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(回答先: “オテロ氏のメルマガより(私が)転載” 投稿者 猿渡哲也 日時 2006 年 1 月 31 日 02:40:31)
「オリバー・ツイスト OLVER TWIST」 です。
細密に再現された19世紀のロンドンを舞台に繰り広げられる波乱万
丈のストーリーは、一時も飽きさせない。劣悪な環境の中でも決し
て自分を失うことなく力強く生きる9歳の少年を主人公に、人間の大
いなる善意を高らかに謳いあげる。ポランスキー監督は時代がかっ
た教条主義より、少年の視線で大人たちの身勝手を告発する。
孤児のオリバーは監獄のような貧窮院から葬儀屋に奉公に出される
がロンドンに逃げ出す。行き倒れているとドジャーという少年に声
をかけられスリ団の仲間に入れられる。ある日、オリバーは誤認逮
捕されるが、容疑が晴れた後、金持ちに引き取られる。
スリ団の頭目・フェイギンが印象的だ。子供たちにスリを働かせて
上前をはねるちんけな悪党なのに、悪辣な貧窮院の大人たちよりよ
ほど人間味がある。子供たちにきちんとした食事を与えているし、
せこいけれど面倒見がよく、暴力よりも話し合いを好む。見掛けは
怪異でも、根っからの悪党ではないキャラクターをベン・キングス
レーは好演している。
ただ、悲惨な状況に流されず悪の道に染まらなかったオリバーの精
神と言葉遣いから来る礼儀正しさには、母親の教育が色濃く影を落
としているはずのに、母親のエピソードがまったく出てこないのは
不自然。彼の人格形成に影響を与えた母親はどんな人だったのか、
そこがいちばん気になった。
お勧め度=★★★* (★★★★★が最高)