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夜毎彼は現れる。
かの名を御呼びたてまつらんとも、黙って彼は口を閉ざすまま。
それは永遠に癒される事のないあの像に刻まれた苦悶の表情に見る通り。
誰が彼をそうしたか(そこに閉じ込めたか。
諸天を司る忿怒の表相。
二面に挟まれ葛藤する若き情面。
坐し会得みる菩薩の微笑。
そして浮かばれぬ死際の様。
大義と犠牲。
永遠に癒されることのない彼への祈りはそのまま呪縛。
彼は彼なのか。
ならば彼は誰なのか。
守られた大義。隠された犠牲。
彼は生き延び、彼は死んだ。
かの地に聖なるものなど既に無く、
かの地に既に世を動かす力などない。
癒されぬ。
癒されぬが故に現れる。
あのうなだれた姿で。
一言も発せず。
宗とはなにか。
程度にこそ違いはあれ救いに違いは無い。
何故か。
癒されぬものへ癒しを。
あの御字に納められたあの功力を。
意は誠。
ひとり慎め、深く。
内なるものに違いは無い。