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コカ・コーラに“対抗”し新ソーダを発売 コロンビアの先住民が
南米コロンビアは、世界最大の麻薬のコカイン供給国と知られる。そのコロンビア南西部の山中に暮らす先住民(インディオ)が、コカインの原料となるコカの木の葉を使って、コロンビアの消費者向けに瓶に入った「コカ・セック」と呼ばれる炭酸ソーダの販売を開始した。コカの葉から抽出された物質を使っているが、作り方は秘密という。しかし、ごく微量に使用されるため、何本飲んでも薬物中毒になる心配はないという。この計画の責任者は、「コカ・セック」を米多国籍企業コカ・コーラ社にとって変わるソフト・ドリンクにすると、意気込んでいる。(ベリタ通信=エレナ吉村)
中南米にかけて生活する先住民は、今でも伝統的な生活を続けている。自分たちだけのコミュニティーを持ち、スペイン語も話すが、独自の言葉も持っている。歴史的には、スペインが南米などを征服した際、多くが殺害された。
「コカ・セック」の販売をするのは、エクアドルに近いコロンビア南西部のカウカ州の山中に住む「パエセス先住民」。「コカ・セック」は、先住民の言葉による呼び名で、「太陽のコカ」という意味。このほか、コカ・ケーキ、コカ・パンなども商品化の候補になっている。
先住民の生活は今でも貧しい。世界的な経済のグローバル化の流れで、経済発展の機会からも取り残されている。今回の「コカ・セック」の販売は、こうした窮状を打開し、先住民の生活を改善するのが狙いのようだ。
先住民は、カウカ州内に小さな瓶詰め工場を持っているが、当面は小規模な出荷になる。販売開始を前に試飲会が行なわれたが、評判は上々だった。
「コカ・セック」は黄金色の炭酸ソーダで、味はレモネードとジンジャーエールを合せたようなものという。「エネルギー・ドリンク」としての効果があるという。1本の値段は、日本円に換算すると、50円程度。当面は先住民が住む周辺の街のスーパーなどで販売するが、将来的には大都市でも販売を目指す。
しかし、麻薬の原料となるコカの葉を使用しているため、各国で輸入規制の対象となるため、「コカ・セック」が、世界市場を制圧するということはなさそうだ。
麻薬大国コロンビアでコカの葉を使って炭酸ソーダが製造・販売されるとのニュースは、メディアを通じて世界的に打電された。しかし、コロンビア国内では、麻薬というよりも、昔からコカの葉は、お茶に使われたり、子どもの下痢止めに使われるなど、一種の健康薬の役目も果たしてきている。
一方、「コカ・セック」の製造・販売について、パエセス先住民のリーダー、デイビッド・クリドール氏は、西側メディアに対しコカ・コーラ社の「帝国主義的支配」に対する挑戦だと述べ、かなり政治的な発言をしている。
コロンビア・ジャーナル(電子版)によると、コカ・コーラ社が、コーラの作り方を秘密にしているのは有名な話だが、クリドール氏は、コカ・コーラ社が、米政府の特別許可を得て、ペルーからコカの葉を合法的に一部輸入し、使用していると主張している。
2005年12月21日00時06分