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□村上春樹:直筆原稿が古書店に大量流出 編集者が無断売却 [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060310k0000m040171000c.html
村上春樹:直筆原稿が古書店に大量流出 編集者が無断売却
「ノルウェイの森」などで知られる人気作家、村上春樹さんの直筆原稿が、本人に無断で古書店へ大量流出していたことが分かった。10日発売の「文芸春秋」4月号に、村上さんが寄稿して流出を明らかにした。村上さん以外にも、本人に無断で直筆原稿が売られている作家はいるとみられ、業界のモラルが問われそうだ。【鈴木英生】
村上さんの寄稿「ある編集者の生と死」などによると、流出したのは米国の作家、スコット・フィッツジェラルドの小説「氷の宮殿」を村上さんが翻訳した原稿73枚など。中央公論社(現中央公論新社)の文芸誌「海」80年12月号に発表されたこの翻訳をはじめ、同誌掲載の原稿が流出した。
中央公論新社が調べたところ、当時の中央公論社は直筆原稿を倉庫で保管していた。ところが、「海」の名物編集者だった故・安原顕さんは、村上さんら担当した作家の原稿を多数、社に無断で自宅へ持ち帰っていた。安原さんは、これらを亡くなる前年の02年から順次、古書店に売ったとみられる。没後も、書庫の中身を処分してほしいという遺志に沿い遺族が古書店に売ったが、プラスチックケースに入っていたため原稿だとはっきり分からなかったらしい。
「氷の宮殿」の場合、同年夏に東京・神田神保町の古書店に渡り、100万円以上の値段がついた。この古書店は毎日新聞の取材に対し、「うちで扱ったのはこの1作だけ。いつ売れたかなど、詳しいことはお答えできない」と話した。
村上さんは、寄稿で「安原さんが何故(なぜ)そんなことをしなくてはならなかったのか、僕にはその理由がわからない」と指摘し、「明白に基本的な職業モラルに反しているし、法的に言っても一種の盗品売買にあたるのではあるまいか」と非難している。
全国古書籍商組合連合会は「古書店は、直筆原稿が市場に流れたいきさつを調べきれない例も多い。作家から抗議を受けた際の対応は、連合会では決めていない」としている。
安原さんは、「海」のほか「マリ・クレール」「リテレール」など各誌の編集を手がけ、文芸評論家としても活躍した。97年にフリーとなり、「天才」を自称して辛口の書評やジャズ評論で人気を集めた。03年1月、肺がんのため死去した。
同様の事態が表面化した例としては03〜04年、破産宣告を受けた版元から東京都内の古書店に、弘兼憲史さんら漫画家の直筆原稿約3000枚が流出した。この時は訴訟の末に古書店が無償で弘兼さんに原稿を返した。
◇誠意を持って対処
▽中央公論新社のコメント 村上氏にはご迷惑をおかけし、申し訳ないと思っています。流出過程はすでに調査しました。関係者が死亡しており、判然としないところもありましたが、調査結果は村上氏に説明しました。今後については、村上氏と協議しながら、誠意を持って対処します。
◇問題にすべき状況
▽作家で日本文芸著作権センター事務局長の三田誠広さんの話 最近は刊行後に作家へ原稿を返す出版社が多いが、以前は返したり返さなかったりだった。古書店に並ぶ存命の作家の原稿は、本人に無断で流出した可能性が高い。問題にすべき状況だ。
毎日新聞 2006年3月10日 3時00分 (最終更新時間 3月10日 3時06分)