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表題のごとく、今回の衆院選の小泉勝利を勧善懲悪・演歌風選挙と捉えたい。
これをもって、私の今回の選挙への活動の総括に換えたい。
日本人の勧善懲悪・演歌風の精神は老いも若きも変る事はない。程度の違いが有るだけであって、精神風土が同じなのであるから、若者であってもこれから外れる事はないのだ。
しかし、政治的選択においてこの精神的特徴がそのまま発揮されるかいなかの違いはある。
政治的選択に於いて、政治課題（例えば衆院選）を理性的に判断して投票できれば、この精神的特徴は発揮される事はない。
勧善懲悪・演歌的精神は何によって育まれたか？
それは長い間をかけて大衆芸能によって育まれた。
歌舞伎、文楽、講談、浪曲、落語、漫才、さらに近代では演歌、流行歌、映画、演劇によって育まれた。
あくまで大衆芸能が育んだものである。
一言で言ってそれは封建主義時代の精神内容であり、国民の政治的自由と政治的自立の「無」を表すものである。
堅苦しい書き方をしてしまったが、具体的に書けば解り易いだろう。
例として「忠臣蔵」をあげてみよう。
歌舞伎でも映画でも、
浅野内匠頭と四十七士（義士達）を好意的に描き、吉良上野介を意地悪な悪玉として描く。
そして観客は、吉良が討たれる事を喜ぶのだ。
その様に造ってあるのだ。
今回の選挙で大衆（選挙民）の多くが、
小泉純一郎に浅野内匠頭と大石などの四十七士を重ね合わせて見た筈だ。
「可哀想な内匠頭のような小泉首相、義士達のように吉良（郵政民営化反対派議員達）の首を取れ」
と言うわけだ。
亀井氏や綿貫氏を、吉良に見立てたのである。迷惑な話である。
そして、小泉自民党に投票して「義士の敵討ち」に加勢して参加した積りになったのである。
忠臣蔵の映画には、決まって次のようなシーンが出てくる。
義士達が討ち入りを終えて、江戸の町並みを凱旋したかのごとく進んでくると、
多くの町民達が見物に出てきて、
「赤穂の御浪人たち、良くやった」と声をかけ、何人もがそれに同調するのである。
史実としてそんな事があったかどうかは判らない。
その様に描いてあるだけの事だ。
また、堀部安兵衛の高田馬場の果し合いのシーンでも、町民達が安兵衛達の側に味方してヤジを飛ばす。加勢しているのである。
これ等のシーンで町民達は「正義者」の立場に立つものと描かれ、さらに、
「加勢して、事件に参加しているつもりになっている者」として描かれるのである。
今回の選挙で小泉自民党に投票した人達の多くが、この様に、
「事件に参加した」つまり、「選挙を通じて政治に参加し、正義を通す事に貢献した」と考えて満足を得たはずである。
しかし、理性で政治的判断を下したものではないところの、はっきり言えば「野次馬の勘違い」でしかないのであるが、
私は、これを否定的には捉えない。
勘違いではあっても、
政治への積極的な参加を目指すものであり、政治経済の改革を望む意志の表れである。
ただそれを、
勧善懲悪・演歌的精神で表す他に政治参加の方法を知らないだけのことである。
この積極的な意志を正しい政治判断が可能な地平にまで率いてゆかねばならないのだ。
悪いのは、
この精神傾向を利用した小泉自民党と手下のマスコミ達である。
小泉と取り巻き連は、日本の大衆の心理を良く知っている。
それは、彼ら自身が同一の人間達であるからだ。
彼らは、自分達で自分達に酔っているはずである。
忠臣蔵に限らず、清水の次郎長、国定忠治、笹川の繁蔵、吉良の仁吉といった者達を持て囃す大衆芸能の同じ精神内容である。
彼らが特別に正義の人であったわけではない。実際には相手の達の世間での評判も良いものであった。
大衆芸能が「話」を「でっち上げ」て、
大衆の意識がその型にはめ込まれてしまった。
そして、大衆の殆どが無意識にこの「型」に嵌っており、その事を意識していないのだ。
この「型」は厳存しているのであり、
はっきりと捉えておかなければならない。
赤穂義士の事件や次郎長、忠治の実像を探る事は必要だが、探っても大衆芸能によって育まれた勧善懲悪・演歌的精神が解消されて消える事は無いのである。
実像を知る事と、精神傾向とは別次元の事柄であるからだ。
週刊ポストに井沢元彦氏が忠臣蔵について虚像と実像を論じておられてこれはこれで大いに面白い。
これとは別に、大衆芸能的によって創られた事件像と、それによって造られた大衆精神をしっかりと捉える必要が有るだろう。
小泉純一郎と言う人物。彼のことをよくわからない人が多いようなので…。「殺すなりなんなり勝手にしろ」と開き直った。
http://www.asyura2.com/0505/senkyo11/msg/218.html
投稿者 新世紀人 日時 2005 年 8 月 09 日 13:21:47: uj2zhYZWUUp1
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