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(回答先: 宮崎勤被告の自宅は今…悲しみだけ残る更地 「幼女連続誘拐殺人」から18年 [スポーツ報知] 投稿者 white 日時 2006 年 1 月 17 日 09:22:29)
□16年、宮崎被告の心の闇読めず [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000004-mai-soci
<連続幼女誘拐殺人>16年、宮崎被告の心の闇読めず
連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤被告(43)に17日、3度目の死刑が言い渡された。司法が完全責任能力を認める一方で、被告は公判で意味不明な供述を繰り返してきた。初公判から約16年。「不可解な心」を読み解くすべはなかったのか。国民が審理に加わる「裁判員制度」の下で、複雑な事件を審理することは可能なのか。裁判は司法にもさまざまな課題を投げかけた。【木戸哲】
◆鑑定採用に課題も
公判を通じて行われた宮崎被告の精神鑑定は(1)人格障害(極端な性格の偏り)で完全な責任能力が認められる(2)遺族宅に犯行声明文の差出人として記された「今田勇子」ら複数の人格があり、多重人格を中心とする反応性精神病で限定的な責任能力しかない(3)統合失調症のため限定的な責任能力しかない――の3通りに判断が分かれた。
「責任能力の有無は裁判所の判断に委ねられる」というのが判例の立場だ。1、2審は(2)と(3)を誤りとし、(1)を正しいと結論付けたが、鑑定や責任能力の「あいまいさ」が浮き彫りになった。
鑑定経験の長い福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)は「裁判所は重大な事件ほど『人格障害で責任能力がある』という鑑定を採用する傾向がある」と言う。「一つの鑑定だけが正しく、その他はすべて誤りと考えるべきではない」と述べ、宮崎被告については「三つの鑑定はいずれも一面で正しく、被告の心を異なる視点で解明した。裁判所は全部をまとめて総合的に判断し、責任能力は限定的と判断すべきだった」と指摘する。
この指摘に対し、精神鑑定が行われた審理の経験が多く、宮崎被告に責任能力があると考える元裁判官は「あくまで一般論」としながらこう語る。「裁判官が独自の判断を示すことは難しいが、異なる鑑定を最後に統合できる人材を医療界が確保することが可能なら、結構な話だ」。一方で「責任能力を理由に無罪や減軽となった人を社会に出すことに批判があったため、日本の裁判では責任能力を広く認める“工夫”が行われてきた」と、これまでの「実態」を赤裸々に打ち明けた。
昨年7月に施行された「心神喪失者等医療観察法」は、責任能力を理由に不起訴や無罪、減軽となった人たちに強制的に医療を受けさせる枠組みを整備した。同法の施行により、従来の「実態」に変化が生じると見る現職裁判官もいるが、元裁判官は「厳罰を求める世論は多く、死刑が求められるような事件では問題の本質は変わらないように思う」という。
「国民が納得できる結論を得られやすくするには、責任能力の判断にとらわれず、刑罰は罪に応じて裁判所の裁量で決められるよう法改正し、病状に応じて判決後に治療を受けてもらうというのも一つの方法」。元裁判官の提言だ。
◆「裁判員制度」では…書面は簡潔さ重視
宮崎被告の審理は弁護側の要請で2度目の鑑定が行われたため、1審で3年余にわたって中断し、長期化の大きな要因となった。しかし、09年までに導入される裁判員制度の下では、国民の負担軽減のために長期裁判は許されない。
裁判員制度の下では、国民が審理に加わる初公判より前に、鑑定を行うことが可能となる。公判開始後に再鑑定を行うこともできるが、検察幹部は「長期化を招く再鑑定は難しい。初公判前鑑定の『一発勝負』になるのではないか」と予測する。「1回だけなら裁判所、検察庁、弁護人の3者が納得する鑑定医の選び方が重要になる」とも付け加えた。
複雑な鑑定や証拠について、国民から選ばれる裁判員が判断しやすくできるかどうかも課題だ。
宮崎被告の精神鑑定書の一つは約550ページに及ぶ。多数の供述調書も証拠として採用された。裁判官はこうした膨大な書証を読み込んで判断を下すが、裁判員制度導入後には、法廷に提出されるのは原則的に極めて簡単な書面に限定されそうだ。「分かりやすさ」の実現のために「書面ではなく、法廷で見聞きしたこと」を重視したのがその理由。連日のように開廷されることから、裁判員は書類を読む時間的余裕もない。
だが、検察内部には「調書は証拠として採用し、裁判官が読んで裁判員に説明すべきだ。簡潔な書証だけでの立証では、真相解明がおろそかになる」との反発も根強い。これに対し、ある裁判官は「裁判官が説明すると、裁判員を誘導することになるので認められない。検察官も弁護士も、鑑定医も、分かりやすく簡潔に、重要な点を漏らさず説明することが求められる」と強調した。
◆減らぬ子供の被害
警察庁の統計では、04年までの過去20年間に12歳以下(90年までは13歳以下)の子供が被害にあった略取・誘拐事件は計2054件に上った。女児が被害となる事件は1599件と、全体の77.8%を占める。
宮崎被告が最初の事件を起こした88年の発生件数は87件、89年には103件の被害があった。90年は77件にまで減少したが、92年には過去20年で最多の150件を記録。その後も100件前後で推移している。
宮崎被告は午後3〜6時に、女児を自宅近くで誘拐したとされる。03年に起きた事件の分析結果によれば、発生地域は被害者宅から1キロ未満が最も多く74.1%。時間帯別では午後4〜6時が最多で18.3%。最も多い動機は「わいせつ目的」の59.4%だった。
(毎日新聞) - 1月18日6時9分更新