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[2006年04月08日付]
都市近郊で山林を一部開墾して農作物を栽培し、地目を林地から農地に変更する農家が現れている。農地なら生前一括贈与の制度が適用されるので、相続による土地の分散を防ぐことができるからだ。相続税納税猶予制度も受けられ、相続時の税負担を軽減できる。その結果、相続税を納めるため山林を手放すようなことをせずに済み、山林の機能も一部残せる。ただ、こうした手段を選ばずに山林を次代に継げるような制度も考える時代である。
林地から農地への地目変更は法務局で手続きをするが、「農地として利用されているかどうか。実態で判断」(法務省)される。先進事例からすると、立ち木を100%切らなくても農作物を栽培、肥培管理して農業収益を挙げるなど、明確に農地として利用していれば認められる。木があるところでも育つ耐寒性アシタバなどを栽培する事例がある。
農地の生前一括贈与を念頭に地目変更した農家は、相続権を持つ人との調整に苦労した相続時の自分の“苦い思い”を後継者にさせたくない、との思いで行った。農地なら生前一括贈与でき、相続によって当該の土地が分散することも防げる。
農地の相続税納税猶予制度を受ける狙いの農家もある。都市近郊は地価評価が高く、相続時に相続税を納めるため林地を一部切り売りせざるを得ない家がある。林地を農地に地目変更して同制度の適用を受ければ、農地価格のうち農業投資価格を超える部分の相続税が猶予され、相続時の税負担を軽減できる。猶予されていた相続税は、相続人の死亡か後継者への生前一括贈与、あるいは20年以上の農業継続で免除されるので、農地は後継者に引き継がれる。
山林、とりわけ都市近郊の平地林は、掛け替えのない景観を形成すると同時に、たい肥を作る落ち葉の供給源でもあるため、農業にとっても大切なものだ。手放してしまうと、たい肥を使う循環農業ができなくなるだけでなく、その土地の使われ方次第では環境悪化を招くことになる。
そこで、森林法に基づいた「森林と人との共生林」などの公益的機能を持つ山林としての指定を受ければ、相続時の財産評価が最大で4割軽減される税制を活用して、山林を守る取り組みもある。ただ、山林の所有面積によっては、4割程度の軽減では十分に山林を守れない家もある。一定の面的なまとまりも必要で、地域ぐるみで指定を受けなくてはならない。
都市近郊では緑が急激に減っているだけに、地球温暖化対策や景観形成、環境保全などの面から平地林の重みは増している。それは、地主の財産であることは言うまでもないが、地域の人々にとっての財産でもある。農地の相続税納税猶予制度のような、もっと明確に平地林を守れる制度が必要になっている。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0604/08.html
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