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http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20051018/mng_____thatu___000.shtml
葬祭戦隊オガムンジャー参上
『命の尊さ』ライブで熱唱
葬儀を歌う男がいる。なぜか戦隊ヒーロー風のコスチュームで。「葬祭戦隊オガムンジャー」を名乗り、ライブ活動を続けている歌手源川準(みながわじゅん)さん(35)だ。普段の源川さんは、電話一本で斎場に駆けつける葬儀の“プロ”。オガムンジャーに変身して、たっぷりの笑いに包みながら描く歌の世界は−。
杉並区の古びたアパートの1DK。鴨居(かもい)には、斎場で着るスーツとともに、ライブで“変身”するコスチュームがかかる。
「葬祭戦隊基地」と称する生活感あふれた自室の六畳間で「オガムレッド」に扮(ふん)した源川さんがギターを手に熱唱した。
♪近くて遠い極楽浄土に導くため我らは来た 般若心経は覚えてないけど 君の顔なら覚えてる くらえ! 木魚ボンバー(『葬祭戦隊オガムンジャーのテーマ〜我等が愛〜』から)
特撮テレビ番組をイメージしたオガムンジャーのテーマだ。六月にはCD千枚を自主制作した。
なぜに特撮ヒーローで葬儀なのか?
コスチュームのまま正座した源川さんは「子どものころから仮面ライダーが好きだったので」と、きまじめに答えた。
十年勤めた葬儀社を辞めたのが四年前。経験を買われて葬儀に駆り出される派遣葬祭業をしながら本格的なライブ活動を始め、昨年十月に「葬祭戦隊」を“一人”で結成した。日々の仕事で出合う光景を歌う。
♪お坊さんがやってきてお通夜が静かに始まります 焼香は三回の場合が多いです たまに火のついている方に指を突っ込んで慌てふためいている人 お願いだから笑わせないで(『ガンバレ葬儀屋さん』から)
くすりとおかしい場面を描きながら、根底には「家族のきずな」への思いがある。
「何百回も人を見送っている自分たちですら、心を揺さぶられるような瞬間がある」と、こんなエピソードを語った。
十年ほど前、東京・品川の桐ケ谷斎場で八十代後半の男性を見送ったときのこと。慌ただしい告別式の間はじっと座っていた高齢の女性が出棺の間際、何も言わずに棺の中の連れ合いに口づけをした。
「遺族の対応で故人が愛されてきたか、疎んじられてきたかが分かる。死に方というのは、生き方なんだと思った」
死後数日たった独居老人の葬儀を行うことも少なくない。一日で辞める人も多い、酷な現場だという。「日給につられてアルバイトから始めたが、誰にもみとられず亡くなる人の多さがショックだった」と振り返る。
高校生のとき、母をがんで亡くした。「言葉にするとチープだが、命に限りがあること、家族の大切さを歌で伝えたい」と力を込める。ヒーローに夢中になった同年代に「命の尊さ」を伝える“言葉”として選んだのが、笑いに包んだ「葬祭戦隊」だ。
「不謹慎」とのそしりも覚悟しながら、「死」と明るく向き合う源川さんを象徴する場面に出くわしたことがある。
「葬祭戦隊」結成前の昨年三月、いかりや長介さんの通夜が営まれた青山葬儀所に“長さん”の声が響いた。「八時だよ!」。見ず知らずのファンたちは一斉に拳を挙げて「全員集合!」と声をそろえた。
“ドリフ世代”の源川さんが一ファンとして赴き、いかりやさんの声をテープで流したのだ。居合わせたファンは「ありがとう」「うれしかったよ」と泣き笑いしながら源川さんに声をかけた。故人を悼むファンの思いをすくい上げた、葬儀の“プロ”の姿があった。
故人の宗派や、焼香の仕方が分からないなど、最近は基本的なことに戸惑う人も増えている。「次は焼香の手順を歌にしなきゃ」と笑う。オガムンジャーの出番だ。
♪あなたがツライと言うならばツライあなたをお世話する葬儀屋さんはもっとツライ みんなの悲しみ癒やすため 日本全国駆け巡る…ガンバレ!(同)
オガムンジャーのライブ情報などは、源川さんのホームページ
http://k.excite.co.jp/hp/u/oujanoyakata/
で。
文・中山洋子/写真・千葉一成
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20051018/051018_thatu.jpg
戦隊の隊長オガムレッドに変身。実際に葬儀で使う「案内係」の腕章を付けている=都内で