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「週刊文春」2005年12月22日号 p.32〜33より引用
栃木 有希ちゃん殺害 遺体につけられた幾何学模様
「栃木の事件は広島のペルー人のような行き当たりばったりの犯行ではない。性的ないたずらが目的ではなく、おぞましい儀式を行うかのように有希ちゃんの体を傷つけている。得体の知れない犯人なんだ……」
こう語るのは、栃木県今市市の小学一年生・吉田有希ちゃん(7)殺害事件の捜査関係者である。
「今回の事件の最大の特徴はその刺し方にある。刺し傷は全部で十二ヵ所あったが、それが幾何学模様のようになっていた。捜査員は『こんな残酷な遺体は初めて見た』と言っている。刃物の刃の部分を縦と横に使った刺し傷があったが、心臓を貫いて背中に達したのは刃を横にして刺した傷。肋骨の間を通すために横向きにしたのだろう。心臓自体が血だらけの状態だった。また、創縁(傷口の縁の部分)はきれいな形で揃っている。メッタ刺しの状態であれば創縁はギザギザになるが、今回の犯人は一ヵ所ずつ慎重に刺していった。刃物を振りかざして刺したのではなく、刃先を胸に突き立てて押し込んでいったのだろう。創洞(傷口から内部の洞状になった部分)の長さも、三ヵ所ほど深いものがあったが、あとはほとんど同じ長さだった」
顔には目立つような打撲痕はなく、胸の傷以外は擦過傷程度だったという。
この傷痕から見えてくる犯行状況を、元東京都監察医務院長の上野正彦氏はこう解説する。
「普通、傷口は刃物を刺すときと抜くときでずれてしまうものですが、創縁がきれいだということはそのずれがないということ。十二の傷のうち、生活反応がある傷がどれだけあるかわかりませんが、ない傷が多いのであれば血抜きのためにやったのかもしれません」
犯罪心理に詳しい精神科医の作田明氏はこう語る。
「幾何学的に傷をつけるというのは極めて稀です。普通、殺すときは殺すことに専念するものですから。犯人は執拗で冷酷な性格なのでしょう。衝動的な犯行とは考えられず、性的な暴行もないということであれば、女の子に対するこだわりはあるんでしょうが、人を殺すという行為自体が目的だったと言えるでしょう」
この得体の知れない犯人は犯行に車を使用したとみられるが、実は、有希ちゃんが行方不明になる直前に不審車両が目撃されていた。
「小学校から三叉路まで、四人の同級生の女の子で帰ってきたわけですが、有希ちゃんを除く三人のうち二人が不審な車を目撃したと言っています。四人を追い越して、有希ちゃんが家に帰る左側の道へ入ったようです」(別の捜査関係者)
二人の同級生のうち、一人が父親同席のもと取材に応じた。父親が話す。
「先日警察の方が来て、もう一人の同級生が『泥がついて汚れている白い車を見た』と言っているんだけど、見ましたか、と娘に聞いていました。娘は『見た』と答えていました」
取材の席で改めて父親が
「見たんでしょう?」と聞くと、同級生の女の子は、
「見た。小さい車」
と答えた。
「三人の中で嫌がっている子供がいるので日程は決まっていませんが、後日、三人一緒に実況見分をする予定になっています」(父親)
同級生の証言と一致するかのような新たな証言も出てきている。有希ちゃんの足取りが途絶えた三叉路から程近い造成地に仕事に来ている男性がこう証言する。
「十二月九日に思い出して警察に話しましたが、十一月二十二日頃から三十日までの間に、造成地の通路に白っぽい軽ワゴンが停まっているのを二回見ました。汚れていたのか、クリーム色だったのかもしれません。去年から何度か見かけていた車だった。二回とも同じあたりに停めていたが、一度は車の頭を通学路方向に向けて停めていて、次は車体を通学路と平行に停めていた。見たのは午前中です。事件が起きてからは一度も見ていません」
これ以外にも別の男性が、ほぼ同じ場所で「白か灰色っぽい軽自動車に乗った三十代の、車上生活者に見えるような男」を複数回目撃しているという。
猟奇的なやり方で有希ちゃんの幼い体を傷つけた犯人は、いったいどこに身を潜めているのだろうか。