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さおだけ悪徳業者“198”で誘い1万9800円 ---切った後に「買い取ってもらう」とすごみ
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉著)が130万部を超えるベストセラーとなり、ちょっとした注目が集まるさおだけ屋。独特のフレーズで住宅地を回る昔からの巡回販売の定番だが、法外な値段で押し売りまがいの行為をする業者の被害がここ数年、多発している。一部の悪徳業者の暴走だが、消費生活センターでも注意を呼びかけている。“偽装”にはご注意を!
「相手の弱みにつけ込んで、とてもそんな値段じゃない品を、法外な価格で売りつけられてしまった。悔しくて仕方がない」
たけや〜さおだけ〜と、悪徳業者の押し売りにあった東京多摩地区に住む主婦(55)は、憤りを隠せない。
この主婦によると、手口はこうだ。昨年12月中旬、軽トラックで主婦の住む住宅地を回っていた業者が、盛んにスピーカーから「2本で1000円」を謳っていた。ちょうど買い替えの時期だったため、主婦は業者を呼びとめた。しかし、業者が「1000円の品は品切れで、198(イチキュッパ)しかない」と話したので、主婦はせっかく呼び止めたことだしと、“198”で注文。業者はすぐさま、ベランダにあわせた長さにさおだけを切断。料金を請求してきた。
「それが1万9800円だって言うんです。確かに、198で1980円と思っちゃって注文したけど、ホームセンターで買えば1本500円ほど。あまりに法外な値段に、買うのを止めようとしました」(主婦)
すると、業者は態度を一転。「もう切ってしまって商品の価値がなくなった。買い取ってもらうしかない」とすごまれ、主婦は泣く泣く高価なたけざおを買う羽目になったという。
「実際、巡回訪問の被害は、ここ数年で増えています」と警告するのは、東京都消費生活総合センターだ。相談件数も4年前には20件台だったが年々増え、昨年度は40件を超え、今年度もそれを上回る傾向にあるといい、国民生活センターでも全国的に被害を確認しているという。
同センターなどによると、手口は同様のパターンのほかにも、1980円は1メートルあたりの値段としたり、「2本で1000円」は割引額で引いた値段が2本で3万8000円と開き直るケースもあるという。いずれもたけざおを切った後に料金を請求。客側に負い目を感じさせて支払いを促す手口なのだ。
被害の大半が60歳以上の高齢者で、同センターでも「物干しざおは長いこともあり、なかなか高齢者の方が店で買って帰ることができないことにつけ込む例が多い」と指摘する。
訪ねてくる訪問販売と違い、自ら呼び止める巡回訪問ではクーリングオフが適用できない上、そもそも契約書などの書面を交付しない業者が多いという。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」でも、会計学の観点からさおだけ屋の利益構造を分析し、「単価を上げて売り上げを増していた」と具体的な手口を紹介している。
「今はホームセンターでも、自宅への配送サービスを行ってくれるところも増えている。そういったところを利用する方が安全かもしれません」と、同センターでは話している。
ZAKZAK 2006/01/13