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振り込め詐欺のうち、家族などになりすます「おれおれ詐欺」の1件あたりの被害額が、警察の注意喚起にもかかわらず昨年の201万円から今年は228万円に増加していることが、警察庁の調べで分かった。
被害件数が減少する一方で、ターゲットを富裕層に絞り込むなど、手口が巧妙化していることも影響しているとみられる。こうした実態を受け、警視庁と東京都は金融機関に対し、犯人側に渡る現金を少なくするために現金自動預け払い機(ATM)の引き出し限度額を引き下げるよう異例の要請をした。
家族にトラブルが起きたとうそを言い、示談金などの名目で金をだまし取るおれおれ詐欺や、インターネットのサイト料金の架空請求詐欺など、振り込め詐欺全体の昨年の被害総額は約284億円。摘発の強化もあって、今年は9月末までで約173億円と、やや減少傾向となっている。
このうち、おれおれ詐欺については、月平均の被害件数が昨年の793件から今年は437件に半減したにもかかわらず、1件当たりの被害額は逆に増加。7月は246万円に上った。今月初めには、横浜市の男性(61)が、息子を装った男から「会社で帳簿上のトラブルがあった」などと言われ、計約5000万円を振り込む被害もあった。
とくに最近では、医師の家族に「医療ミスをした」と電話するなど、職業を割り出したうえで、高額の現金をだまし取る手口も横行しているが、警察庁幹部は「犯人側がATMから即座に多額の現金が引き下ろせなければ、被害額は確実に減る」と指摘する。
こうした中、都と警視庁は10、11月の2回にわたり、東京の三つの弁護士会や、東京銀行協会のメンバーなどを集めた対策会議を開催。銀行側にATMの限度額引き下げを要請した。
(2005年11月19日14時45分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051119i206.htm?from=main2