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□川崎・男子小学生殺害事件についての産経新聞【主張】欄を読んで|JANJAN
http://www.janjan.jp/media/0604/0604041904/1.php?PHPSESSID=2e668180f9c871ce3ae09b1231373197
川崎・男子小学生殺害事件についての産経新聞【主張】欄を読んで 2006/04/05
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神奈川県川崎市のマンションの15階から小学生の山川雄樹君が投げ落とされて殺害された事件は、その後に起こった清掃員襲撃事件の際の防犯カメラの映像が公開された事で、1日に今井健詞容疑者が出頭するという展開になりました。これを受けて、日本経済新聞を除く主要全国紙は2日から3日にかけて、それぞれ社説を発表しました。
その中で産経新聞は、昨年のロンドンのテロ事件も例に挙げながら、「男児投げ落とし 痛感した防犯カメラの力」とする【主張】を掲載しています。
■【主張】男児投げ落とし 痛感した防犯カメラの力(4月2日付)
http://www.sankei.co.jp/news/060402/morning/editoria.htm
曰く、「設置当初は、一部に人権やプライバシー侵害に当たるとの理由から反対意見も強かった」が、「防犯カメラは、捜査には欠かせない“武器”で、犯罪抑止効果もある」ので、「慎重な運用に留意しながらも、一層普及させることが肝要で、時代の要請でもある」と。
ここまで読んでみて、こう思わざるを得ませんでした。
「それでも事件は起きたではないですか?」と。
更に「適正、迅速に行われたのかどうか」と警察の捜査への疑問へ筆を進める、産経の【主張】を読んでゆくと、私の方で産経に対して「疑問を呈して」おかなければ、と思いました。「あまりにも『早期の犯人検挙』に力点を置きすぎてはいないでしょうか?」と。
防犯カメラへの過信を禁物とする朝日、毎日の社説、それに「防犯カメラは雄樹君の生命を守れなかったが」と前置きした上で防犯カメラの効果的活用を訴える読売の社説と比べても、産経の【主張】は「それでも事件が起こった」事に無頓着に思えてなりません。しかも、朝・読・毎3紙の社説が提唱する、地域を挙げた防犯のための取り組みにも、産経【主張】はただの一言も触れていません。
毎日新聞社説:転落死事件 地域の防犯力高めたい(4月2日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060402ddm005070035000c.html
読売新聞社説[川崎・男児殺害]「防犯の死角をどう埋めていくか」(4月2日)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060401ig91.htm
朝日新聞社説:男児殺害 カメラだけでは防げない(4月3日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20060403.html
更に産経は社会面で、「『監視社会』批判も犯罪捜査に効果裏付け」とする記事も掲載しています。ですが、読売の社会面で、容疑者は「カメラが設置されているのを知らなかったのでは」、とする記事を読むと、それも空しく思えてなりません(知っていて犯行を犯したのなら更に問題なのは言うまでもありません)。
産経新聞社会面 「容疑者追い詰めた防犯ビデオ 『監視社会』批判も犯罪捜査に効果裏付け」(4月2日)
http://www.sankei.co.jp/news/060402/sha006.htm
読売新聞社会面 「評判と別人・今井容疑者、カメラ設置知らなかった?」(4月2日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060402i101.htm
人権やプライバシーの侵害を危惧する側に対する一種の「勝利宣言」の趣きもある今回の産経の【主張】を読むにつけ、かえって、防犯カメラにばかり頼ってはいけない、という思いを強くせざるを得ませんでした。
(森下泰典)
▽男児投げ落とし 痛感した防犯カメラの力|産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/060402/morning/editoria.htm
■【主張】男児投げ落とし 痛感した防犯カメラの力
川崎市多摩区のマンションで小三男児が十五階から落ちて死亡した事件は、殺人の疑いが濃厚となっていたが、容疑者とみられる男が警察に出頭し、急展開を見せた。
三月末の警察発表以来、男児の死は何者かに投げ落とされた残忍極まりない事件との疑いが強まっていた。住民の間には大きな不安が広がっていただけに、容疑者逮捕で、ひとまず安堵(あんど)したことだろう。
警察に出頭した四十一歳の無職男は男児の転落死について、「子供を殺そうと思ってマンションから投げた」と殺害をほぼ認めているとされる。
容疑者逮捕の大きな決め手となったのは、防犯カメラに残っていた容疑者の写真・映像の公開だった。改めて事件捜査に防犯カメラが威力を発揮することを痛感させられた。
容疑者らしい男の写真や映像が公開されたのは先月三十一日で、逮捕された容疑者は一日の新聞を見て、「もう逃げられない」と同日早朝、捜査本部が置かれた多摩署に出頭してきた。
防犯カメラは、凶悪犯罪の抑止や捜査目的のため設置され、今ではかなり普及している。だが設置当初は、一部に人権やプライバシー侵害に当たるとの理由から反対意見も強かった。
しかしながら、凶悪で残忍な犯罪が続発して、治安悪化が大きな社会問題となっている現代社会では、早期の犯人検挙が求められる。防犯カメラは、捜査には欠かせない“武器”で、犯罪抑止効果もあるのだ。
昨年、ロンドンで地下鉄などが爆破され、多数の乗客が死傷したテロ事件でも、駅構内などに設置された防犯(監視)カメラが犯人割り出しに多大の貢献をした。
防犯カメラは、慎重な運用に留意しながらも、一層普及させることが肝要で、時代の要請でもある。
また、結果論だが、今回の警察の捜査が適正、迅速に行われたのかどうか疑問を呈しておきたい。女性襲撃事件がなければ、男児の死も事故として処理されていたかもしれないのだ。遺留品のない殺人事件捜査の難しさを浮き彫りにした事件だった。
警察当局には、今回の連続殺人、殺人未遂事件の動機や余罪の徹底解明を望みたい。学ぶべき教訓のきわめて多い事件といえよう。
▽容疑者追い詰めた防犯ビデオ 「監視社会」批判も犯罪捜査に効果裏付け|産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/060402/sha006.htm
容疑者追い詰めた防犯ビデオ 「監視社会」批判も犯罪捜査に効果裏付け
防犯ビデオが容疑者を追い詰めた。現場マンションの自転車置き場を小走りに逃げる自分の写真が新聞に掲載されているのを見て、今井容疑者は「もう逃げられない」と出頭した。街の中に防犯ビデオが設置されるのを「プライバシー侵害」と問題視する見方もあるが、犯罪捜査に効果があることを裏付けた。
マンションにはエレベーターや階段に計18台のビデオカメラが設置されていた。管理組合が防犯用に設置したものだ。
過去の事件でも防犯ビデオ映像公開が犯人特定につながったケースは多い。平成13年の長崎市の男児誘拐殺人事件では被害男児と一緒に歩く男子中学生が商店街のビデオに映っていた。今年1月の横須賀市の米兵による強盗殺人事件では、現場隣のビルの防犯ビデオに、被害女性と話す米兵の姿があった。
防犯ビデオは建物から街全体をカバーし始めている。14年、全国で初めて街を監視するため50台を設置した東京・歌舞伎町では4年間で刑法犯が2割減少。犯罪抑止効果の認識が高まり、全国の繁華街に導入が拡大。さらに、学校周辺での設置も進み、全国の小学校の約12%が導入を済ませている。
「監視社会」化を指摘する声もある。が、「容疑者割り出しの効果は決定的。今回もビデオがなければ新たな被害者が出た恐れもある」と捜査関係者。摘発の実績が積み重なり、ビデオの有用性が社会的に認知されれば、それが犯罪抑止の効果につながっていくことも指摘される。
(04/02 01:36)
▽評判と別人・今井容疑者、カメラ設置知らなかった?|読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060402i101.htm
評判と別人・今井容疑者、カメラ設置知らなかった?
「投げ落としたかったからそうした」。神奈川県警多摩署の捜査本部に1日、殺人未遂容疑で逮捕され、川崎市多摩区のマンション15階で小学3年山川雄樹君(9)を投げ落としたことも供述した同市麻生区、無職今井健詞容疑者(41)。
肝心の動機は、なお“闇”に包まれており、近所の人らが語る「明るくまじめな父親」とは、あまりにも落差が大きすぎる。防犯カメラの公開映像が決め手となり、事件は解決に向かったが、日常的に多くの人が出入りするマンションの防犯上の課題も浮かび上がった。
今井容疑者は1992年から98年まで、川崎市麻生区内の不動産会社に勤務。このマンションを顧客に紹介し、何度か訪れたことがあったという。
しかし、同マンションに計18台の防犯カメラが設置されたのは3月上旬で、今井容疑者が出入りしていた当時はなかった。
今回、捜査本部が公開した防犯カメラの映像には、清掃作業員の女性が襲われた3月29日の午前9時ごろ、犯人がマンションに入るところと、事件後にマンション脇の自転車置き場を通って小走りに逃げるところが映っていた。服装や髪形、顔の様子、体形なども鮮明だった。
今井容疑者は、1日朝、自分の写真が載っている新聞を見て驚き、観念したと供述しているといい、捜査本部は「(今井容疑者は)防犯カメラが設置されているのを知らなかったのではないか」とみている。
捜査本部によると、今井容疑者は高校卒業後に理美容関係の学校に通い、アルバイトなどを経て千葉県内で開業した。しかし、不景気のため92年ごろ閉店し、川崎市麻生区の不動産会社に勤務。その後、同市多摩区のインテリア用品店に勤めていたが、昨年9月にリストラで退職したという。
用品店の近くに住む建築業の男性(59)は「以前、カーテン関係の仕事を一緒にしたことがあり、『ご子息はいらっしゃいますか』と丁寧にあいさつする腰の低い人だった。とてもこんな事件を起こすようには見えなかった」と言葉を失った。
同店が入居するビルを管理する不動産会社の従業員の女性は「えっ、あの今井さんが」と絶句。今井容疑者の友人という会社員の男性(37)も「2、3日前にも、電話で『元気でやっている』と話しており、いつもと変わらない様子だった。(事件など)思い当たる節がない」と、信じられない様子で話した。
今井容疑者は妻と子供3人の5人家族で、一家は2004年10月、川崎市麻生区内に引っ越してきた。
近くに住む会社員の女性(35)は、家族を連れた今井容疑者が丁寧にあいさつをしたのが印象に残っているといい、「笑顔がとても明るくまじめそうだった。夫婦の仲も良さそうで、うらやましいとさえ感じた」という。その後も会う度にきちんとあいさつをしてきたといい、「こんな凶悪な事件を起こす人だとは思いもしなかった」と驚きを隠さなかった。
(2006年4月2日8時53分読売新聞)
▽社説:転落死事件 地域の防犯力高めたい|毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060402ddm005070035000c.html
社説:転落死事件 地域の防犯力高めたい
川崎市のマンション15階から小学3年生の男児が転落死した事件で、無職の男が1日、警察に出頭し、事件の9日後に同じマンションで女性を突き飛ばしたとして殺人未遂容疑などで逮捕された。警察は転落死事件でも殺人容疑で追及する。学校から帰宅し、マンション自室にたどり着く寸前に襲われた男児の無念さはいかばかりか。子供が犠牲になる凶悪事件がまたも繰り返されたことに暗たんたる思いがする。
男が出頭したきっかけは、前日に警察が公開した防犯カメラの映像だった。女性が狙われた日、マンションに設置されている防犯カメラに、男が走り去る姿などが収められていた。映像にあった男の特徴はかなり鮮明で、男は新聞に掲載された写真を見て観念したという。公開からわずか1日というタイミングで、防犯カメラの威力がまざまざと示された。転落死事件当日にも酷似した男の姿が複数のカメラに映っており、防犯カメラの効用は絶大だ。
しかし、防犯カメラが容疑者逮捕に結びつく決め手にはなったとしても、事件そのものを未然に防ぐことにはつながらなかった。その意味で、結果的に「防犯」の役目は果たせなかった。防犯カメラへの過信は禁物であることも事件は示した。
マンション周辺では2年ほど前から不審な男が出没し、マンション内でも不審者の目撃情報が出始めたため、18台もの防犯カメラをマンションに新設したばかりだった。転落死事件の3日前には、よく似た男が15階のエレベーター付近をうろつく姿を防犯カメラがとらえており、「設置効果」はあったはずだった。地域ぐるみで安全対策に熱心に取り組んでいただけに、極めて残念な結果だ。
結局、防犯カメラの映像や目撃情報が事件の未然防止にうまく生かされなかったと言わざるを得ない。不審者に関する情報が事前に警察にまで届いていたのか。その後、マンションや周辺地域でどのような対策が講じられていたのか。事件の十分な検証が行われ、その内容が教訓として社会に伝えられることが、犠牲になった男児へのせめてもの慰めとなるはずだ。
近年の治安情勢の悪化を背景に、防犯カメラを設置する集合住宅が増えている。東京都世田谷区では、個々の一戸建て住宅が壁などにカメラを取り付けて街頭を撮影し、事件発生の際には警察に映像を提供しようという地域も登場した。警察が街頭に設置する防犯カメラは全国に広がっている。
防犯カメラはプライバシーの点などから問題もあり、運用・管理のルール作りを急ぐべきだが、ほとんど進んでいないのが実情だ。防犯カメラが設置されている街頭では犯罪が減る一方、その裏道などに犯罪が追いやられているという指摘もある。昨今はカメラに撮られることを意識しても気にせずに犯罪を実行する人物もいる。
防犯カメラだけでは犯罪は防げない。大切なのは住民同士で協力していくことだ。地域全体で防犯力を高めていく必要がある。
毎日新聞 2006年4月2日 東京朝刊
▽[川崎・男児殺害]「防犯の死角をどう埋めていくか」|読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060401ig91.htm
4月2日付・読売社説(2)
[川崎・男児殺害]「防犯の死角をどう埋めていくか」
やはり事故ではなかった。治安の悪化を痛感させられる異常な犯罪である。
川崎市のマンションの15階通路から小学3年の山川雄樹君を投げ落としたことを、警察に出頭した41歳の男が認めた。
男は、同じマンションで清掃作業員の女性を襲い、やはり15階の通路から投げ落とそうとしたとして、殺人未遂容疑などで逮捕された。
警察は今後、男を雄樹君に対する殺人容疑でも追及する。なぜ、こんな事件を起こしたのか。動機や背景を徹底解明する必要がある。
雄樹君が襲われたのは、昼過ぎの、学校からマンションの自宅に帰り着く直前だった。男は待ち伏せするように、15階のエレベーター前に立っていた。清掃作業員は午前中、「15階にごみがある」とおびき出されて襲われている。白昼の犯行だったが、目撃者はいなかった。
だが、男の姿はマンションの防犯カメラでとらえられ、その映像が公開されたばかりだった。新聞に載ったその写真を見て、警察に出頭したという。明白な証拠を突きつけられ、逃れられないと観念したのだろう。
このマンションには、エレベーター内や階段、駐輪場など計18か所に防犯カメラが設置されていた。昨年から不審者が出没するという情報があり、住民が不安を募らせていたため、先月上旬に設置されたばかりだった。
防犯カメラは雄樹君の生命は守れなかったが、カメラがなければ犯人のスピード逮捕は難しかった。その有効性が、改めて見直されたと言える。
小学生が被害者となった刑法犯罪は、昨年1年間で2万4400件にも上っている。小学校や児童公園、通学路にも防犯カメラが設置され始めているが、当然の対応だろう。マンションなどでも効果的に活用し、犯罪抑止と犯人検挙につなげていくことが重要だ。
全国の警察本部にはホームページに不審者情報を掲載する所が増えている。不審者の出没は、深刻な地域問題だ。
マンションの敷地内でも、子供がわいせつ行為をされたり、外へ連れて行かれそうになったり、という情報が日常的に警察に寄せられている。いずれも、重大事件に発展する恐れがある。
今回の事件を教訓に、各地域で、さらに防犯対策の死角を埋めていく努力を続けていってほしい。
警察、学校、自治会の連携した取り組みは欠かせない。住民同士のつながりを強め、協力して周囲に目を光らせていくことも、大事なことだろう。
(2006年4月2日1時53分読売新聞)
▽男児殺害 カメラだけでは防げない|朝日新聞
http://www.asahi.com/paper/editorial20060403.html
男児殺害 カメラだけでは防げない
「殺したかったから投げ落とした」。川崎市のマンションで小学3年生の山川雄樹君が転落死した事件で、41歳の男が殺害を認め、こう供述した。
同じマンションで清掃作業員の女性が襲われた事件も、投げ落とそうとしたことを認めた。面識もない人を無差別に襲った連続凶行事件である。
雄樹君は自宅まで20歩ほどのところで襲われた。理不尽な犯行で子どもを奪われた家族の怒りや悲しみはいかばかりだろう。危うく難を逃れた女性も、どんなに恐ろしかったことか。
逮捕された男は妻子と5人暮らしで、子ども思いだったという。3月まで精神科の病院に入院していた。失業していたとも言っている。それにしても、あまりに凶悪な犯行との落差が大きすぎる。なぜ、こんな事件を起こしたのか。動機を徹底的に解明してもらいたい。
現場のマンションは18カ所に防犯カメラを設置している。小走りで逃げる男をカメラがとらえていた。
その映像が公開され、新聞に掲載されたのを見て、男が出頭した。「逃げられないと思った」と供述している。防犯カメラが事件の解決に結びついた。
マンションのような共同住宅は一戸建てより安全と思われがちだ。ところが警察庁の調査によると、中高層の共同住宅では年間10万件を超す犯罪が起きており、殺人や強制わいせつなどの発生率は共同住宅のほうが高い。
防犯対策として、死角になりやすいエレベーターや自転車置き場に防犯カメラを置くところが増えている。事件現場のマンションも、ことし3月にカメラを設置したばかりだった。
商店街などの防犯カメラには、監視社会化になるとの批判がある。だが、共同住宅は住民の私的な場だ。みんなが合意すればカメラを設置するほうがいい。
しかし、過信は禁物だ。今回、防犯カメラは容疑者の逮捕には役立ったが、事件は防げなかった。防犯カメラがあることを知って犯行を思いとどまる者もいれば、無視するかのように犯行を重ねる者もいる。カメラをかいくぐって犯罪を犯そうという者もいるだろう。
犯罪を防ぐには、やはり住民の目と日ごろの結びつきが欠かせない。
見知らぬ人がいたら、声をかけてみるのがいい。悪いことをしようと思っていても、正面から顔を見られれば、ためらうものだ。不審な人がいれば管理人に伝え、情報を住民で共有することも大切だ。そうした日ごろの活動があれば、防犯カメラはいっそう役に立つ。
雄樹君の転落について、警察は当初、事件と事故の両面で捜査した。捜査本部を設けたのは、9日後に女性が襲われる事件が起きてからだ。
しかし、15階で男と一緒にいた場面と直後の転落を二つのカメラがとらえていた。映像を早くきちんと解析していれば、第2の犯行を防げたかもしれない。捜査の経緯も検証してもらいたい。