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「一流建築家の知恵袋 マンションの価値107」
碓井民朗 著 講談社α新書 より
(著者はマンション設計経験25年の一級建築士です)
ゼネコンと設計事務所との癒着
欠陥マンションがなくならないもう一つの背景は、設計事務所にある。実際の
工事を監視するのは、設計を担当した設計事務所の仕事だが、これが非常にいい
加減な場合があるのである。なぜ、監視が甘くなるのかといえば、多くの設計事
務所が、「工事監理を甘くするから」という暗黙の了解の下に「設計協力料」の
名目で、裏でゼネコンから金を取っているからだ。施主であるディベロッパーの
前では、いろいろと注意するのだが、あとで「さっきいったの、気にしないでい
いから」、これで終わり。
マンションの規模にもよるが、100戸以上の物件の場合は1000万円以上になる
ことも珍しくない。私の経験からいえば、これをまったく取らない設計事務所は
日本全国でも十数社ほどではないだろうか。1000万円といえば懐事情の苦しいゼ
ネコンにとっても大金なのは事実だが、工事のチェックを甘くしてもらえば、そ
れだけでゼネコンとしては2000万−3000万円はあっという間に利益を増やすこと
ができる。1000万円くらい払うのは、むしろお安いご用なのだ。
ただ、一度でもこれをやってしまうと、その設計事務所はそのゼネコンに弱み
を握られたのと同じで、その後はすべてそれをやり続けることになる。こうして、
マンションの質がどんどん悪くなるという構造だ。
(中略)
現在マンションの設計料率は工事費の大小にかかわらず、ほとんどの会社が一
律3-2.2%と決まっている。一方、一つのマンションができるまでの期間は約二
年間。この二年間のすべてに設計事務所はかかわなければならないのだ。総戸数
三〇戸のマンションで工事費五億円とすると、設計監理料は1100万−1500万円。
それで約二年もつき合っていたら、おそらく担当者の時給は学生アルバイト以下
になってしまうだろう。工事費が15億円(総戸数130戸程度)規模でも設計監理
料は約4000万円。大手の設計事務所の多くは、この程度もらってやっと適正な利
益が確保できる水準なのだ。