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農薬危害防止運動/新制度の影響考えよう【日本農業新聞】
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0606/05.html
[2006年06月05日付]
農薬危害防止運動が1日から始まった。毎年の取り組みだが、例年と違うのは新たな残留農薬基準となるポジティブリスト制度が5月29日に施行され、農薬危害の概念が変わったことだ。同運動の実施要綱でも、周囲への農薬の飛散(ドリフト)を低減するため、これまで以上に農薬の適切な選択や散布方法の徹底を求めている。農薬の使用に細心の注意を払うことは当然だが、ポジティブリスト制度にはいろいろ改善しなくてはいけない点も少なくない。農薬に関心が集まる運動期間中だけに、都道府県の制度運用に注視しながら、影響の広がりについても考えてみたい。
同運動が6月に設定されているのは、梅雨に入り病害虫などの発生が増え、農薬を使う機会が多くなることを想定しているからだ。
農薬中毒事故の発生件数は、交通事故や農機の事故に比べれば、はるかに少ない。国立医薬品食品衛生研究所の集計では年間100〜300件発生するが、このうち事件などに使われた件数を差し引いた、純粋に散布や誤飲・誤食による事故件数に限れば年間数十件にとどまる。それだけ農家が、農薬の管理や適正使用に注意を払っている結果といえるだろう。
農薬の危険性に最もさらされているのは、言うまでもなく農家だ。だから、農薬の正しい管理と使い方に厳しくなるのは当然といえる。散布の前後には十分な睡眠をとって体調を整え、肝臓に負担のかかる飲酒なども避けるのは農家ならだれでもやっている。散布時に、防除用の眼鏡やマスクなどの装備を必ず着用するのも当たり前だ。安全で安心できる農産物を作るため、決められた農薬以外使わないなどルールをきちっと守ることも実行している。
このように農薬の管理・使用に最善の注意を払っているが、それだけでは不十分になった。ポジティブリスト制度の施行によって、農家が正しい管理と農薬使用を行っていても、それだけでは足りなくなってしまった。
安全な農薬の使い方をしても、隣の畑に薬液が飛んでいけば、その畑の作物の出荷停止、あるいは回収などの事態を引き起こす可能性が出てきた。万が一、そうした問題が起きれば、これまで想像もしなかった経営的な危機が生じることもある。たとえ農産物に残留する農薬が、健康に害を与える濃度でなかったとしても、起こり得る。
ポジティブリスト制度の下での農薬の危害を考えると、もはや農薬を使用する農家の健康や従来のような周辺環境への影響だけではなくなってきた。危害の概念が変わり、広がった。
また、法が施行された以上それを守るのは当然だが、予想を超える影響が出る可能性があるのなら制度の見直しを求めることも重要だ。都道府県の運用をきちっと見ながら、問題の把握に努めたい。
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