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投稿者 SV問題 日時 2006 年 2 月 02 日 10:08:51: cY3WTwUQzcbhA
 


この、己を安全圏に限界づけることで、土着的に却立しようとしたらしい“自作的、人工的な音楽的ネイティヴ”ワグナーの、
ある境域までと遺伝的に定まっているかのブレークの停滞に対する、
(神話や、片側の見えない神事ではなく、また図像でもなく、)
「自分の目で対象を目撃できる」ところにまで引き上げてしまうようなヒトラーとの組み合わせで、
ワグナーをあそこまで強大にさせているんだな。
ワーグナーが一方で演出であるとして、演出と演出とを総合する演出というのは、
(歴史を事実というなら)相当に事実的だったろう。
(そして、そのときには全体の一部として、一部は全体を享受、承継したはずなのだ)


つまり、さしものワグナーといえども、当時からは、そこまで力が無かっただろうということだよ。
ヒトラーは政治的に最高位でも、そんなわけでワグナーのほうはといえば
“民族”の代表としてヒトラーに需要されたのが、一大躍進だったはずだ(そして底にあるものを、
こうして需要する者もいると思うが)。そんなワグナーというのは、
しょせんは“新進気鋭の神童”メンデルスゾーンに民族という基準を用いて恨み言をいう、そこでの“本家”であっても、
おそらく“最高度の突進力”をもつベートーベンには遠く及ばず、
“完全に優美な”モーツアルトにも遥かに及びはしない。
それだから‥‥この音楽そのものを前面に出して優位性を語るわけにはいかないとして、
ただ、その位置より上でも下でも無いということだろう。
(むろんドイツ3Bとオーストリアの上位独占ではあるとすれば、
それは、先代とは呼べない先駆者しか居ない、孑立するワグナーとは関係の無いドイツ優位であるはずなのだ。
一方メンデルスゾーンは「音の戯れだけだとして」すら嶷立した天才ではないかな。
が、やはり、“いささかズレ加減に御指摘通りの”模倣的な才に長けた、
画家兼標題(描写的、図形的、装飾的)音楽家だったのだと思う。
(区切り)


そこで‥‥東西2分法(東洋と欧米)を強く意識させられ、
優劣的な、差別的2項に即して“我が国”に在っても“例えばルーツと称しうる”
新たな自分の(自分との有縁を口実とした)取り込みを図ろうとし、伝統や、また、それにも至らない
系脈の掘り起こしか、ほつれた繊維の引き出しといったような切り取り撮影的な
創作に、躍起になってきたのではないか‥‥あるいは深さ、長さを競うあまりに。過去にも、
途切れずに己の連続体があるはずだと(もちろん大きく見せる覇権自体にも)依存するようにして。

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