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テロ対策特措法を1年延長する同法改正案が4日、閣議決定されたのを受け、今後はイラクに自衛隊を派遣している基本計画(12月14日期限)の延長へ向けた政府内の検討作業が本格化する。政府はイラクの治安情勢を見極めたうえで派遣期間を1年間延長する方針だが、自衛隊宿営地のサマワで治安維持に当たる英、豪軍の動向をにらみながら、撤退時期などの「出口戦略」をどこまで示せるかが焦点になる。駐留継続を望む米国と早期撤退論も根強い国内世論の間で難しい判断を迫られそうだ。
◇英、豪軍撤退にらみ判断
大野功統防衛庁長官はイラク派遣の延長問題について「日本として主体的に判断する」と強調する。しかし、実際は多国籍軍の参加各国、特にその中核にいる米国の意向に配慮せざるを得ない。「どの国も早くイラクから撤退したいのが本音。日本が口火を切って連鎖反応が起きるのは困る」(外務省幹部)とけん制し合っている状況だ。
実は政府はすでに英豪軍から、来年5月ごろに撤退開始の可能性があることを非公式に伝えられている。陸上自衛隊の宿営地があるサマワは、英軍が治安維持活動を担当する南東部4県に含まれる。サマワには英軍のほか、豪軍が治安維持活動のため駐留している。英豪軍が撤退した後は、イラクの治安組織が活動を引き継ぐこととなるが実力は未知数。このため、英豪軍の撤退時期が、陸自撤退のタイミングの有力候補とみられている。
ただし、多国籍軍が任務を終えて撤退するには(1)10月15日の新憲法国民投票と12月15日までに行われる国民議会選挙を経てイラクの新政権が発足する(2)多国籍軍から治安維持を引き継ぐイラク軍の育成が進む−−ことなどが条件になる。防衛庁は「来年3月から8月までには撤退のメドをつけたい」(制服組)との道筋を描くが、イラクの政治プロセスが順調に進展する保証はない。
こうした中、ロンドンで先月29日から3日まで日米英豪4カ国の外務・防衛担当者が顔を合わせ、イラクの治安状況を中心に意見交換した。会合では駐留継続の見通しや撤退の可能性について、引き続き意見調整することを確認した。
イラク特措法(07年7月が期限)に基づく自衛隊派遣は人道復興支援が目的であるため、治安維持目的の他国と違い、治安が回復されても任務が終わるものではないという点が、日本の撤退判断を難しくしている面もある。
しかし、民主党など野党は「(自衛隊派遣は)憲法上も議論があり、活動に制限がある」(前原誠司・民主党代表)として早期撤退を強く求めている。小泉政権としても撤退を支持する国内世論を無視するのは難しい。【古本陽荘】
◇米、遠慮捨て「継続を」
「日本政府が決めることだが、もちろん、(自衛隊の)派遣延長を期待している」
先月29日、米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会で、ローレス米国防副次官はイラクへの自衛隊派遣の延長を公然と求めた。微妙な政治的問題には表向き遠慮を見せてきた米政府の露骨な要求は、苦しい実情を浮き彫りにさせた。
質問したのは昨年の大統領選で敗れた民主党のケリー上院議員。「日本が自衛隊撤退を検討」の報道をもとに見解をただした。ブッシュ政権のイラク政策批判につなげる狙いがある。
ブッシュ政権の支持率は大型ハリケーン「カトリーナ」発生前からイラク政策への不満を背景に最低水準に落ち込み、9月下旬には10万人規模の反戦集会がワシントンで開かれた。ブッシュ大統領は4日、ホワイトハウスで記者会見し、イラク治安部隊育成に関連して、米軍と連携する30個大隊が戦闘を主導していると説明し、「イラク部隊は増強され、1年前に比べ大きく進展している」と強調したが、米軍の支援なしに活動できるのは歩兵1個大隊(750人)しかなく、19万4000人のイラク部隊のごく一部に過ぎない。
来春にも相当数の米兵撤退が可能としていたケーシー駐留米軍司令官も「情勢が不透明になった」と明言を避けるようになった。ブッシュ政権は8月の憲法草案作成という民主化プロセスを経ることで治安が改善すると見ていたが、安定とはほど遠い情勢で、厳しい立場に追い込まれている。【ワシントン及川正也】
◇英、強まる撤退論 アフガンも負担
イラク南部を管轄する英国は8000人の部隊を置き、うち600人を陸上自衛隊が駐留するサマワを含めたムサンナ県に展開させて治安維持を担っている。ブレア英首相は先月27日の労働党大会演説でイラク早期撤退を否定し、英国は「米国の最強の同盟国」であり続けると語った。「米国の同意なしには撤退しない意思表示」(同党関係者)と受け止められている。
しかし、英国の対テロ最前線はイラクだけではない。アフガニスタンの治安悪化を受け英国は、来月から来春にかけ現在900人のアフガン駐留英軍に4000人の精鋭部隊を増派する。英国は来年5月には1万2000人構成の北大西洋条約機構(NATO)アフガン駐留軍の指揮を執る予定で、イラクの負担軽減は軍事面からも必要に迫られている。
先月末の民間世論調査では英国民の21%が「即時撤退」、33%が「状況を問わず1年以内に撤退」に賛成した。英兵の死者は既に95人。100人を超えればえん戦気分をさらに刺激するだろう。
英政府は「撤退プラン」の存在を表向き否定しているが、世論をにらみ、政治状況次第で動き出せる「出口戦略」を検討しているのは間違いない。リード国防相も「来年7月」ごろまでの撤退開始の可能性に言及している。比較的治安が良好なムサンナ県は、撤退着手の有力な候補になる。【ロンドン小松浩】
毎日新聞 2005年10月5日 2時16分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20051005k0000m010176000c.html
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