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小泉改革の虚と実―「東京新聞」社説
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投稿者 天木ファン 日時 2005 年 10 月 02 日 20:09:16: 2nLReFHhGZ7P6
 

    <週のはじめに考える>

小泉改革の虚と実

 多くの国民は改革を支持した−小泉純一郎首相は意気揚々ですが、本当に国民が期待するような改革ができるでしょうか。いくつかの心配があります。

 9・11総選挙から一カ月弱。何とも大変な選挙でした。小泉チルドレン、幼稚発言、反小泉勢力の腰砕け…いまだ話題は尽きません。

 一時の熱気が冷め、振り返ってみると、キーワードは「改革」という言葉そのものだったと思います。

 中身にはほとんど触れず、「郵政民営化もできずに改革はできない」と同じ言葉の繰り返し。くノ一、刺客で世間の目を引き、脚本、演出、主演は小泉首相と、まさに小泉劇場でした。

■厚く高い官僚の壁

 「改革」がそれほど魅力を持ったのは時代の背景もあります。

 高度経済成長、バブル崩壊を経て、政治、経済など戦後体制は行き詰まり、二十一世紀生き残りに、新たな仕組みが必要だからです。

 十数年前から、歴代首相は改革、変革を大きな旗印に掲げました。

 しかし、政官業の抵抗激しく、改革は遅々として進みませんでした。世の中にはいらいら感、このままではだめという危機感が漂い、政治不信は募る一方でした。

 そんな時、小泉首相は「命を捨ててもいい」と命がけの改革推進を繰り返し訴えて、観衆は拍手喝采(かっさい)、本人が「これほどとは思わなかった」ほどの自民圧勝です。

 かくして民意はわれにあり、「引き続き構造改革を断行する覚悟」と意気盛んです。

 しかし、いくつかの心配があります。一つは改革に立ちはだかる官僚の厚く高い壁です。

 首相は、「郵政後」の課題として政府系金融機関の統廃合、地方への税源移譲を伴う三位一体改革、国家公務員の減員などをあげました。

 いずれも、官僚の権限や権益、縄張りの削減、天下り先の規制、陣容縮小など、身を削る改革です。

 郵政民営化に抵抗した族議員は刺客を立てやっつけました。しかし、官僚には直接選挙の洗礼を受ける必要はありません。改革が具体論となれば、クビにならないだけに、必死の抵抗が予想されます。

 実際に、道路公団民営化では、最大の狙いだった「無駄な高速道路は造らない」は骨抜きにされました。

 郵政民営化法案も、政府の関与を許し、国や特殊法人の無駄遣いのカネづるは温存されそうです。族議員を使った官僚の抵抗です。

 族議員が弱体化した分、官僚支配が強化される恐れさえあります。

 「民意」の印籠(いんろう)も効かないとなると、改革は「虚」に終わります。

■「痛み」を語らないとは

 小泉改革のもう一つの心配は「改革後」。「改革なくして明日はなし」(所信表明演説)と言うところの「明日」のことです。

 首相は「国民一人ひとりが豊かな生活ができる活力ある社会」という程度のことしか語っていませんが、それも首相が目指す「小さな政府」で可能でしょうか。

 小泉改革路線は、あらゆることを市場の働きに任せる「新自由主義」でしょう。いわば弱肉強食の世界、「負け組」が出ます。

 貧困層や社会的弱者を救うには「セーフティーネット」が不可欠ですが「政府の規模を大胆に縮減する」(首相)なら、そこまで手が回らないはずです。貧富の差が広がり、社会不安を増幅し、ぎすぎすした社会にならないか心配です。

 自民党長期政権による「きりもなく大きな政府」は大胆に削る必要がありますが、ただ小さくすればいいというものではありません。

 それに、少子高齢化社会です。これから働く世代の負担はいやがうえにも増えます。さらには消費税率の引き上げは必至…。

 「小さな政府」では、行政サービスの効率化によって、国民の負担が減るはずです。しかし、小泉政権になっても増え続けた巨額の財政赤字をかかえ、負担は増えそうです。

 それなのに、首相は選挙中も国会演説でも、国民に「痛み」を語ることはありませんでした。

 改革後に気が付いたら痛みばかりではだまし討ちです。言葉だけの「改革」を支持した付けがくるとすれば、このことです。

 「改革」へのあまりに大きい期待に対する反動も心配の一つです。

 首相に残された時間は一年弱。これまでと同様、改革は名ばかり、明るい未来もないとなれば、期待が大きかっただけに、有権者の失望はより強くなります。

■民意の重さを肝に

 今回、初めて投票所に足を運んだ二、三十代の若者が増え、自らの一票が政治の流れを大きく変えたと実感したようです。

 それなのに、改革が「虚」に終われば、再び政治への関心を失い、不信を募らせます。自民党内に「議席のとりすぎ」という声があるのはその反動を危惧(きぐ)してのことです。

 小泉首相には「民意」の重さを肝に銘じて、とあらためて注意を喚起しておきます。


http://www.tokyo-np.co.jp/sha/

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