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セックスをあまりにも軽く見すぎてはいやしないか。
最近、NHKの連続テレビ小説はるかを見ていて、特にそう思う。
男女の関係の乱れを推奨するかのようなところが多々見受けられるからだ。
例えば、主人公「はるか」の母親。
離婚しているのだから恋愛は自由であろうが、結婚してもいないのに恋人と一緒に住んでいた。同棲しているということは、当然ながら男女の関係ももっているという設定だろう。
次に、はるかとその恋人。
はるかは、恋人に温泉旅行に行こうと誘われる。はるかは、できちゃった結婚になるのを恐れて断るが、その断った理由が、自分の両親はできちゃった結婚だが、離婚している、（私も離婚するようなことになりたくない）というもの。恋人は、「お前は親とは違う」といった意味のことを言ってはるかを慰める。それを聞いてはるかは思い直し、旅行に行くことに賛成するが、恋人の方が今回はやめておこうと言い、話は中止。
中止したという結果だけ見れば私からすると一安心なのだが、この二人、どこかでネジが外れていやしないか。
結婚前に、結婚の覚悟も約束もしていない男女が泊まりがけの旅行に行く話をし、しかも、恋人が、「襲ったりしない」と言うならともかく、二人の会話を聞くと、二人は明らかに、旅行すればセックスをするということを前提として話をしている。結局ストーリーでは、恋人のピント外れな心遣いにより、結婚前にセックスすることの是非はうやむやに終わっている。しかし、二人の思考回路の描写を見る限り、二人は婚前交渉自体を問題にしてはいないのだ。また、子供を生むということへの認識が浅すぎる。一つの命を生むということが、生まれる側にしてみればどんなことなのか、わかっているのだろうか。命への思いやりや責任感が全く欠如している。
そして、最近は、はるかの妹、あすかの妊娠が発覚した。あすかはまだ独身である。
自分の妊娠を知ったあすかは、相手は誰かとはるかに問われて「知らんわからん」と言い（さすがに、相手がわからないほど複数の相手と関係を持っていたわけではないようだが）、「私はこれまでいい子で優秀だったのに…」とか、「こんなことは絶対に親や周囲に知られるわけにはいかない」、といった意味のことを言って、取り乱す。お医者さんになんとかしてもらう、と中絶をにおわせる発言もする。ここには、お腹に宿った命に対する心遣いは全く見られない。
以上の三つの事例には、結婚前にセックスすることへの抵抗感をなくさせようとする意図（なにせ堅いはずのＮＨＫが流すドラマである）を感じる。
また、暗に、できちゃった結婚や結婚前の妊娠をよく思わない「世間」の価値観への攻撃を感じる。世間の「不条理な」倫理観のせいで、こんな罪のない純真な若者たちが苦しむのだぞ、そういうメッセージを感じる。「はるか」が全体としてほんわかとしたあったかいヒューマンドラマであり、男女関係の話以外では微笑ましい場面が多いだけに、余計に、世間の「お堅い」価値観への批判があたかも真っ当なものであるかのように試聴者に錯覚させる効果を持っている。
これは、若い男女にとっても必ずしも嬉しい「批判」ではない。結婚するまでセックスをしたくないと考えている若者は決して少なくはない。テレビなどで今の若者は婚前交渉が当たり前のことであるかのように喧伝されるのは、一部の若者にとっては、迷惑なのである。子供の教育上好ましくないと考えている人だっているだろう。セックスしたい男にとっては、テレビに氾濫する荒廃した倫理観は都合がいいだろう。「今時結婚前にセックスしないカップルなんていない、セックスしたくないということは、俺への気持ちもその程度ということか」、と恋人を責めるだろう。女側は、したくないという倫理観と、男に嫌われたくないとの感情の間で葛藤する。メディアが荒廃した倫理観を無責任に垂れ流していることが、別の倫理観を持つ若者を無用の苦しみに追い込んでいるのである。
最近は、「まだ経験していないの？」と同級生（それも高校）の女に言われるなどして、セックスを経験していないことを恥ずかしく思い、出会い系サイトで初体験をする女までいるそうではないか。あんまりというものである。
民放では、ＮＨＫとは比べ物にならないくらい倫理観の崩壊を助長する番組が流されているので、ＮＨＫの例を取り上げたのは不適当であると思われるかもしれない。しかし、ＮＨＫは「公共放送」を自称するメディアであり、中でも連続テレビ小説は、ＮＨＫの目玉の番組の一つである。ＮＨＫは、本当に公共放送という自覚を持っているのか。自覚を持ってあのドラマを流しているのであれば、ＮＨＫは故意に国民の倫理観の洗脳をはかっていることになるのではないか。
私は、結婚前に性交渉をすることには反対である。
セックスは愛情表現。もちろんそういう面もあるだろう。
しかし、セックスしなければ愛情を確かめ合えないかと言えば、そんなことはないだろう。
本当の愛とは、一生を共にしたいと思うほどの感情である。そして、一生を共にすることを誓い合うのが、結婚という儀式である（もちろん例外もあるだろうが）。
一生を共にする相手を誰にするかによって、人生は180°変わり得るのだから、結婚はそう容易にはできない。
結婚するということは、その真の愛の表明である。逆に、実際に結婚するまでは、本当の愛であるかどうかなど、わからないのだ。
だから、「セックスを拒むということは俺に対する愛情はその程度なんだな」、などと言う男は信用できない。本当に愛しているなら、先に、「結婚しよう」という言葉が出てきて然るべきだからだ。
セックスも極限の愛情表現であるかもしれない。
しかし、セックスは、本来子供を作るために行う行為である。女にとっては特に、妊娠することのある行為であるため、重い。
あすかが感じた世間の目という重さではなく、新しい命が芽生えるという意味で、重い。
命は、重い。
結婚していない男女がセックスをする時、果たしてこの明白な事実を認識している者がどれほどいるか。
避妊すればいい？
そりゃ、エイズにかかりたくなければ、避妊するのは当然だろう。
なにせ、最近は、自分は一人としか関係をもったことがなくても、相手が別の女性と関係をもったことがあって、その女性が他の男性と関係を持っていて、その男性は他の女性と関係を持ったことがあって・・・ということがあるからだ。
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しかし、そんな不自然なことをしてまで、セックスをしたいか？
したい人はすればいい。それは自由だ。
だが、私はそんなのはゴメンだ。
セックスが本来どういうものであるのか。
メディアに流されることなく、命、愛という根源のところから、見直すべきではないだろうか。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。