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読売新聞社グループ本社会長・主筆で、読売巨人軍会長でもある渡辺恒雄氏の初の自伝「わが人生記 青春・政治・野球・大病」(中公新書ラクレ)が発売され、話題を呼んでいる。渡辺氏は同書で小泉純一郎首相への鋭い批判や巨人の監督交代劇についての見解のほか、「愛妻秘話」など意外なエピソードまで披露。本人が明かす“素顔”とは−。
同書は5章で構成。タイトルのとおり、テーマは多岐にわたっている。
第3章「政治と指導力」では、先の総選挙で小泉首相が主導した“刺客作戦”を「戦時昭和の大政翼賛政治に似た全体主義政治を思い起こさせる」と猛批判。「小泉手法を真似た亜流政治家が出て失敗することを、むしろ私は恐れている」との懸念を表明している。
また、第4章「プロ野球」では、巨人の監督交代劇について言及。原辰徳監督の辞任・再任について、「(読売グループ内の)人事異動だった」と強調。原監督とのシコリについても、改めて完全否定している。
ただ、本書で注目すべきは、渡辺氏が意外な「素顔」を自ら明かしている点だ。
例えば、第1章「新聞記者修行」。政治部記者時代に書いた初の著作「派閥」(昭和33年初版)が、ライバル紙・朝日新聞系列の「週刊朝日」の書評欄に顔写真入りで大きく取り上げられたのをきっかけに、よく売れたというエピソードを紹介。これがよほどうれしかったのか、「今でも当時の週刊朝日には深く感謝している。その号の週刊朝日は、宝物のように書斎に保存してある」と告白している。
また、第2章「暗かった青春時代」では、かつて在籍していた日本共産党が泡沫政党となったことに触れ、「OBの1人として残念に思っている」と吐露している。
最も興味深いのは「愛妻家」としての一面かもしれない。
最終章「老夫婦の大病記」では、自身のがん手術体験記のほか、50年以上連れ添っている篤子夫人が脳出血が原因で認知症になったことを明かし、ここで渡辺氏は夫人への愛を惜しげもなく語っているのだ。
なれそめについては詳しく触れられていないが、「50年前の結婚は、私にとっては熱烈な恋愛の結果」、「(結婚から)何十年もたてば、妻は空気の如き存在となっていた。その妻が永久に戻らぬかと思うと、猛烈な愛情が突如復活したのである」と、情熱的な文章が踊る。
夫人は、渡辺氏が解説部長時代に編集局長と対立して会社に辞表を出した際も文句を一切いわず、政治部長時代やワシントン滞在時も家を訪れる客人のサービスに努めてくれたという。
そんな「良妻」が奇跡的に回復するまで看護にあたり、高村光太郎の「智恵子抄」を愛読して感傷的になる渡辺氏の姿は、番記者たちを怒鳴りつける強面のイメージからは想像もつかない。
ZAKZAK 2005/11/11
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_11/t2005111118.html