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名探偵金田一耕助が活躍する「八つ墓村」「犬神家の一族」などの著作で知られる推理小説家、横溝正史(1902〜81年)が晩年まで書斎として使った都内の家屋が山梨市に寄贈されることになった。移築のため、来月にも解体が始まる。愛用の座卓のほか、兄貴分と慕った江戸川乱歩直筆の書簡なども贈られる。(西村悠輔)
寄贈されることになったのは、正史の長男で、音楽評論家の横溝亮一さん(75)=東京都世田谷区=方の庭にある約20坪の木造平屋建て住宅。昭和20年代に建った日本家屋で、各8畳の書斎と寝室、書庫があり、ガラス張りの廊下に縁側のある簡素な造りだ。
「おやじは生涯で最も長い約30年間をここで暮らし、『悪霊島』など数々の作品を書いた」と亮一さんは話す。一番好きな色だったという朱色の瓦屋根や座卓、茶道具などが故人のこだわりを表している。
書斎は2月下旬に解体処分される話が持ち上がった。主亡き後は誰も住まず荒れたためだ。しかし、蔵書の鑑定依頼を受けた古書店「三茶書房」(東京・神田)を営む幡野武夫さん(61)=山梨市出身=が「待った」をかけた。亮一さんとは、十数年前に数千点の文献を評価した縁で親交があった。
幡野さんは3月初め、郷里の同市に移築案をもちかけたところ、中村照人市長はすぐに現場を訪れて検討、寄贈を受ける方針を固めた。
移築費は未定だが市が負担し、来月にも解体に着手する見通し。市が保有する東武鉄道の創業者、根津嘉一郎邸(同市正徳寺)の庭園に復元移築する方針という。
このほか、江戸川乱歩(1894〜1965)が正史にあてた毛筆書簡のほか、本人署名入りの色紙、愛用の灰皿や座いすなど40点以上の備品類も寄贈される。
神戸市生まれの正史は山梨と直接のゆかりはない。ただ、中央線沿線は、肺結核を患って長野県諏訪市へ療養に出た1934(昭和9)年ごろから約5年間、家族で何度も往復したという。正史は極度の「乗り物恐怖症」だった。亮一さんは「すぐ気分が悪くなるので途中下車はしょっちゅうでした」と振り返る。
父と日下部駅(現・山梨市駅)で降りて笛吹川を散歩したことや、勝沼駅でブドウ畑を眺めたことを懐かしく思い出すという。
亮一さんは「おやじのにおいが染みついた家が、どんな形であれ後世に残るのはうれしい。資料館としてだけでなく、俳句や音楽などの文化全般の活動拠点として使ってほしい」と語る。
中村市長は「横溝正史は全国にファンも多い作家。将来は市内各地でミステリーツアーなどを企画できれば面白い」と話している。
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山梨市に寄贈されることになった正史の書斎兼住居。父の思い出を語る長男、亮一さん=東京都世田谷区で