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カメムシ防除/変化に合わせた対策を
カメムシが動きだす季節になった。地球の温暖化や環境の変化などでカメムシの世界にも異変が起きているが、農業を続ける以上、避けては通れない重要害虫だ。相手をよく知り、変化に合わせた対策をとりたい。
農業生産で問題になるのは、果樹カメムシと斑点米カメムシである。梅や桃、梨、ビワなどは越冬した成虫に加害され、かんきつ類や柿などではその年に発生した新成虫が暴れまわる。斑点米カメムシは山林の枝葉や落ち葉、雑草地で成虫越冬したり、卵のまま春を迎えたりする。
だが、そうした基本的な生態が分かっているのはほんの一部にすぎない。年間の発生回数や卵から成虫になるまでの生活史が明らかになれば対処のしようもあるが、そうでない種類が多すぎる。まずは生態を探る必要がある。
人間がカメムシの生活をゆがめる例も目立ってきた。休耕田や雑草の生い茂るけい畔などを、すみかにするものが増え、田植え時期をずらしたために、繁殖シーズンとぶつかった例もある。その背景として、農家の高齢化や担い手不足による除草・消毒作業の後退が指摘されている。共同作業の維持が難しくなった所で、カメムシが大発生のチャンスをうかがう構図ができつつある。
世界の年間平均気温はこの100年間で、0.6度上がったという。この調子で温暖化が進むと、100年後にはさらに1〜6度高くなるとの研究報告もある。その影響は昆虫界にも及び、発生回数が爆発的に増える恐れも十分にあるのだ。
カメムシにも温暖化の影が忍び寄る。大柄で派手な色彩のヨコヅナサシガメが北上していることは、広く知られているが、クモヘリカメムシやシロヘリクチブトカメムシ、ミナミトゲヘリカメムシなどの北上も民間の研究者が確認した。沖縄でしか見られなかったミカンの害虫・ミナミトゲヘリカメムシは、関東地方でも見かけるようになった。温暖化が進めば、ミカンの栽培地も北に移り、無防備地帯で新たな害虫となるものもあろう。
大豆畑では、カメムシの集合フェロモンを研究する過程で卵寄生バチを呼ぶのに利用できると気づいた。カメムシの卵に産卵する寄生バチなので、うまく使えばカメムシが畑に集まる前に呼び寄せ、待ち伏せできる。各種フェロモンを利用した防除法は環境保全型農業を進める上でも期待され、カメムシ発生予察の精度を高めるための道具にもなる。研究のピッチを上げてほしい分野だ。
野菜の害虫対策では微生物が注目されている。カメムシに寄生する冬虫夏草の一種・カメムシタケも知られており、防除資材として使えるかもしれない。人間がゆがめたカメムシの新習性に立ち向かうためには、時代に合った科学の力が欠かせない。
[2006年03月19日付]
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0603/19.html
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