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「しんぶん赤旗」(10/17)で「スポーツに生きて」という、登山家・芳野満彦さんとのインタビュー記事を読んだ。芳野さんは、74歳なので旧制中学に入学して新制高校を卒業した世代と思う。高校2年生の冬に八ヶ岳で遭難し、足の指先から3分の2と友人を失ったという。
● 山好き若人の憧れのまとだった芳野さん
凍傷で両足先3分の2を失った芳野さんはそれでも山を棄てなかった。棄てないどころか、不屈の闘志でリハビリに取り組み2年後には岩登りを再開し、前穂高北尾根4峰正面、北岳バットレス中央稜、劔岳チンネなど数々の積雪期初登攀をなしとげた。
我ら山好き若人(当時)は、芳野さんの闘志と活躍に心から拍手をおくり、あこがれたものだった。登山ブームの到来もあって、書店には山岳書が並び、彼の登行記やエッセイの「山靴の音」もよく読まれた。
● 芳野さんはヨーロッパ・アルプス3大北壁への先駆者
ヨーロッパ・アルプスには、3大北壁―マッターホルン、アイガー、グランドジョラス―がある。芳野さんは63年(私が大学生の頃)、日本人で初めて、アイガー北壁に挑み、アルプス北壁への先鞭をつけた。
有名な植村直己さんは、この頃まだ明治大学の学生で登山修業時代だった、と思う。アイガー北壁の登攀には成功しなかったが、65年にはマッターホルン北壁を完登した。
町の山岳会に所属し、スポーツ登山に挑戦していた小生にとって、彼は文字どおり雲上の人だった。
● 日本の山はすごい
インタビューで、「日本の山はすごい」と述べている。ヨーロッパの岩壁と日本の岩場は規模が違う。穂高の屏風岩なら2つ、滝谷なら3、4つ続くような大きさだと、彼は言う。アルプスの壁はケーブルなどですぐ下まで簡単に行けるが、冬の穂高や劔にはそうは簡単に取り付けない。日本の山はやはりすごい。日本の冬山の登攀が基礎になってマッターホルンに成功した、と。
● オートバイでより高くへ
30代にはもう山への強い思いを失っていた私は、インタビュー記事を読み終えて、もう漠とした過去を後悔の交じった哀惜の念で思い出す。それでも少しでも高い峰に近づきたいという思いだけはある。そこで小生、最近、オートバイで行ける山歩きを楽しんでいる。またがるのはクラシカルな単気筒400CC、キックスタートのみのオートバイ。とッとッとッ、という軽快なエンジン音がくせになる。来週は御嶽山へ紅葉を愛でるオートバイ・ツーリングだ。その時は阿修羅もしばらくお休みだ。