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警備員が見守るなか、再開された塾から保護者に付き添われて帰宅する子どもたち(12日午後8時すぎ、宇治市宇治)
Yahoo!ニュースからhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051214-00000005-kyt-l26より引用
緊急報告・講師に何が(上) 宇治女児殺害事件
「講師の指導がどうもおかしいのですが…」。京都府八幡市にある学習塾の塾長(47)は昨年11月、顔見知りの主婦から相談を受けた。主婦は小学6年の息子を別の大手の塾に通わせていた。中学受験を控えた大事な時期。それなのに社会科担当の学生のアルバイト講師が頼りない。「私はどこで生まれましたか」とか「私の星座は何でしょう」と試験勉強とは無関係な授業を繰り返すというのだ。
■受験突破が命題
塾長にも苦い経験があった。京進宇治神明校(宇治市)での堀本紗也乃さん(12)=神明小6年=殺害事件で講師の萩野裕容疑者(23)=同志社大生=が逮捕されたことを聞きかつて採用したアルバイト講師のことを思い出した。子どもの足をけるというトラブルがあった。大阪の有名塾で指導経験があり、信頼して採用した「優秀」な人物だった。
「塾は成績アップや受験突破が大命題。講師の学歴や指導歴以外に何を採用の基準にすればいいのか」
冒頭の主婦は結局、塾長の助言を受け、息子の塾に直談判して、講師を代えさせた。
近年、学力低下への不安を背景に私立の小中学校の受験競争が加速。生徒の個別ニーズにこたえるため塾は個別指導を強化する。いきおい多くの講師が必要となる。
一定の学力を備え、時間的にも余裕のある学生に塾は頼る。学生も自分の経験を生かせ、比較的収入のいい講師のアルバイトは魅力的だ。塾がきめ細かい学習システムを取れば取るほど、学生講師は指導の中核まで担うようになる。
萩野容疑者は2003年11月に学習塾大手の京進(本部・京都市)にアルバイト講師として採用された。その年の6月に学内で窃盗事件を起こし、停学処分中だった。事件後の記者会見で京進の立木貞昭社長はうなだれた。「前の事件を把握できていれば(今回の事件は)防げた」。しかしある大手学習塾の関係者は打ち明ける。「個人情報の問題もあり、詳しい賞罰まで把握できないのが実情だ。自己申告を信用するしかない」
■フォロー体制
京進は講師教育として、生徒との電子メールの交換を禁じるなど倫理行動基準を設け、採用後の研修でもモラル指導を取り入れている。「私的な話は避けろとか、彼女がいるいないの話題にも答えるな、と言われたのが印象的だった」と京進でアルバイトの経験がある会社員(23)は振り返る。半面「子どもは家族や異性の悩み、学校の出来事をストレートに話してくる。そうした会話ができないと学習指導は進まない面もある。子どもにとっては塾も学校と同じだ」と話す。
京進宇治神明校で学んだ子どものなかには萩野容疑者を「冗談をよく言い、おもしろかった」「卒業式にも来て『おめでとう』と言ってくれた」と慕う子もいる。彼らからは親近感を持ってあだ名で「ハギティ」「ハギッチ」と呼ばれた容疑者だったのに、紗也乃さんとはなぜうまく意思疎通できなかったのか。宇治市で学習塾を営む男性(45)は「関係がおかしくなる前に、生徒との付き合いのなかに何かサインが出ていたのではないか。学生講師をフォローする体制は取れていたのか」と疑問を投げかける。
(京都新聞) - 12月14日10時19分更新