国民呼ばわりされていじめられる場面があったが、このままではこれからこの国には再びそういう時代が来るのであろう。
政治屋をはじめ権力者を批判しただけで非国民扱いされ、近所の連中に攻撃されるということになりかねない。
現にこの国には、そういう怖さというものがいまだにある。
結局この国は、60年以上前から全然変わっていなかったということになる。
大日本帝国はまだ終わっていない。我々の身近に亡霊のごとく息を潜めて存在し、復活の時を待っているということであろう。

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