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次は、広島平和研究所所長の浅井基文さんが、中国のオピニオン・リーダーを主たる読者対象としている中国・香港の雑誌の求めに応じて書かれた論考の一部です。掲載されるかどうかは分からないそうですが、丸山眞男氏の民主主義に関する所説をもとに、日本の民主主義の前途について述べられています。以下は、「日本の民主主義の前途」というその論考の末尾にあたる部分です。
「日本の民主主義の前途」のURLは
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/file123.htm
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【再びファシズムに走る危険性】
運動としての民主主義という点に関し、今回の総選挙で明らかになったもっとも重大な問題は、かつてドイツにおいてナチスが選挙を通じて合法的に政権を取り、民主主義を内から崩壊させた歴史が日本においても繰り返される現実の危険性があることを示した点にある。つまり、主権者としての人民が、主権者としてふさわしい主体的な態度で積極的に政治に参画する決意を持っていない場合には、民主主義に敵対する政治勢力に乗じる隙を与えてしまうのである。今回の総選挙に際しての小泉首相の政治手法は、そういう危険性が極めて現実的に存在することを明らかにした。国権の最高機関である国会が「否」と判断した郵政関連法案について「直接民意を問う」とした小泉首相の発想自体、憲法体制を根幹から揺るがす暴挙だった。しかもこの法案に対して反対した議員の選挙区に「刺客」候補を送り込む手法は、権力を頼んだ言論封圧だった。そして既に述べたように、自分に都合の悪い問題はひたすら争点化させないで隠し通すという手法もまた、民主主義にはあってはならない行動だった。理性的な意思決定能力を備えた人民であるならば、以上のことだけをもってしても、小泉政治に「否」という引導を渡さなければならなかったはずだ。
今回の総選挙の結果は、日本における運動としての民主主義がまったく根付いていないことを如実に示した。どうしたらこの事態を転換することができるか。残念ながら私には答えがない。理念としての民主主義の展望について述べた際には、将来を諦める必要はないと述べた。しかし、逆境が人民を覚醒させるという弁証法が働かないときはどうなるかを、今回の総選挙は暗示している。国民が主権者として覚醒した人民として行動しない場合には、政治的煽動者に引っ張られて、民主主義を否定する方向に突っ走る可能性がある。
日本が民主主義に敵対する方向を進むことを阻止する要素は、日本を取り巻く国際環境がかつての軍国主義の跳梁を許した当時の状況とはまったく異なることだ。日本政治の右傾化に対しては、かつての弱小国・植民地ではもはやない中国及び韓国を始めとするアジア諸国が黙っているはずはない。また、日本の右傾化を黙認しているアメリカにおいてすら、議会、言論界から日本の歴史認識を警戒する声が高まる状況がある。日本の保守勢力が暴走することに対しては、国際的な対日包囲網がその阻止に立ち上がることは容易に予見できる。その時には、日本は決定的な国際的孤立に追い込まれ、屈辱的な敗北を余儀なくされるだろう。日本人にとっての問題は、その状況が日本に永久革命としての民主主義の主体的なエネルギーを生み出す契機となるかどうかである。私としては、1868年(明治維新)、1945年(敗戦)の際の過ちを繰り返さない日本人であってほしいと願うほかない。
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