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中国の電力関係者の間で風力発電が注目を集めている。産業需要の急増で火力発電のエネルギー源となる石炭、石油の需給がひっ迫していることに加え、将来中国に温室効果ガス削減が求められた場合なども自然の力を利用する風力ならば発電制限などの不利をこうむるリスクが小さいためだ。2010年には発電容量ベースで今年末の4倍に当たる400万キロワットに達する見込みで、小さい規模ながらも急成長市場として脚光を浴び始めているようだ。
■400万キロワット体制へ
中国風力エネルギー協会によると、中国の風力発電容量は今年末には2000年比約3倍の100万キロワットに達する見通しだ。全国の風力発電容量シェア43%と最大手の竜源電力集団は現在、広東、河北、甘粛各省と内モンゴル自治区に風力発電所17施設を運営。昨年は江蘇省内で10万キロワット級発電所の建設に入っており、現在までの発電能力は33万キロワットに達している。
同社は、寧夏回族自治区や山東省や東北3省を中心に今後も年間20万〜30万キロワット相当のを風力発電設備を投入し、10年までに100万キロワット体制を目指す計画だ。同協会によると浙江省、上海市、新疆ウイグル族自治区などを中心に、他の電力各社も新設への動きが盛んで、10年には中型火力発電所8施設分に相当する400万キロワット体制に移行する見込みという。
■設備の8割は輸入品
環境にやさしい反面、デメリットもある。同協会によると、1995年の中国の風力発電は全国でも計3万7,000キロワット。わずか10年で30倍近い規模に成長したものの、設備の設計・製造に関する技術やノウハウは十分に育っておらず、昨年末までに稼動した発電施設の82%が輸入した発電機や設備となっている。
特に風力発電の歴史が長いデンマークなど欧州勢が輸入の半数近くを占めている。設備への初期投資がかさむため、発電コストは火力発電の約2倍に当たる1キロワット当たり8,000〜1万元にも上り、最終価格への転嫁を余儀なくされる電力会社が多いという。
国産化への動きも始まっているが、多くは信頼性のある外資の設備を導入しているのが現状といわれている。ただし同協会は「(試作された)国産設備も性能にそん色はない」としており、設備需要の急増が予想される来年以降は、欧州製以外の外国製や中国国内の関連製造各社でも商機が拡大しそうな情勢となっている。
■二の足踏む「火力」
風力発電に対する電力大手の動きの主因となっているのが、中国の発電施設の大半を占める火力発電に対する複数のマイナス要因だ。中国政府はエネルギーなど産業基盤に対する固定資産投資へのマクロ調整を実施。硫黄酸化物などによる大気汚染への規制は中国でも強化されており、電力会社が火力発電所新設に二の足を踏む要素は年々増え続けている。こうしたことも風力発電への移行を加速させる要因となっており、当面は官民を挙げた風力発電の需要は持続しそうな局面といえそうだ。【上海・原潤】
(アジア・欧州経済情報) - 8月12日10時34分更新
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