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■安部氏
〔イノベーションで新たな成長と繁栄の道を歩む国〕
○成長なくして日本の未来なし
○イノベーションによる経済成長
○国際社会における規範形成力と存在感
■麻生氏
(4)産業の挑戦
(技術革新)
技術革新は、生産性向上の最も主要な源泉です。日本が得意とするユビキタス
技術や環境・エネルギー技術、ナノテク・バイオ等のイノベーション促進に資源
を重点投入することにより、世界をリードする付加価値分野を生み出します。特
にICT(情報通信技術)は、新たなマーケットやビジネスモデルを創りだすこ
とができますし、様々な世代や障害を持った人が起業を行うための道具としても
有効です。
■谷垣氏
▼エネルギー政策の戦略的展開
昨今の原油価格高騰は、我が国や世界の持続的な経済成長にとって大きな脅威
となりうる。この背景として、地政学的な不安定要因の高まりと、新興経済国を
はじめとする世界的な需要の増大傾向がある。さらに、気候変動問題や核不拡散
問題など、エネルギー政策の在り方に影響を及ぼしうる国際的な議論も活発化し
ている。エネルギー政策は、大きな曲がり角に来ている。
エネルギーを巡る「新帝国主義」の到来を未然に防止するために、世界レベル
でのエネルギー安全保障の仕掛けづくりを模索しなければならない。日米同盟を
基軸としつつ、欧州、中国、インド、ブラジル、ロシア、サウジアラビアなど、
世界のエネルギー政策の構築に責任と能力を有する主要国(ステイク・ホールダ
ー)が集う「戦略的対話と協調のメカニズム」を新たに構築することにより、各
国間のゼロサム型の不毛な対決を回避し、ひいては我が国のエネルギー安全保障
の最適解を導きだせると考える。日本は2度の石油危機を乗り切り、世界でもっ
とも効率的な省エネルギー・新エネルギー国家を実現した。また、唯一の被爆国
として、核不拡散にも留意した原子力政策を推進することで、エネルギー問題と
気候変動問題の同時解決を進めてきた。いわば我が国は、人類共通のゴールであ
る安定的で持続可能なエネルギー政策を実現するためのリーダーの資格が備わっ
ている。
これまでのエネルギー政策路線を国内でしっかり維持しつつ、さらに上記のよ
うなメカニズムの中で地球規模で発展させることが、日本と世界の共存共栄の戦
略である。
▼環境問題への取り組み
環境問題は、かつての産業型公害から、地球規模のものへと変化し、グローバ
ル化した対応が求められるものとなっている中、日本が議長国となった京都議定
書の締結のような地球規模での取り組みが推進されている。また、地球温暖化、
オゾン層破壊、リサイクル、危険物質など、いずれの問題においても、イノベー
ションが重要な鍵を握っている。日本は環境技術において、世界の最先端を走っ
ており、今後、環境分野で国際的、地球的な貢献ができる余地が大きい。まずは
日本が率先して模範を示し、日本のシステムを世界に普及させることを通じて、
環境問題における世界のリーダーを目指すべきである。
▼科学技術のフロントランナーとして
人口減少社会と国際的大競争の中で、資源のない日本が魅力ある国であり続け
るためには、技術革新で最先端を走り続けることが必要である。このため、人づ
くりにとどまらず、企業、大学、研究所などが常に技術革新を追求するインセン
ティブを持てるような社会を作っていくことが必要である。研究者が報われる仕
組み作りや社会のニーズを研究ニーズに還元する仕掛けを考えていくことも必要
であろう。
しかし、日本だけが科学技術で繁栄すればいいというわけではない。科学技術
は人類共通の財産を築く知的活動であり、科学技術をつうじて世界をリードする
とともに、国家の枠組みを超えて、世界に貢献できる国を目指すことを忘れては
ならない。環境問題にとどまらず、人類が抱える様々な課題に答えるために科学
技術は生かされるべきであり、そうした観点から日本の科学技術政策全体を見直
していく必要がある。
環境、バイオ、宇宙、海洋、ナノテク等、人類がかかわる領域が広がり、人類
の価値観、倫理観が問われる時代にあって、いかに国境を越えた取り組みを進め
ていくか。共同利用できる研究拠点作り、大学のさらなる国際化、外国人研究者
の受け入れや日本での海外支援、さらには科学者会議の主催、アジアの「知のネ
ットワーク」作りなど、世界とかかわる中で、人類共通の財産づくり、その信頼
を担う世界のリーダー育成に貢献することこそ、日本の世界における存在感を高
めることにつながる。
北朝鮮を巡る安全保障上の問題にいかに取り組んでいくかは言うに及ばず、近
年、東アジアにおいて、首脳のリーダーシップの下、地域が一体となって取り組
むべき問題は目白押しである。
・地震、津波、新型感染症等をどう予知し、予防していくか
・域内の自由貿易をいかに推進していくか
・エネルギー価格上昇の中、石油等の資源をいかに安定的に開発・確保するか
・食料、環境問題にどう取り組んでいくか
・世界的金利上昇の中で通貨危機の再発予防の枠組みをどう強化するか
首脳同士が腹を合わせて時にはホットラインで話し合いつつ解決していく姿勢
が重要である。
■読んでみて
正直いって政策と呼べるものを出しているのが谷垣氏だけで、とても論争にな
らない。最有力候補の安部氏が数行しか科学技術政策に触れていないことは残念
だ。今後順次構想を発表していくと聞くが、早急に公表してほしい。
【高等教育政策】
■安部氏
【3、健全で安心できる社会の実現】
・ 数学、理科、語学など基礎学力再強化プログラム
・公教育の充実・強化
○高校・専修学校、高専などにおける社会ニーズにマッチした教育体制の強化
○大学、大学院の国際競争力強化と国際連携推進
○研究開発機関の再編・強化
○学校、教師の評価制度の導入
○学校教育における社会体験活動の充実
■麻生氏
(2)高等教育
21世紀の国際社会で活躍できる、資質と能力を持った人材を育成する環境を整
えます。そのため、大学の再編成や得意とする専門分野への特化を進め、日本の
知的資源を集中するとともに、それぞれの大学が特色をもって競争するようにし、
高等教育の質を高めます。
また、各国の留学生を受け入れる体制を整え、アジアにおける教育のハブを目
指します。
■谷垣氏
【(3)人、社会、国のかたちを創る 〜日本をより魅力的な国に〜 】
■(3)―1 「人」をつくる
▼教育の再生
我が国で教育の危機・荒廃が叫ばれて久しい。教育の再生こそ、次期政権が真
っ先に取り組む課題である。今も全国の小学校で漢字や99の学習で行われている
ような徹底的な反復学習を義務教育全体にわたって行い、まず基礎として覚える
べきものは確実に覚えさせることによって基礎的能力を引き上げる(「読み書き
ソロバン世界一プロジェクト」)ことがまず第一であり、そうした土台の上に、
詰め込み教育ではない、自分で考える力・生き抜く力を養う教育、現実の社会を
見据えた教育を目指す。あわせて、スポーツ、科学技術、文化、政治・経済など
あらゆる面で、専門性や創造性の涵養(かんよう)を図り、世界の舞台で活躍す
る国民を育てていく必要がある。これには、サッカーやフィギュアスケートにお
いて行われているような、極めて優れた素材を見いだす体制の整備、そうした素
材に英才教育なかんずく世界レベルの実戦経験を積ませる仕組みの構築、優秀な
指導者を組織的に育成する体制づくり等をそれぞれの分野で行っていく必要があ
るだろう(「野口さん&イチロー育成プロジェクト」)。
また、社会人を含む多様な教員を採用し(「絆学校」)、逆に教員も社会に出
て実社会の経験を積む(「先生修行制度」)ことも必要だろう。大学も今以上に、
社会人の講師を増やし、社会人教育や産学連携を強化し、社会とのかかわりを深
めることが求められる。
▼一生涯学べる社会をつくる
40代、50代の方で、これまで仕事や生活で培ってきた知識・経験・技術を改め
て体系的に学問として学びたいと考えておられる方は多いと思う。例えば、高い
技術を持った中高年の方が経営学等の知識を補い中小企業への再就職や自らの起
業に生かす、長年身内の介護をされた方がそれをビジネスにするためのノウハウ
を学ぶなど、様々なニーズがあるはずである。また、これまで続けていた趣味に
ついて、真剣に取り組み、ボランティアとして活用したいという方もおられるの
ではないか。育児等の事情でやむを得ず職を離れた女性で職場復帰を予定されて
いる方の中には、復帰の前に学び直しをしたい、あるいは子育ての過程で考えた
こと・感じたことをきちんと勉強したいという方も多いと思う。
残念ながら、現在の日本ではこうした方々のニーズを受け止める土壌は十分で
はない。これに対し、ニーズがあるのであれば、いずれは民間がビジネスとして
行うはず、と考える人もいるかもしれない。しかし、人口減少社会が既に現実の
ものとなり、さらにその勢いを加速させている中、こうした声に一刻も早く応え
ていくのは、政治・行政の責任であると私は考える。
例えば、大学は何も若者だけを対象にした教育機関ではない。国公立大学は、
こうしたニーズに応える講座を積極的に設置するなど、パイロットとしての役割
を担うべきではないか。大規模な大学でなくとも、地域でコミュニティースクー
ルを創設してもよい。また、一定の知見・経験をもたれた方を対象としているの
だから、インターネットやコンピューターをより積極的に活用した学習機会の提
供を、モデル的に試行していくことも考えられる。
■読んでみて
さすがに高教育に関しては各候補とも独自の政策を提案している。ただ、それ
でも安部氏は理科などの基礎学力強化や研究機関、大学の改革について触れるだ
けで、具体的なことは何も書いていない。麻生氏は大学の再編特化、アジアにお
ける教育ハブを訴えるが、目新しさはなく、現行の政策を踏襲するという意味な
のだろう。谷垣氏が訴える野口さん&イチロー育成プロジェクトは、文章を読む
限り科学技術にも適応されるので、どのような内容になるのか注目したい。また
大学にもっと社会人や高齢者を入れるべきという提案は考慮に値する。
■終わりに
以前にも書いたが、政党の政策はマニフェストに書かれるべきであり、党首が
変わるたびに大幅に変更したら、混乱を生じるだけである。しかし、近年首相の
力が強まっており、首相が政策の方向性をある程度決定することができる。小泉
内閣時代、科学技術予算が特別扱いされ、削減されなかったのは首相の意向によ
るところが大きい。
■そういう意味で、現政権の政策を踏襲するにせよ、自民党の総裁、すなわち次
期首相候補は、科学技術政策のビジョンを示してほしい。残念ながら、三候補の
出した「政権構想」は、谷垣氏を除いて構想と呼べるものではなく、失望させら
れた。
■とくに、総裁就任が確実視されている安部氏は、もう少しきっちりとした政権
構想を書いてほしい。「美しい国」が政権構想の代わりなのかも知れないが、具
体性には乏しい。
■もちろん、科学技術政策だけ抜き出して論ずることに無理があるのかも知れな
いし、残念ながら科学技術政策がマイナーな論点であるのも理解している。しか
し、せめて谷垣氏並みの分量はほしい。
■まだ投票まで10日ほどある。この間科学技術政策も含めて政策論争が展開さ
れることを希望している(榎木英介)。
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