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去年の名残の蝋燭を立てて,今宵早めのメリークリスマス!
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投稿者 馬場英治 日時 2005 年 11 月 18 日 16:44:42: dcAX/x0KhXeNE
 

【転載】http://exodus.exblog.jp/1890656/

さて,いよいよ本題の『送電停止問題』に入りましょう.なんでそんなことが問題になるの?とおっしゃいますか?確かに,踊る新聞屋−。さんみたいに意識の高い人ですら,「ところで、馬場英治さん。電気代くらいは、キチンと支払われた方がよろしいかと…。」とおっしゃってるくらいですから,単に『私が恥ずかしい』だけの話,としか聴き取れないのも無理はありません.

私は東電の集金人(兼工事人)に「このような『事故』はどの程度の件数発生しているのか?」と聞いてみました.答えは「すごく多い」とのことでした.重ねて「2,3千とかそんなオーダーですか?」と尋ねるとやや,答えをためらっているようだったので,「千件以内というところでしょうかねぇ?」と同意を求めたのですが,突然怒り出して,「そんなことあなたの知ったことじゃないでしょう!」と決め付けられました.「そんなことありませんよ,私は国民の一人として知りたいし.もちろん,それに答えるのはあなたの任じゃないというのは分かりますが...」

私の住む埼玉県北の小都市Fの世帯数はおよそ3万7千程度です.送電停止世帯数が全体の1%として,370世帯,2%で740世帯です.私の勘ではおよそこの中間くらいではないかと推定していますが,もし仮に1%としても,日本全体では100万人以上の人が現に電灯のない暮らしをしていることになります.給電停止状態というのはほとんど究極の状態(後は死ぬだけ)なので,送電停止になってもほどなく再開するなど出入りがあるでしょうから,常時これだけの人が電気の無い暮らしをしているというわけではないでしょうが,それにしてもすでに「社会問題」と呼んでもよい水準にまで増加していると見てほとんど間違いありません.

もちろん,自殺者が年間3万数千人に達している現況から考えれば,この数字(30万〜世帯程度の送電停止処分)はそれほど驚嘆すべきものには当たらないかもしれません.しかし,もし本当にそう考えるとしたら,あなたの想像力はかなりやせ細っているのではないかという気がします.電気がないとどんなことができないか?考えてみてください.いや,実際のところ何もできなくなります.まず,炊飯ができません.炊飯には最低300W必要です.これはほとんど「死ね」というのに同義です.お茶も呑めません.お湯を沸かすのに500Wかかります.もちろん電気ストーブその他の暖房機を使うことは不可能です.電気ストーブは最小でも1000W食うでしょう.

100Wの給電装置は非常に過敏で,ちょっとでも流量が多いとバチンと切れてしまいます.そのたびに外に出て行ってヒモを引いて戻すのですが,一度落ちると中々入らなくなってしまうことがあります.私はノートパソコンとインターネットアダプタと60Wの白熱灯を同時に安定して使えるようになるために丸一日費やしてしまいました.ノートパソコンはアダプタからバッテリに充電するようになっているので,もっと安定動作するのではないかと思っていたのですが,インターネットでリンクを確立するという動作だけで流量が変化したりします.それでも一日の終わりには,ほぼ要領を覚えました.

96年頃,今のような生活に入った最初の冬にオーブントースタで暖を取りながら机に向かったことがありますが,その時でさえまさか60W電球をストーブ代わりに使うような羽目になるとは夢にも思いませんでした.60Wの手製の電気スタンドを股座に置くと(小椋佳の唄ではありませんが)ほんのりと温かみが伝わってきます.ガスが使えるなら風呂に入るという奥の手がありますが,水シャワーなんて考えただけで震え上がってしまいます.この寒空に外に出るのも不自由するような老人世帯なら,ほとんど間違いなく死ぬことになるでしょう.

このような観点に立ってみると,経済(取引)上のどのような事由があるにしろ生活の本拠となっている住宅において,給電を停止するという電力会社の強硬措置は憲法第25条で規定する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に明白に違反すると私は考えます.ましてや,契約解除などという措置はほとんど非人道的な罪に当たると言ってもよいのではないでしょうか?(通告によれば,送電停止後2週間で契約解除に至る.通常の流れでは,まず電話が止まり→ガスのストップ→送電停止となる.この究極の状態をヘレンケラーの三重苦と呼ぶ.)

電力会社の考え方によると,100Wの給電装置を取り付けるのは「蝋燭を点して万一火災が発生するなどの危険を防止すること」を目的とし,かつそれは特別の「お恵み,ないし慈悲」であって一般に「アパートなどの共有住宅などでは,配線余長の関係で取り付けできない」ということになります.幸い私の場合には,装置の取り付けを「絶対にやってもらわなくては困る」と強く求めたので,何とか時間をかけて取り付けてくれましたが,下見段階では「やってみるまでもなく,付きませんよ」と突き放された言い方をされていました.

ところでこの100Wの送電装置ですが,これを聞いて何か想い出しませんか?今から5,60年前,つまり終戦直後には定額電灯契約という低所得者向けの電力供給形式がありました.これがそのものずばり,「100W送電」です.今時定額電灯などというのは看板灯,公衆電話ボックス,公衆トイレ,アパートの階段灯などのような特殊なところでしか使われていないようですが,その頃は私の知る限り動力用モータを使っている農家などを除けば,ほとんどこの契約だったような気がします.戦後復興が進むうちあちこちの家庭に「積算メータ」が取り付けられていくようになりましたが,私の家などはほとんど最後の最後でした.あまり鮮明ではありませんが,定額電灯を脱してメータが「我が家」に取り付けられたときの喜びは,子ども心にもおぼろ気ながら記憶しています.

私の長期経済見通しでは1990年頃に始まった「デフレの50年」はこれからも続きます.すでに15年を経過していますから,35年が残っていることになります.実は,このデフレ35年という見通しと,私がこのブログに掲げる『エクソダス2005』というスローガンは完全に重なっています.モーゼに率いられてエジプトを出た60万人のイスラエルの民が砂漠で彷徨した苦難の時代です.天から降ってきた「マナ」を食べて生き延びたと言われていますが,それはあまりに物事を美化した文学的に過ぎる表現です.私が旧約の文脈から読み取った限り,「マナ」と言っているものは薄い水のようなおかゆないし,それをせんべいにして焼いたものです.つまり,彼らはほとんど30年間「飢餓ライン」を彷徨っていたと私は考えています.それが近未来の,今日とは言わずとも明日の日本の姿です.

オーバーだと思いますか?都内に住んでいる人にはほとんど実感として伝わらないかもしれません.TOKYOには「官」のお金と「外資」がだぶだぶというほど流入して,ひとときの繁栄の中にあるように見えます.しかし,実際すでに2,3年前から国民の金融資産は目減り始めています.つまり,国民はバブル崩壊以来の長い消費抑制フェーズを抜けて,とうとう(あるいはいよいよ)預貯金を食い潰すタケノコ生活に入ったのです.貯金ゼロ世帯は送電停止世帯の予備軍です.(さらに言えば,送電停止世帯は自殺者予備軍であり,孤独死予備軍です.)私の目の子勘定では国民の5割は預貯金1千万以下と目されます.これは住宅ローンなどの負債を度外視した計算で,純(金融)資産ということになればもっと悲惨な数字が出るかもしれません.

アメリカは自己破産の多い国ですが,その最大の理由は何だと思いますか?「病気」です.あの国には「国民皆保険」というのがありませんから,健康保険証を持たない人,つまり社会保障システムから制度的に弾かれた人が沢山います.このような場合,運悪く一旦重い病気にかかるとたとえ完治することができたとしても,待っているのは医療費の支払い(取立て)圧力による「破産」です.国内でもすでに似たような状況にあります.数字は手元にありませんが,健康保険証を持たない世帯は確実に増えています.現在自公〓小泉政権が(外圧に従って)画策している医療保険制度の改悪が進めば日本も遠からずアメリカと同じ状況になります.

今,私の近くのコンビニで食パン1斤90円で売っています.納豆が3個パックで95円,豆腐が1パック45円です.八百屋ではトマトを100円で箱売りしています.米が10キロ2650円です.工場生産食品はともかく,農家は採算が取れているのでしょうか?私は5年以内に主食の配給制(の復活)が必要になるのではないかと見ているのですが,悲観的過ぎるとお思いですか?私の認識ではバブル崩壊とその後の不良債権処理は,第2次太平洋戦争の敗戦とその戦後処理ということになっています.霞ヶ関や永田町でリッチな生活を送っている人たちには国土が焼け野が原になっている情景がまだ,目に見えていないようです.

私はリッチな暮らしが嫌いというわけでも,憎んでいるというわけでもないので,あまりせこいことを言いたくはないのだけれど,総工費200億円をかけて新築なった京都迎賓館の年間維持費は6億6千万円とかで,来賓は精々年20数回程度の見込みだそうです.ちなみに東京迎賓館の方では去年はたった1回しか使われなかったという話です.ところで,上に「事故」という言葉が出てきたので,最近(1ヶ月ほど前)私の近辺で起きた(本物の)送電事故について書き留めておくことにしましょう.

2005年10月10日午前0時39分頃,突然停電が発生した.大雑把に500世帯程度が影響を受けたと推定される.ただし,時間帯が夜中だったので,事故が発生したこと自体あまり知られていないかもしれない.その後2分程度経過して,一旦通電したが,またすぐ停電したので,階下に降りてみたところ,一つ置いて隣の部屋の人(初対面)に出会った.2人で話をしながら,経過を見ていたところ,およそ5分程度で復旧した.後日,東京電力の係員の訪問を受けて説明を聞いたが,記録(ログ)では私の部屋近辺では2分程度で復旧したことになっているという.また,10分?以上停電した場合には,需要家になんらかの補償(値引き)がなされるということも聞いたが,今回は(短時間なので)該当しないという話になった.この部屋への給電は「逆送」によってすぐに(自動的に)復旧したようだが,事故のあった地点付近では復旧までにかなり時間がかかった模様である.係員は専門部署ではなかったので,原因は不明とのことだった.

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