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昨日(2月2日)、妻と一緒に映画「オリバー・ツィスト」を観た。マルクスが「資本論」で書いている、イギリス初期資本主義前の時代の有様が描かれていた。その映画の冒頭に救貧院に収容されている子どもたちが食事をとる場面がある。この場面は小生が収容されていた「同情会・子どもの家」での食事風景とそっくり。見ていて当時のことを思い出した。
「同情会」はプロテスタント組織が運営する孤児院なので、食事前にお祈りがある。「天にまします我らの父よ…(中略)…アーメン」の祈りが終わるころには、もうこっそり食べ終わった子らが、規則どおり祈りが終わって食べようとする子の食事を横から失敬しょうとする。そこで食事を取り合っての、金属の食器などで頭を殴り合う、すさまじい「餓鬼」の争いが現出する。強いものが弱いものを搾取する世の中は、下層のもの同士の間にも「勝ち組」「負け組」を作り出す。
歯を食いしばってこんな日々を暮らす小生ら餓鬼どもは、どこから見ても「負け組」だった。そのくせ登校途中、「在日」の人たちの集落を通り過ぎる時には、「チョーセン、チョーセン、パカニスナ」と叫ぶのである。そして学校に着くと今度は一般の児童から小生らが「ドージョーカイ、ドージョーカイ」「シラミ、シラミ」とあざけられる。それはそうだろう、全身シラミだらけだったのだから。小生ら施設に収容された児童の世界はまるで「オリバー・ツィスト」のミニチュア版だった。
昔話はこれぐらいにして、話をがらりと変えよう。「次に見てみたい映画は?」っと言うと、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」だ。
第2次世界大戦中、ナチス支配下のドイツでナチ政権に抵抗した学生グループ「白ばら」があった。ゾフィー・ショルはそのグループの一員。1943年、ミュンヘン大学でナチへの抵抗を訴えるビラをまいて逮捕され、5日後に処刑された。実話にもとづいて映画化されたものが「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」である。
映画の要は、尋問調書にもとづいて再現されたゲシュタポの取調官・モーアとゾフィーが対峙する場面。この場面についてマルク・ローテムント監督は「モーアが、ゾフィーのように信念を曲げない人物と対峙する尋問の場面には、ゾフィーと、見ないふりをする多くの人との対峙という意味を重ねました」と語っている。
ゾフィーを助けようとしてモーアは「『わけも分からずやりました。後悔しています』とさえ言えば、助けましょう」言う。それに対してゾフィーはしばらく考えた後「世界の見方がおかしいのは、あなたの方です。私は国民にとって最善のことをしたと思っているし、機会があれば同じことをするでしょう。後悔していません。結果を受け入れる覚悟があります」と答える。
白バラの学生たちはビラをまくことで人々に考えることを促し、求めた。そして映画上映に合わせて来日中の監督は「この映画に同じ働きができたらうれしい」と語る。小生もこの映画を見て勇気を得たいものだと思っている。